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総会決議集
裁判所における、申し立て等代理人の有無による取り扱いの差異につき、改善を求める決議
【議案の趣旨】
日本司法書士会連合会は、裁判所における、申し立て等の内容ではなく、代理人選任の有無による事件処理取り扱いの差異につき、その運用の是正を図るため、裁判所に改善を求める。
以上のとおり決議する。
2012年(平成24年)06月29日
日本司法書士会連合会 第75回定時総会【提案の理由】
- 現在、東京のみならず、全国各地の裁判所において、申し立て等に代理人が選任されているか否かにより、その取り扱いに差異が設けられている。具体的には、代理人の選任がない場合、破産事件や民事再生事件の予納金が多額になる、必ず再生委員が付される、などの差異である。
- このような取り扱いは、全国各地において、広がりを見せつつある。
- この取り扱いの差異は、申し立てられた事件の「内容」ではなく、「代理人選任の有無」のみにより決定されている。このような運用は、誰もが裁判所を利用できること、誰もが申し立てできること、を原則とする我が国の法制度にも反しており、このような運用が認められる根拠は皆無である。
- また、このような運用は、弁護士とは異なる存在理由を有する職能として存在する司法書士の、本来業務たる裁判所提出書類作成業務にとって重大な障害となっており、ひいては、司法書士に依頼することを選択した国民の「権利」が損なわれていることを意味する。
- 加えて、代理人選任を優遇する取り扱いは、国民が、自ら生きている社会のルールである「法」を主体的に活用することを劣位に取り扱うものであり、身近な司法の実現を志した司法制度改革の理念にも背くものである。
- 近時、最高裁判所は、裁判の迅速化に係る検証の中で、弁護士強制制度への志向を公に示した。主に東京で行われている破産事件における差異的な運用が、宮崎県でも導入されるなど、全国各地において広がりを見せている。立法者たる国民の意思である「法」を根拠とせず、裁判所の「運用」によりその志向が実現されるとすれば、我が国の憲法の理念すら、揺るがしかねないものである。
- 我々司法書士は、「法」に定められた法律家として、「法」を損なうような「運用」、「法」に根拠のない「運用」に断固とした姿勢を示し、裁判所に改善を求めるべきである。よって以上のとおり提案する。