-
意見書等
2012年(平成24年)03月29日
日本貸金業協会 御中
任意整理統一基準に基づく和解に応じることを求める要望書
日本司法書士会連合会
会 長 細 田 長 司第1 要望の趣旨
1 任意整理事件において、司法書士が代理人として『司法書士による任意整理の統一基準』に基づいた和解の提案をした場合には、これに応じるよう貴協会会員にご指導いただきたい。第2 要望の理由
債務者から任意整理を受任した司法書士は、従前から貴協会会員である貸金業者に対し、東京三弁護士会作成の統一基準とほぼ同内容である、『司法書士による任意整理の統一基準』(以下「統一基準」という。)(平成16年6月25日第65回日本司法書士会連合会定時総会決議)に基づく和解の提案をし、ほぼ全ての貴協会会員の理解をいただき、それによる和解が成立してきた。また、これまで、法的整理である特定調停や17条決定などにおいても、統一基準に準じた取扱いがなされている。しかしながら、近時、統一基準による債務者の和解提案に応じない姿勢を顕著に示す貴協会会員が少なからず存在している現状がある。
具体的には①取引履歴の一部不開示 ②和解に至るまでの遅延損害金の付加 ③完済に至るまでの将来利息の付加 ④一括返済若しくは短期間(2~3回)での完済でなければ和解に応じない対応 ⑤司法書士からの受託通知発送後短期間(2~3ヶ月)での訴訟提起 ⑤債務者に経済的更生に資するとしてなされた特定調停法17条決定に対する異議申立等があげられる。
そもそも、債務を整理して経済的更生を図ることは、本人自身の利益にかなうのは無論のこと、経済的な困窮から起こる犯罪や家庭の崩壊などを防止し、国民全体の利益である公共の安寧秩序を維持する観点からも、必要不可欠なことである。そして、社会生活の基礎的な単位である個人及び家庭を経済的に再建することは、当該個人及び家庭のみならず、社会保障費を負担する国民全体にとっても極めて重要な関心事であり、その最初の一歩である司法書士による債務の整理は単なる私益の問題でなく、国民全体、すなわち公共の立場で行われているものである。そして、このことは平成19年4月20日多重債務者対策本部により決定された多重債務問題改善プログラムの基本的考え方に記述されている事でもある。
しかしながら、貴協会会員の一部の会員においては、債務者の経済的更正に理解を示さず、専ら私益の主張を強硬に貫く姿勢が見受けられる。これらの貴協会会員の対応や姿勢は、貴協会の目的である『資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資すること』に反するものであると言わざるを得ない。
以上のような現状を改善するために、当連合会として、貴協会に対し要望の趣旨のとおり、貴協会会員に指導を徹底していただくよう求めるものである。以上