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会長声明集
2013年(平成25年)08月30日
東日本大震災による被災者の住宅再建に係る給付措置に関する会長声明
日本司法書士会連合会
会長 齋 木 賢 二
今般、政府部内で検討されている消費税増税に関する東日本大震災による被災者の住宅再建に係る給付措置(以下「住まいの復興給付金」という。)の内容や適用については、被災の実態を踏まえた特段の配慮が必要である。
生活基盤である住宅については、平成25年8月7日の与党合意によって、住まいの復興給付金が実施されることとなっている。しかし、被災者の迅速な救済 を実現するためには、次のような問題があり、実質的に救済を受けることができない被災者が多数生じるおそれがあるので、その要件や基準を改めるべきであ る。
以下その問題点を挙げ、その是正を求めるものである。
1 制度がいつまで存続するのか明確でないこと
一般制度である「すまい給付金」制度は平成29年12月まで存続することになっているが、復興事業が進捗していない東日本大震災の被災地に適用される住まいの復興給付金の制度は、より長期間存続させる必要があり、かつ実施される最低限の期間を明示すべきである。
2 対象者の申請は1申請者(共同申請者含む。)1回までで、建築・購入と補修の両方を申請できないこと
生活再建状況によっては、共同申請が困難な場合が多いと思われる。また同一敷地内であっても、り災状況に差があり、建築・購入と補修の両方が必要とされる場合も想定されることから、建築・購入と補修の両方を申請できるようにすべきである。
3 建築・購入の場合は被災住宅を取り壊していなければならないこと
実際には取り壊しができていない被災住宅が多数存在することから、住まいの復興給付金を受けることのできない対象者が生じることが考えられる。
4 建築・購入の場合は居宅以外は制度対象外であって、面積も175㎡までであること
店舗・事務所等が一体となった個人商店等が多数存在し、これらの商店が復興に欠かせないものであるから、これを除外すべきでない。また、面積の上限を設 けることによって、復興給付金を受けられる者とそうでない者との間で、大きな格差が生じることとなるので、このような上限を設けるべきではない。
5 補修工事の金額は100万円以上でなければならないこと
実際のり災状況に応じた対応をすべきであり、金額の下限を定めることは妥当ではない。
6 補修の給付金額は、給付単価で計算した金額と、実際にかかった補修工事費の消費税増額分のどちらか少ない金額を給付することになっていること
り災判定によっては実際にかかった増税額分の給付を受けられない場合があり、制度趣旨にそぐわない。