会長声明集
老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律の成立にあたって(会長声明)
日本司法書士会連合会
会長 小澤 吉徳
令和7年5月23日、区分所有法及び被災区分所有法の改正を含む老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律が成立した。
建物の老朽化と所有者の高齢化という2つの老いにより、高経年化、老朽化、所有者不明化や非居住化する区分所有建物が増加しており、区分所有建物の管理や建替え等の再生の円滑化を妨げ、また大規模災害発生時の復旧や復興の妨げとなっている。これらの課題に対し、マンションその他の区分所有建物の管理及び再生の円滑化等を図るため、区分所有建物の再生等の実施の円滑化、集会の決議要件の合理化、所有者不明専有部分管理命令等の制度の創設、敷地共有者等集会制度の対象範囲の拡大、マンション管理適正化支援法人の登録制度の創設等の措置を講ずる必要があることから、建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律とともに、施策実施のために関連する法律が改正されるに至ったものである。
区分所有建物は区分所有権、共用部分、敷地利用権といった一般的な土地や建物とは異なる区分所有特有の法理により存在している。個々の専有部分は個々の区分所有権の目的ではあるが、区分所有建物全体を俯瞰すれば区分所有権の集合体であることを強く意識する必要性があり、そこから導かれる区分所有者間の相互協力が、この問題解決の原点であると考える。
このため区分所有建物の管理及び再生等の円滑化を図るためには、集会等における合意形成が重要であり、より多くの区分所有者が決議等に参加することが求められる。司法書士は、これまでも権利擁護の視点から、区分所有者の権利行使の支援として相続登記の促進や成年後見制度、各種財産管理制度の活用等を通して関与を続けてきたところである。
我々司法書士は、国民の権利を擁護する法律事務の専門家として、今般の区分所有法制の改正によって、区分所有建物の管理及び再生等において合意形成がより一層進むよう、空き家・所有者不明土地問題の解決に関与してきた実績を新しい区分所有法制に活かし、また、関係各所との協力体制等をさらに構築していくことで区分所有建物の問題解決に貢献していく所存である。