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会長声明集
2018年(平成30年)06月05日
特定複合観光施設区域整備法案の廃案を求める会長声明
日本司法書士会連合会
会長 今川 嘉典
声明趣旨
特定複合観光施設区域整備法案、いわゆるカジノを含む統合型リゾート実施法案(以下「IR実施法案」という。)に強く反対し、その廃案を求める。声明の理由
IR実施法案は、本年4月27日に閣議決定され、本年5月22日に衆議院本会議で審議入りした。
その概要は、特定複合観光施設(IR)区域制度、カジノ規制、入場料・納付金等、カジノ管理委員会の設置などであるが、現状でも社会問題となっているギャンブル依存症者数がカジノ解禁により更に増加することが懸念される。その対策として、ギャンブル等依存症対策基本法案が上程(本年5月25日衆議院本会議で可決され、参議院に送付されている。)されており、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」の策定等を軸にギャンブル依存症対策を講じようとしているが、その条文は抽象的で、多くは努力規定であり、具体的依存症対策が十分に講じられているとはいえず、カジノ解禁を急ぐ今回の審議は時期早尚である。
また、IR実施法案第85条「特定資金貸付業務の規制」では、一定の規制はあるものの外国人観光客や日本人がカジノ事業者からの借入れを可能としている。借入れをしてまでカジノで遊興にふけることを法律で認めることは、依存症対策どころか、新たな多重債務者を生み出すことにもなりかねない。
政府与党は、「『IR(統合型リゾート)推進法』に基づき、様々な懸念に万全の対策を講じて、大人も子どもも楽しめる安心で魅力的な日本型IRを創りあげます。」と公約を掲げているが、対策は不十分であるといわざるを得ず、現状では依存症患者や多重債務者を増加させる危険性が極めて高いといえる。よって、当連合会は、IR実施法案に強く反対し、その廃案を求めるものである。