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会長声明集
2023年(令和05年)06月12日
空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律の成立にあたって(会長声明)
日本司法書士会連合会
会長 小 澤 吉 徳
令和5年6月7日、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家特措法」という。)の一部を改正する法律が成立した。空き家対策は、「除却すべきものは除却し、活用できるものは活用する」との考えに基づき、平成27年空家特措法施行を契機として、市町村における空家等対策計画の策定、協議会の設置、所有者等による空家等の適切な管理の促進、特定空家等に対する措置などの施策が実施されてきた。
改正空家特措法では、これまでの実務を踏まえ集積されてきた更なる空き家の発生抑制と活用・除却促進の検討事項を具現化するため、①空家等の利用拡大の施策として空家等活用促進区域や空家等管理活用支援法人制度の創設、②空家等の管理を確保し、特定空家化を未然に防止する施策として管理不全空家に対する指導・勧告制度、③特定空家等の除却促進の施策として緊急時の代執行制度創設や市区町村長に財産管理人の選任請求権の付与などが設けられた。これらの施策が増加する空き家の有効利用や除却のより一層の促進につながることを大いに期待する。
司法書士は、空き家の有効利用や除却の促進につなげるため、相続登記や成年後見制度の活用により、管理や除却につながる取組みを継続して支援してきた。また、全国各地の協議会委員に就任し、空家等対策計画の策定への意見、空き家等の対策に関する協定の締結など、市区町村における空き家対策事業へ積極的に関与してきた。
今般の改正空家特措法により所有者等の責務として「国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策への協力義務」が加えられた。全国にあまねく所在する司法書士は、これまでの実績を踏まえ、市民の皆様の不安解消を支援し、市区町村による施策が効率的に運用されるよう、個々の事案に即した法的解決を探るとともに市民・行政からの相談体制及びネットワークを強化していく。
また、附帯決議とされた財産管理制度の一層の活用など新たな各種制度の積極的な活用を促進し、司法書士に課せられた国民の権利擁護の責任を果たしていく。