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会長声明集
2023年(令和05年)03月10日
給与ファクタリングを貸金業法等の違反とした最高裁判決を受けての会長声明
日本司法書士会連合会
会長 小 澤 吉 徳
令和5年2月20日、最高裁判所第三小法廷は、いわゆる給与ファクタリングと称される取引を貸金業法第2条第1項と出資法第5条第3項にいう「貸付け」に当たると判断した。
給与ファクタリングとは、個人が勤務先に対して有する給与を受け取る権利(賃金債権)を、給与支払日前に買い取って金銭を交付し、給与支払日にその個人を通じて資金の回収を行うものであるが、今回の最高裁判決により貸付けにあたるとして給与ファクタリングを営む者はヤミ金融であることが認定された。
ほとんどのヤミ金融は、出資法に違反する利息を受領している。今回の判決の対象となった給与ファクタリング事業者も出資法に違反する利率となる金員を受領していた。これらの業態は、大変悪質であり厳しく取り締まるべきである。
また、給与ファクタリング事業者は、既に新しい形の脱法行為として、いわゆる後払い現金化、先払い買取現金化、先払い商品券買取現金化等、新しい手口に移行している。
このような事実上の貸付けにあたる貸金業法及び出資法に違反した取引については、決して許されるものではなく、規制するための法律の制定やガイドラインの策定等による取締りが強化されるべきである。また、被害の拡大を食い止めるため広く市民に注意喚起するとともに、給与ファクタリング事業者の悪質な違法性に警鐘を鳴らすべきである。そのための活動を我々司法書士も進めて行く所存である。