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総会決議集

割賦販売法の抜本的改正を求める決議

【趣旨】

  1. 日本司法書士会連合会は、割賦販売法改正にあたり、クレジット会社につき、共同責任規定の導入や不適正与信防止義務を明確化する等、民事効の導入を中心とした、消費者保護の観点に立った抜本的改正を行なうことを強く求める。
  2. 日本司法書士会連合会は、意見の公表、行政庁・国会・地方議会に対する要請、世論の喚起等、前項の改正を実現させるために必要な活動を行う。

 

以上のとおり決議する。

2007年(平成19年)6月22日
日本司法書士会連合会 第69回定時総会

【理由】

  1. 契約書型クレジットに被害が集中・現行割賦販売法の不備
    近時、住宅リフォームや寝具、呉服、貴金属などの次々販売をはじめ、消費者の資力等を無視した悪質商法被害が大きな社会問題となっているが、これらの被害は、クレジットカードを利用せず、契約書を用いる個品割賦購入あっせん取引(以下「契約書型クレジット」という)に集中している。
    このような被害が発生する背景としては、クレジットシステムが、(1)商品販売と代金回収を分離するシステムであり、顧客の支払能力を無視した販売行為を助長する危険性を有していること(販売店は即時クレジット会社から代金の支払を受けることができる)や、(2)クレジット会社の利益は、販売店からの契約によってもたらされるので、クレジット会社が、不正な勧誘行為等を行わないよう販売店を管理等することは期待できないことなど構造的な危険性を有しているにも関わらず、現行割賦販売法(以下「現行法」という)には、以下のとおり、クレジット会社が不適正な与信を防止する動機付けとなる規定が存在しないことが指摘されている。
  2. 抗弁対抗規定の限界―共同責任規定の導入
    現行法の抗弁対抗規定(法30条の4ほか)は、クレジット会社からの支払請求を拒否するにとどまり、同規定に基づき、既払金の返還請求までは認められないとされる。
    その結果、クレジット会社には、加盟店の不正を発見したとしても、直ちに加盟店契約を打ち切らずに、できる限り既払金額を増やそうとする誤ったインセンティブが働いてしまい、それが悪質な加盟店による被害の増大に結びついてしまうことになる。
    社会問題となったダンシングモニター商法事件、アイディック節電器事件などは、まさに上記問題点が具現化した例である。
    こうした問題点に対しては、行政規制の強化や、業界の自主規制により対処すべきであるとの意見も存在する。しかしながら、行政規制や自主規制のみでは効果がないことは、例えば、特定商取引法は、行政規制等が明記されているが、それでも依然として悪質販売業者が後を絶たないことからも明らかである。
    そこで、現行法の支払拒絶に加え、クレジット会社の不適正与信防止義務を徹底する動機付けとするため及び被害の回復という観点から、既払金の返還にまで拡大した民事効の導入が不可欠である。
    そして、その規定については、(1)過失責任とすると、クレジット会社・加盟店間という内部関係(加盟店管理責任を怠ったこと)を立証しなければならないこと、(2)加盟店管理責任が指摘された大規模クレジット被害事件は解決までに平均5年程度にも及ぶこと(裁判の長期化)、(3)クレジット会社は自らが構築したシステムにより、利益を得ているのだから、システムにより損害が発生した場合はその損害を賠償することが妥当であること(創造者責任・報償責任の観点)、などから、無過失責任(共同責任)規定とすべきである。
    イギリスにおいては、既に30年以上前に同規定が導入されているところ、クレジット取引は安全性を有するものとしての地位を確立するに至り、同規定導入後はその取引高が増加しているとの報告もなされている。
    したがって、同規定の導入はクレジット取引の阻害・抑圧ではなく、むしろ、クレジット取引の発展に繋がることが期待されるのだから、経済的側面からの要請とも一致するのである。
  3. 行為規制
    現行法には、クレジット会社に対し、不適正与信を防止する義務規定は存在せず、行政庁がいわゆる加盟店管理通達として、昭和57年からこれまで複数回にわたり、クレジット業界に対し、その要請を行ってきたに過ぎない。
    また、契約書型クレジットについては、開業にあたり登録等も必要でないほか(総合式・リボルビング方式の場合は登録制)、契約書面の交付義務等もなく、いわば“野放し状態”といっても過言ではない状況である。
    そこで、契約書型についても登録制を導入するとともに、契約書面交付義務をクレジット会社にも課すべきである。
    さらに前述のとおり、クレジットシステムの構造的危険性に鑑み、クレジット会社の不適正与信防止義務を法文上明記すべきである。
    そして、同義務違反の場合、損害賠償責任を負うことをも明記すべきである。
  4. 過剰与信防止義務
    現行法第38条は、信用情報機関の利用等により、支払能力を超えると認められるクレジット契約を行わないようにしなければならないと規定するが、同条は訓示規定と解されていること、信用情報機関には登録されていない取引があること、虚偽の情報が登録されている場合があるなど、その信頼性にも問題があるため、同条が過剰与信防止のために機能しているとは言い難い。
    そこで、消費生活への影響も十分に考慮しながら、貸金業法に規定される、いわゆる総量規制の導入や違反した場合の民事効の導入等、実行性ある過剰与信防止規定を定めるべきである。
    また、信用情報機関についても、目的達成に必要な整備を行うべきである。
  5. 割賦要件・指定商品(権利・役務)制の存在
    現行法は、「2ヶ月以上の期間にわたり、かつ、3回以上の分割」という割賦要件及び、同法の政令で定められた指定商品(権利・役務)に該当する取引を同法の対象とする。
    このため、例えば、夏・冬ボーナス2回払い、半年後一括払いという支払条件では同法は適用されないし(年金受給者のケースで実際にこれら支払条件となっていた事例がある)、指定商品(権利・役務)外の取引の場合も同様に同法は適用されないことになる。
    したがって、こうした要件が悪質業者の脱法的手段に繋がることから鑑みると、割賦要件・指定商品(権利・役務)については、基本的には廃止の方向で検討することが望ましいものと思われる。
    ただし、決済手段としての性質を有するマンスリークリア方式をも本法の適用対象とすることが妥当か、指定制度を全廃することによる、経済取引界全体の影響等も慎重に検討したうえで、今後の議論を進めるべきである。
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