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会長声明集

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2025年(令和7年)05月28日

「民事裁判情報の活用の促進に関する法律」の成立にあたって(会長声明)

日本司法書士会連合会

会長 小澤 吉徳

令和7年5月23日、民事裁判情報の適正かつ効果的な活用の促進を図るため、国の責務及び法務大臣による基本方針の策定について定めるとともに、民事裁判情報を加工して第三者に提供する業務等を行う法人の指定に関する制度を創設する等の措置を講ずることを目的とした「民事裁判情報の活用の促進に関する法律」が成立した。

令和4年5月18日に成立した民事訴訟手続のIT化に関する「民事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第48号)の施行により、遅くとも令和8年5月から、従来書面で作成されていた判決書が電子判決書となり、電磁的記録になることを契機に、本法律によって、当該電磁的記録を国が指定する情報管理機関において集約し、データベース化することで、民事裁判情報の利活用が可能となる。

これまで、年間に約20万件程度言い渡される判決等のうち、公開されている判決等は僅か数%であったが、民事裁判情報がデータベース化されることにより、同情報の分析を通じて、紛争の早期解決や予防に資する研究、リーガルテック分野における研究開発等が発展することも期待される。

とりわけ、簡易裁判所における判決について公表されているものは、ごく僅かであるため、今後、簡易裁判所における民事裁判情報の利活用により、少額紛争の解決指針となることが期待できるとともに、事例分析をすることにより、司法書士が一層積極的に訴訟に関与することによって、市民の司法アクセス向上につながるため、当連合会としても、民事裁判情報の公共財としての価値に大きな期待を寄せるところである。

一方、市民が民事裁判を利用する際に、自らが関与した民事裁判情報が公開されることに対し、漠然とした懸念や不安を有することも想定される。

司法書士が、そのような利用者の不安に寄り添い、正しい情報提供を行うことにより、民事裁判情報の適正かつ効果的な利活用促進の一助となるよう、当連合会においては、法務省、情報管理機関をはじめとする各関係機関と連携し、全国の司法書士会及びその会員、更には広く市民に対し、当該制度の周知広報に尽力する所存である。