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会長声明集

2015年(平成27年)05月12日

大阪市における生活保護費の一部プリペイドカード支給のモデル事業を中止し、その撤回を求める会長声明

日本司法書士会連合会
会長 齋 木 賢 二

 

 大阪市は、本年4月より、生活保護費の一部について希望者に対してプリペイドカードにより支給するモデル事業を実施している。しかし、以下に述べるような問題があるため、このモデル事業を中止し、その撤回を求める。

 

1.生活保護法第31条1項が「生活扶助は、金銭給付によって行うものとする。」と定めたのは、自己決定権を尊重し、生活物品の購入について各人に委ねる趣旨であるが、生活保護費のプリペイドカードによる支給は、金銭給付にあたらず、現物給付を認める場合の同法31条1項但書きの例外規定にも該当しないもので、生活保護法上に規定のない支給方法である。

 

2.大阪市は、モデル事業導入の目的について、使途を把握することにより生活保護利用者の金銭管理支援に役立てるとしているが、利用者にとっては、保護費の使途を常に監視される結果になり、自己決定権及びプライバシー保護の観点から問題がある。

 

3.プリペイドカードが利用できる店舗は限られており、生活保護利用者が節約のために使用するような小規模店舗では利用できないため、生活保護利用者の生活並びに金銭管理に著しい不便を来すことになる。

 

4.モデル事業対象者は、スマートフォンやパソコンでウェブサイトにログインして残高を確認できる者とされていて、確認のためには一定のスキルや情報管理能力が必要となる。しかしながら、これは、事業導入の目的である「ギャンブルや過度な飲酒等に生活費を費消し、自立に向けた生活設計を立てることが困難な方」と合致しがたく、事業目的と実態が乖離している。

 

5.ギャンブル依存症やアルコール依存症に対しては、当事者の自発的な回復への意思と専門家による個別の丁寧な支援や自助グループの活用が不可欠であり、一方的に金銭管理されることにより、当事者の回復への意欲を阻害し、依存症を深化させる虞れがある。

 

6.生活保護利用者の生活支援のためには、厚生労働省からも指摘のある、400名以上のケースワーカー不足を解消して、対話などのコミュニケーションを通じた支援を行うことが重要であるにもかかわらず、このような人員不足を解消することなしに、金銭管理を導入すべきではない。

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