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意見書等

2011年(平成23年)06月09日

消費者庁地方協力課 御中

国民生活センターのあり方の見直しに係るタスクフォース「中間整理」に対する意見

日本司法書士会連合会
消費者庁対応委員会

【意見の趣旨】
1.消費者行政の充実をはかるために議論を尽くし、国民生活センターの機能がさらに向上するよう見直すべきである。
2.中間整理において検討されている国民生活センターの消費者庁への一元化について、反対である。
3.国民生活センターのあり方については、消費者行政の役割が後退してしまうことのないように慎重に議論すべきである。

【意見の理由】
1.消費者行政全体の機能強化について
  中間整理において、消費者行政の強化のために、国民生活センターが有する各機能(支援相談、研修、商品テスト、情報の収集・分析・提供、広報等)を、基本的に一体として国(消費者庁及び国民生活センター)で実施すべきと確認されたことについては評価する。
  なお、直接相談は本年4月に廃止されたが、これを復活させるべきである。なぜなら国民生活センターの相談員が直接的に相談に応じることは数多くの利点があるからである。たとえば、各地の消費者被害情報が拾い上げられること、センターで情報を集約できること、その情報により調査研究することで地方消費者行政関係者への支援相談につながること、消費者への注意喚起や情報提供等をより迅速かつ詳細に行うことができること等である。これらにより消費者行政全体の一層の強化を図ることができるので、直接相談を復活させるべきである。

2.国民生活センターの各機能の相互補完性・一体性について
  国民生活センターの各機能が相互補完関係を有し、これらが一体となって地方消費者行政に対する支援機能を果たしていること及びこのような相互補完性・一体性が不可欠であることの指摘については評価する。
  しかし、各機能の相互補完性・一体性が不可欠であるならば、今後の方向性として、なぜ支援相談、研修、相談処理テスト等を「施設等機関」として位置付けし、情報部門及び商品テスト(相談処理テスト以外のもの)を消費者庁の内部部局化するなどして各機能を分離させるのか。相互補完性・一体性を破壊する方向性は指摘と矛盾している。
  国民生活センターの各機能を分割して施設等機関や内部部局化した場合、施設等機関と内部部局との連携関係が現状よりも低下することが予想され、消費者行政の強化につながるものとは思えない。よって、各機能を施設等機関及び内部部局に移管することには反対であり、国民生活センターの消費者庁への一元化については反対するものである。

3.情報提供の柔軟性・機動性について
  これまで、消費者庁は法執行等の「規制行政」、国民生活センターは「支援行政」という違った側面から消費者保護を担ってきた。消費者庁による「規制行政」とは、事業者の行為や被害の規模などを十分に調査し、速やかに法執行や司令塔機能を強化するために情報発信するものであり、国民生活センターによる「支援行政」とは、消費者被害が発生した場合に、迅速に機動的に情報発信を行い、被害の最小化を図るためのものである。この2つはそれぞれの与えられた役割を十分に発揮できるように連携体制を整備すべきである。
  また、社債発行業者「アフリカントラスト」による金融商品被害が発生し、平成21年3月に国民生活センターが社名公表して国民に情報提供した。しかし、消費者庁が金融庁と連携して社名公表したのは、その7ヶ月後の10月であった。国民生活センターが迅速に情報提供できたのは支援行政を担っているための柔軟性によるものであり、それに対して、消費者庁の発表に時間を要したのは、規制行政を担っていることから厳格な法解釈や慎重な法執行が必要となったからである。ここからわかるように、消費者行政の充実・強化のためには、国民生活センター及び消費者庁それぞれが異なる役割を適切に果たすことが重要であり、柔軟かつ迅速な対応をする注意喚起や情報提供を国民生活センターが行い、消費者庁がそれを踏まえた法執行を行うようにすれば業務の重複を避けることができる。注意喚起が重複したとしても、それは被害の拡大防止につながるものであるのだから、むしろ望ましいことである。
  なお、国民生活センターはホームページやメールマガジンにより消費者被害情報を発信しているものの、高齢者がパソコンを自在に扱うことが困難である場合が多いことを考えると、国民に対する有効かつ適切な情報提供の方法を新たに考案すべきである。
  中間整理では、国民生活センターの情報提供が持つ柔軟性・機動性を生かす組織運用として、「情報発信調整会議(仮称)」を開催し、注意喚起や情報発信について施設等機関と関係課で相互に連携を図ることが検討されている。しかし、同会議の開催ないし関係課による調整を待っていては、これまで国民生活センターが行っていた情報提供の柔軟性・機動性といったメリットが失われる懸念がある。
  また、施設等機関の実務から生じた問題提起を政策形成に活用・反映するため、消費者庁長官主催の「消費者政策レヴュー会議(仮称)」を開催することが検討されているが、当該会議を設置することが、国民生活センターの情報提供の柔軟性・機動性を損なうことにならないのか、十分に検討されなければならない。

4.国民生活センターが保有する情報の扱いについて
  国民生活センターは、長年にわたるPIO-NETの運用によって、消費者被害に関する膨大な情報を保持している。そして、現在まで、PIO-NET情報の機密性は厳格に守られてきた。
  この情報の機密性こそが国民生活センターへの信頼の基盤となっており、消費者は安心して国民生活センターへ相談することが可能となっている。
  規制行政を担当する消費者庁にPIO-NET情報を移管すれば、消費者保護に求められる機動性・迅速性が大きく後退することが懸念されるとともに、行政による情報支配の弊害が強く懸念される。なお、貸金業法でも、借り手の信用情報は民間の信用情報機関が保持し、金融庁は信用情報機関への監督は行っても信用情報へ直接口出しすることはない。このことと比較してみても、特定行政機関(内部部局)への情報の集中をもたらす一元化には賛成できない。

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