日本司法書士会連合会について 情報公開

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意見書等

2005年(平成17年)01月31日

 

法務省・法教育研究会「報告書」に応えて

日本司法書士会連合会
会長 中 村 邦 夫

 

 

 

日本司法書士会連合会は,法務省に設置された法教育研究会から平成16年11月4日に提出された,「我が国における法教育の普及・発展を目指して -新たな時代の自由かつ公正な社会の担い手をはぐくむために-」と題する報告書について,つぎのとおりその意思を表明する。なお,補足説明は別紙のとおり である。

 

 

(法教育活動に対する組織作り)
1.  司法書士の業務がこれからも国民に身近であり続けるようにその志向を継続し,法教育に対する学校現場からの要請に円滑に応えられる組織作りを緊急の課題として,取り組むこととする。
2. (私法分野に関する法教育活動の全国展開)
司法書士会は,消費者教育を中心とした私法分野に関する幅広い教育活動を全国展開し,さらにその充実を図ることとする。
(学校現場との交流)
3.  司法書士会は,教員と司法書士の役割分担を意識した連携の重要性を十分に認識し,既に動き出している一部地域の取り組みを全国的な活動に拡大するため,学校現場との交流をさらに拡大することとする。
(生涯教育への取り組み)
4.  司法書士会は,各地の各階層に対する長い歴史を持つ法教育の実践例を踏まえ,今後も初等中等教育から生涯学習に至るまでの幅広い取り組みをさらに充実し,真摯に取り組むこととする。

 

 

以上のとおり,日本司法書士会連合会は,司法書士の「職責」を改めて十分に認識し,司法書士に対する国民の期待に応え,これまで以上に充実した法教育を実践するものである。

以 上

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(別紙)

法務省・法教育研究会「報告書」に応えて(補足説明)

日本司法書士会連合会

 

 

法教育研究会報告書の内容は,まずはじめに,言葉の定義が確立されていない「法教育」の意義と現状を理解することに努め,そのうえで,現 状から明らかになってきた課題の克服に,国・教育現場・家庭・司法関係者の取り組むべき目標と連携の重要性を説き,より具体的な実践の提言を行ったもので あると高く評価したい。
日本司法書士会連合会は,同報告書においてもふれられているとおり,全国各地の司法書士会において司法書士が講師となり 高校生を中心にした消費者教育(法教育)を実施してきた実績を持ち,全国津々浦々において,国民と司法の良質な接点として地域に根ざした活動を展開してき た自負もある。
よって,今般法務大臣に対して提出された標記報告書において求められた当会及び司法書士に対するこれから果たすべき期待を改めて列挙し,これに対して各別に問題意識及び対処に関し補足説明を付す。

 

 

1. 『司法書士は,市民に身近な法律家として,市民と司法を結びつける役割を果たして いる。司法書士には,業務を通じて知り得た現実の社会と学校現場を結ぶ役割を担うことが期待されている。』
との期待に対し,司法書士の業務がこれからも国民に身近であり続けることを願い, 学校現場からの要請に円滑に応えられる組織作りを緊急の課題と捉え取り組んで参りたい。

 

 

2. 『消費者問題は生活全般に関係するため消費者教育に契約の基本的な考え方,社会の 中のルール,司法制度といった,法教育で必要とされる要素を取り入れる ことは可能で あり,今後は,法教育の視点に基づき,消費者教育を中心とした私法分野に関する幅広 い教育活動を全国展開していくことが望まれる。』
との期待に対しては,実践しているからこそ時代の要請に敏感であり続けられるので あり,既に様々な講師用資料が蓄積され,今も続けられている。しかしながら,報告書 の指摘をあらためて検証の好機と捉え,充実を図りたい。

 

 

3. 『司法書士会では,教員と司法書士が連携した教材作成の取組みが行われているが, この教材作成に当たっては,担当教科にかかわらず教員であれば誰でも授 業が可能であって,全国いずれの学校であっても,生徒が理解できるものとなることが重要であり, さらに,先進的な学校では,教員が発展授業にも取り組め るような実践プランの策定が 期待される。
法教育を担う教員が,その必要性を実感したときには,教員は自らの役割と外部講師 の役割を整理し て,より効果的な教育実践へと高める能力を持っており,主人公は生徒, 授業運営の主役は教員,司法書士は名脇役あるいは名黒子役といったお互いの持つ力 を 活用した授業展開の研究と実践が望まれる。
そして,教員と司法書士との連携を,一層確かなものとするため,講師の側である司 法書士に対する法教育の入門講座等を通じて,司法書士と教員とが対話できる場面の充 実を図るよう司法書士の理解を促進することが望まれる。』
との期待に対しては,学校現場(教員)との連携が極めて重要であることの認識は古くからあるものの,その連携が生まれたのは新しい。そのため,教材作成 はまだまだこれからである。よって,報告書に背中を押される思いで,既に動き出している一部地域 の取り組みを全国的な活動に拡大するため,学校現場との 交流を広めて参りたい。その 際は,司法書士と教員の役割分担を意識した連携の重要性についても的確な指摘を頂いたものと認識している。
さらに,教員が取り組める実践プランの策定には,司法書士会や司法書士だけでなく 弁護士の関与も当然のこととして求められるのであり,日本弁護士連合会への働きかけ についても積極的に取り組んで参りたい。

 

 

4.  『司法書士は,地域において市民生活に密接にかかわる法律実務家であるという特性 を生かし,学校教育を基礎として,生涯学習までを視野に入れた取組み,さらには,これらの実践活動を通じて,法教育の必要性を周知する役割を果たすことが望まれる。』
との期待に対しては,成年後見業務などを通じた福祉関係者への法教育実践,多重債 務問題を通じた各種団体への法教育実践,相続登記手続及び遺言等を通 じた地域住民に 対する法教育など,司法書士会の長い歴史を持つ実践例を踏まえ,今後ともさらに初等 中等教育から始まり生涯学習に至るまでの幅広い取り 組みを充実させる活動が,司法書 士制度に課せられた社会的使命の一つであると認識し,真摯に取り組んで参りたい。

 

 

5. さいごに
民間における司法の担い手は,ひとり「弁護士」だけではない。また,司法書士が加わるだけでも足りない。今回の報告書において,法教育の実践に司法書士 と弁護士が果たすべき役割が明記されたが,日本の司法制度をこれからの100年で考えたとき,司法書士として果たすべき役割を十全に果たしつつ,弁護士や 税理士その他のいわゆる隣接法律専門職種が地域社会を活動の拠点としてそれぞれの経験と智恵を児童生徒や地域住民に還元する活動は,「職責」と認識される べきである。
司法書士会内の認識を深める活動にも積極的に取り組んで参りたい。
 

 

以上

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