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意見書等

2005年(平成17年)01月05日

法務省民事局民事第二課 御中

「不動産登記規則案」に対する意見の提出について

日本司法書士会連合会
会 長 中 村 邦 夫

 

 

日本司法書士会連合会は、標記規則案に対し、次のとおり、意見を申し述べます。
1 第28条(保存期間)9号について 【意見】 権利登記の申請情報及びその添付情報の保存期間は、受付の日から20年間とすべきである。
【理由】 今般の改正により、登記原因証明情報の必要的提供化等が実現し、保存された上記情報は、後日の、いわゆる権原調査等に利用される可能性が現在よりも大きいものと考えられる。したがって、取得時効期間たる20年間の保存は必要である。

 

 

2 第34条(申請情報) (1)1項1号「申請人の電話番号その他の連絡先」

 

 

【意 見】 省令として、「申請人の電話番号その他の連絡先」を申請情報の内容と定め、これを強制することは避けるべきである。従来と同じく、任意の申請情報の内容と し、通達でその旨定めるべきである。 なお、代理人による申請の場合には、代理人の電話番号等の記載で足りることを明示すべきである。
【理 由】 かかる規定振りは、申請者の電話番号、携帯電話の番号、メールアドレス等多様な連絡先を強制することになるとともに、個人のプライバシー保護の観点からは これを任意の提供情報とすべきである。 特に、本人申請の場合に個人情報が申請情報の閲覧等により公開されることともなり、国民の批判は大きくなると考えられる。

 

 

(2)同項6号「申請年月日」

 

 

【意見】 申請年月日は、窓口申請の場合にのみの記載事項とすべきである。
【理 由】 現行法36条1項7号において申請書の記載事項として規定している申請年月日を、新法及び登記令では採用しなかったのは、出頭主義が廃止されて郵送等によ り申請された場合には申請書に申請年月日を記載しても、到達日が受付時点となるため申請日の記載は意味がなくなること、またオンライン申請で執務時間外に 送信した場合は、登記の受付は、次の業務開始日になるため申請日の記載は意味がなくなることによるからであり、そのことには相当の理由があると考えるの で、規則で改めて申請年月日を記載事項とする趣旨が不明である。 他方、従来どおり窓口での書面申請も存続することからその場合には申請日が受付日となるため記載する意味がある。したがって、申請日の記載は、窓口申請の 場合にのみ義務化し、その他の方法による場合には任意記載とすべきである。

 

 

(3)登記令第3条2号についての除外規定を設けること

 

 

【意見】 登記令第3条2号により、「申請人が法人であるときは、その代表者の氏名」を記載することとされるが、代理人による申請の場合には、記載することを要しないとの除外規定を登記規則(省令)において設けることを強く要請する。
【理 由】 登記令のパブリックコメントにおいても意見を述べたところであるが、重ねて同趣旨の意見を述べる。 現行法36条には、法人の代表者の氏名は申請書の記載事項にしておらず、特段の不都合はなく永年に亘っての実務の取り扱いとして定着している。日司連の意 見に対する法務省の回答をもってしても、今次の法改正において、申請人に負担をかけてまで、あえて記載事項とすべき積極的な理由は見受けられない。 権利義務の主体はあくまで法人そのものであり、法人の特定は事務所(本店)と名称(商号)で行われるのであり、登記権利者・義務者の表示には、権利義務の 主体を表示すれば足りるものである。 本人申請の場合は行為者として代表者を表示するには当然としても、代理人が申請する場合には、申請情報の登記権利者・義務者の表示には、権利義務の主体を 表示すれば足り、申請人である法人の代表者からの代理権限証書が添付され、それには代表者の資格氏名が記載され、かつ、添付書面の資格証明書と照合するこ とにより代表者の資格権限は確認できる。 また、申請情報に記載される代表者の氏名と登記原因情報に記載される法人の代表者が異なる場合にはどのような取り扱いになるのかも不明である。 永年の登記事務の取り扱いをあえて変更し、代理人による申請の場合にも代表者の記載を求めるならば、登記官による申請書の記載と委任状等との照合事務が増 大するとともに、記載ミスによる補正の増大を招くことは避けられない。 資格者代理人にとっては、記載することにより過大な事務負担が増えるとともに、パソコンの入力支援ソフト等のプログラムの変更等を伴い大きな負担増を伴う ことになる。 登記令第3条2号は、当事者による本人申請の場合に限り、代理人による申請の場合には、適用しないことを省令において規定することを強く要望する。

 

 

3 第39条(申請の取下げ)2項

 

 

【意見】 「申請の取下げは、登記完了後は、することができない」との規定中、「登記完了」時点を具体的に明示すべきである。
【理 由】 登記完了は、法令上明示されてはいないが、従来「登記官が登記簿に校合印を押印した時点」と理解されてきた。改正法実施後は、登記官が登記簿に登記事項を 記録した時点(法11条)となるが、取り下げが不可能となる時点は、登記申請人にとって重要な事柄であり、これはより明確に示されるべきである。 オンライン申請の場合には、処理状況一覧において完了時点を明示し、申請人に分かるようにすべきである。

 

 

4 第54条(受領証の交付の請求)2項ただし書

 

 

【意見】 「申請人が二人以上あるときは」筆頭者およびその他の申請人の人数を記載すれば足りる、とすることに反対する。 従来どおりの処理、すなわち申請情報のすべて、もしくは少なくとも不動産を特定する事項及び登記事項を記載することを要するとすべきである。
【理 由】 ただし書きによれば、抵当権設定登記等の場合には、申請人の筆頭者である登記権利者のみを記載すれば足りることとなり、登記義務者である設定者の記載は不 要とされることとなるが、受領証の金融実務界における重要性、すなわち受領証の記載事項により担保保全が確実になされたことを確認して金銭の貸し渡しの実 行が行われている現状を考えれば、(案)のようにその記載を簡易なものとすべきではない。

 

 

5 第55条(添付書面の原本の還付請求)

 

 

【意 見】 1.1項について 「当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書類」の原本還付不可については、さらに具体的な規定振りにするか、もしくは、準則において例示を列挙す べきである。 また、特に、相続登記における戸籍などの原本還付には、特段の措置を設けるべきである。 2.3項について 原本還付時期を「登記完了後」に限定すべきではなく、「登記官による照合後、これを還付しなければならない」とすべきである。 仮に、原則を登記完了後とする場合でも、少なくとも、資格証明書や包括委任状等のように、原本との照合が比較的容易であるものには、登記受付時等において 還付することを認めるべきである。
【理由】 1.1項について (1)登記原因証明情報 「その他の書類」に登記原因証明情報も含まれるのか明確でない。とくに、(根)抵当権設定契約書等は、登記原因証明情報であるとともに、当事者の重要な証 拠書類でもあるので、当該申請のためにのみ作成されたその他の書類には該当せず原本還付が可能と考えるが、規定からは必ずしも明らかでない。 (2)委任状 委任状に「登記原因証明情報記載のとおりの登記申請代理権限」との記載があり物件の記載を省略する場合、登記原因証明情報の内容を確認の上、委任状の原本 還付の是非を判断する必要が生じると考えられるが、当該規定振りでは各々の書類を単体として各々判断するように見受けられる。さらに、その場合、例えば、 他管轄の物件との共同担保の抵当権設定登記申請に登記原因証明情報を提供する場合は、本来必須ではない他管物件の記載が必須のこととなる。 (3)戸籍等  相続登記の場合には、大量の戸籍謄本等を添付する場合が生じるが、相続関係説明図を添付して原本還付をすることを認める実務を尊重し、これを登記原因証 明情報の一部とみなす等の明確な規定が存在しなければ実務が混乱する可能性がある。 (4)評価証明書  市区町村役場にて交付される評価証明書には、「登記所提出のため」と記載し無料で発行されるものがあるが、分譲地等の場合には還付し引き続き使用する必 要がある。その場合に申請人又は代理人からその旨の申出があり登記官がそれを相当と認めるときは還付できるように規定を設けるべきである。 2.3項について 「登記官は~登記完了後、これを還付しなければならない」とあるが、登記原因証明情報等の原本を詳細に審査しなければならないものについては、登記完了後 に還付するということには相当な理由があると思われるが、資格証明書や包括委任状等のように、引き続き他の登記申請に使用することが予定されるものについ ては、原本還付時期を「登記完了後」に限定すると、事実上再使用が困難となり、多数の資格証明書等を用意せねばならず、申請人の負担が大きくなることにな りかねない。 登記所によっては、登記申請から登記完了まで、数日から十数日かかる登記所がある現状に照らしても、資格証明書や包括委任状等のように、原本との照合が比 較的容易であるものには、完了前にも還付することを認めるべきである。

 

 

6 第59条(登記官の本人確認)

 

 

【意見】 準則においては具体例を明示し、抽象的表現、例えば「なりすました者が申請していることを疑うに足りる客観的かつ合理的な理由があると認められるとき」などの表現は排除すべきである。
【理由】 抽象的な表現は例示たり得ない。

 

 

7 第63条1項(登記識別情報の通知の方法)

 

 

【意 見】 1号 電子申請の場合-「送信し」との表現は、登記所側から自動的に送付されるものと受け取られるおそれがあるので、申請人側が電子情報処理組織を使用し て「受信し、記録する」としたほうがよいのではないか。 2号 書面申請の場合-郵送によって書面申請をした場合、申請人の選択で、郵送による交付も認めるべきである。
【理由】 登記完了後の登記識別情報の交付は、申請人が希望する場合には、申請人の郵便料金負担による本人限定受取郵便かつ配達証明を利用した郵便での交付をするこ とにより、確実に申請人本人に交付することができるのであるから、それを選択することを認めるべきである。

 

 

8 第64条(登記識別情報の提供を要しない場合)2号

 

 

【意見】 システムなどの障害により一定の期間ダウンロードできない場合の、申請人の救済措置を定めておくべきである。
【理 由】 申請人の責めによらない場合の救済措置は、インターネットシステムの不安定さを考えると考慮すべきである。とくに、申請後直ちに次の取引を予定している場 合などに登記識別情報が入手できないのは、多大な取引上の損失を招くこととなりかねない。 電子申請の場合であっても、システム障害等による場合には、例えば、法務局長の判断で、規則第63条第3項の規定のように書面で交付することができるとの 規定を第4項に設けるべきである。

 

 

9 第65条(登記識別情報の失効の申出)

 

 

【意見】 かかる失効の申出が、不動産取引決済後登記申請までの間になされる可能性が制度上存在しているので、詐欺的な登記実行の妨害に利用されることのないよう、失効の効力発生時期などに関し充分に慎重な対応をすべきである。
【理 由】 充分な本人確認をして本人性に誤りがない場合であっても、その本人が二重売買を企図する場合、あるいは複数借入れを行うときなどにおいて担保設定を免れる ため等、かかる行為におよぶ場合があることの可能性を捨てきれず、実務上これをできる限り排除しなければならない。法及び政令においても定められていない 失効申出制度を設けた結果、取引の安全が図られず、国民の権利保全がなされないことになるならば、法第一条の趣旨にも悖ることとなる。 失効申出があった場合でも、直ちには失効させず、例えば、申出後の一両日中に登記申請がなされた場合には、失効申出の本人に事情を聞くとともに、その登記 の登記原因情報ならびに委任状等の添付情報を審査し、間違いがない場合には、失効申出は正当理由なしとして申出を却下するような取り扱いが必要と考える。 万一、不正登記のおそれがあるとの理由により失効申出をしようとする場合には、別途に「不正登記防止申出」制度により「登記官の本人確認」制度により厳格 な調査が期待でき不正は防止できるのであるから、そちらを選択することで、登記名義人の保護は可能である。

 

 

10 第66条2項、3項(書面申請の場合の登記識別情報の提供)

 

 

【意見】 書面申請により登記識別情報を提供する場合に、必ず封筒に入れて提供することとする必要はなく、任意の方式で提供できるようにすべきである。
【理 由】 所有権移転をする場合のように、その登記申請をすることによってもはや当該登記名義人には、当該登記識別情報は不要になるものであるから、申請時に封筒に 入れて提出することを強制する必要はない。 書面申請における登記識別情報の提供の方法を、必ず氏名や登記目的を記載した封筒に入れて提供することを求めるのは、不効率であり、申請人に無用な労力を 強いることとなり負担が大きい。封筒に入れて提供するのは、担保権の設定等のように引き続きその登記識別情報が登記名義人にとって必要な場合にかぎるべき であり、事後に不要となるような場合には任意の提出方法で足りることとすべきである。 条文の規定としては、規則第68条の2項後段に有効証明請求情報と併せて提供する場合の方式として規定するのが適当であり、第66条においては、その方式 又はその他の適宜の方式によることとするのが相当である。

 

 

11 第68条(登記識別情報に関する証明)

 

 

【意見】 かかる証明につき、複数の登記識別情報を一回の証明申請で確認できる手続とすべきである。
【理由】 一登記識別情報の一証明申請は不効率であり、申請人の負担が大きい。少なくとも、窓口での有効証明請求申請には、同一登記名義人の場合には、一請求により複数個の登記識別情報の有効証明請求ができるようにすべきである。

 

 

12 第70条(事前通知)8項

 

 

【意見】 「国内においては通知を発送した日から3週間、外国の場合は4週間以上で登記官の裁量によりこれを伸長することができる」とすべきである。
【理 由】 自然人の場合、本人限定受取郵便となり、基本型の場合には、郵便局へ出向かなければならない事情を勘案すると、現行の保証書の通知の申出期間と同様に3週 間とすることが相当である。 また、例えば、北朝鮮などの場合は近隣であってもかなりの日数を要することが実務上確認されており、外国については、登記官の裁量を認めておくべきであ る。

 

 

13 第71条(前住所への通知)

 

 

【意見】 住所の変更登記の原因が、行政区画の変更の場合や住居表示の実施の場合には除外事由とすべきである。
【理由】 行政区画の変更や住居表示の実施の場合には、住所の移転はないのであるから、他人の住所の不正移転による不正登記のおそれはないので、除外するのが相当である。

 

 

14 第72条(資格者代理人による本人確認情報の提供)2項

 

 

【意見】 外国人登録原票記載事項証明書を2号書面とすべきである。 住民票、印鑑証明書、戸籍の附票等の書面をどのように位置付けるか明確にすべきであり、これに関連して、3号書面につきその例示を準則に示すべきである。
【理 由】 本人でなければ取得できないという取得の困難性から言えば、外国人登録原票記載事項証明書は2号書面に相当する。住民票などについても、その位置付けを明 確にすべきである。     3号書面として、表題部の所有者が所有権保存登記申請をする場合に認められている所有権証明書等を準則で明示するべきである。また、登記完了証 (規則181条)は、3号書面として認めるべきである。

 

 

15 第193条(登記事項証明書の交付の請求情報等)2項、3項、4項

 

 

【意見】 閲覧に供する場合は、代理権限証書に印鑑証明書を添付させるとともに、「提示」ではなく「添付」(利害関係を証する書面の原本還付は認める)させるべきである。
【理由】 今回の改正により、個人のプライバシーに関する情報が提供されることが、従前より多くなる。

 

以 上

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