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総会決議集

社会問題である多重債務問題の抜本的解決のため、監督官庁等に対して、貸金業者への指導・監督の徹底と多重債務者の経済的再建を阻害する貸金業者の行為の自粛要請並びに不適切行為に関する立法等の施策を求める決議

日本司法書士会連合会は、金融庁・消費者庁・各財務局及び都道府県金融課・貸金業協会等関係機関に対し、国の責務である多重債務問題の抜本的解決と多重債務者救済のため、下記の事項を要請するとともに、多重債務問題改善プログラムが実効性あるものとなるよう、関係機関との連携強化を図ることを決議する。

 

  1. 監督官庁等は、貸金業者が登録を廃止した際に義務付けられている残貸付債権の回収方針や債権譲渡等(借換え並びに借換え斡旋を含む)の届出を強化し、過払金逃れのための廃業・債権譲渡・形式的借換えといった行為により、多重債務者の経済的再建が阻害されないよう、登録廃止の前後を問わず、貸金業者の指導・監督・取締りを徹底・強化すること。
  2. 監督官庁等は、国の責務である多重債務問題の抜本的解決と多重債務者の経済的再建という目的達成のため、残債務処理事案に関する貸金業者の不適切行為(短期間の分割弁済の和解や将来利息の強要等)の指導・監督を徹底・強化し、日本司法書士会連合会の「司法書士による任意整理統一基準」等に沿った返済計画の立案等に積極的に協力することを義務付ける等、貸金業者の不適切行為に関する立法・規則制定等の施策を早急に講じること。

2010年(平成22年)6月25日
日本司法書士会連合会 第72回定時総会

【提案理由】

2006年に改正貸金業法が成立したことにより、多重債務問題の抜本的解決と多重債務者救済のため、内閣府に多重債務対策本部が設置され、国家プロジェクトとして多重債務問題改善プログラムが実施されている。しかしながら、一部の貸金業者は、過払金を請求された場合は大幅減額を譲らず、残債務が残る場合には、多重債務者の経済的再建という公的側面を重視した日本司法書士会連合会の 「司法書士による任意整理統一基準(別紙、日本司法書士会連合会 第65回定時総会決議)」 等を蔑ろにし、自社の営利のみを追求した自己本位な経営上の理由や自社基準などにより、将来利息の強要や無理な短期間での返済の強要、さらには当該当事者案件とは別当事者の案件を引き合いに出し、以後の和解案を全て拒否するかのごとき言動により、自己に優位な和解案を承諾するよう強要している。また、一部には不当に過払金返還を逃れるため、形式的な廃業や債権譲渡、意図的な借換え斡旋を用いて脱法行為を繰り返している業者も存在する。そのうえ、形式的に登録を廃止し、新たに親族などの関係者名義で登録した貸金業者での借換・完済を強要し、また借換や債権譲渡で債権を得た業者は、借換前や債権譲渡前の業者とは、まるで無関係であるかのような外形を装い、取り立て行為を行って市民を苦しめている。

 

これは金融庁の 事務ガイドライン(別紙参照)で規定されている債権譲渡等の届出義務に違反し、他からの資金調達による完済の強要(いわゆる貸金業者主導による意図的借換)は貸金業法に抵触する悪質な行為であり、社会の要請である多重債務問題の解決、ひいては多重債務者の経済的再建を阻害する行為であり、経済活動を営む企業としての社会的な責任とコンプライアンス遵守の精神を蔑ろにするものであり許されない。

 

しかし現状として、このような状態が横行しているにもかかわらず、監督官庁は、貸金業法上「みなし登録業者」として、監督官庁の指導監督権限が及ぶ、登録廃止後の貸金業者の件につき「登録を廃止したからうちには関係ない」「廃業した業者に指導監督はできない」との態度を示すことも多く、このような悪質な行為を監督官庁が何ら把握せず、指導・監督さえしていないことも、貸金業者が上記の行為を繰り返す温床となっていると言っても過言ではない。

 

よって、日本司法書士会連合会は、関係機関と今まで以上に連携を強化し、多重債務問題改善プログラムの本来の目的である多重債務問題の抜本的解決に向けて全力で取り組み続けることを宣言し、監督官庁及び関係機関に対し、多重債務問題を引き起こした当事者である貸金業者に多重債務者の経済的再建に積極的に協力することを義務付けるなど、法を遵守し、自己利益追及のためだけに多重債務者の経済的再建を阻害することがないよう適切な措置を講じ、不適切な行為に対しては、厳しく指導・監督・取締りを行なうよう求めるとともに、今後は立法あるいは規則制定により問題の本質的改善を求めるために本議案を提出する。

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