日本司法書士会連合会について 情報公開

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意見書等

2005年(平成17年)01月31日

内閣府国民生活局消費者企画課 御中

消費者基本計画の素案について

日本司法書士会連合会
消費者法制検討委員会

 

 

当委員会は、平成16年12月28日内閣府国民生活局が意見を募集する「消費者基本計画(素案)」の「1 消費者基本計画策定の趣旨」 「2 今次基本計画が目指す消費者政策の基本的方向」に賛成し、「3 今次基本計画における消費者政策の重点」について以下に意見を述べる。
なお、意見書の提出に当たっては、素案の番号・標題(ゴシック体にて表示)に対応して記述をした。

 

 

「3 今次基本計画における消費者政策の重点」について
(4)分野横断的・包括的な視点に立った取引ルールづくり
[1]情報提供義務や勧誘の在り方等についての幅広い検討

 

 

意見の趣旨
事業者の行為規制という観点にとどまらず、事業者が情報提供義務を欠いた場合や事業者の不適切な勧誘によって契約を締結させられた消費者が契約関係から離脱することのできる民事ルールを検討すべきである。
意見の理由
消費者契約法施行後3年が経過し、相当数の判例が蓄積されている。とりわけ、大津地裁平成15年10月3日判決(消費者法ニュース第58号129頁)は、 故意または過失により不適切な情報提供を行い、これによって相手方に損害を与えた事業者に対し、損害賠償責任を命じた事案であり、消費者契約法の趣旨から 事業者の消費者に対する契約交渉段階における説明義務を認めた点で評価できる。
この判例の事案と同様に事業者による情報提供が充分になされてい ないケースのほか、事業者による不適切な勧誘が行われるケースも相変わらず後を絶たない。厳しい行為規制を巧妙にかいくぐったり、そもそも規制を遵守しよ うとしない事業者が後を絶たないからである。よって、これらのケースで契約を締結させられてしまった消費者が、事後的に契約関係から離脱することのできる 民事ルールを検討すべきである。
消費者基本法において「消費者の自立の支援」が基本理念とされ、消費者にも一定程度の「自己責任」が求められている以上、事業者の行為規制はもちろんのこと、消費者自身の判断によって不本意な契約関係からの離脱を認めるための民事ルールが求められるからである。

 

 

[4]信用分野における消費者信用全体からみた幅広い検討

 

 

意見の趣旨
消費者信用取引の増大とともに、多重債務問題の深刻化、信販会社に対する支払義務に関するトラブル等が生じている現状を踏まえ、過剰与信、高金利、抗弁権接続、加盟店管理等の問題に適切に対応すべく、統一的な消費者信用取引のルールを早急に検討すべきである。
意見の理由
消費者基本法の基本理念である「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立の支援」を達成するためには、消費者の自主的かつ合理的な商品等の選択の機会が確保 されるとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動できるよう、消費者信用取引の分野においても、消費者トラブルを効果的に 抑止するための適正な取引ルール等の基盤整備が必要である。
ところで、現在の消費者信用に関する法制度は、金銭貸付については、貸金業規制法、 利息制限法、出資法により規制されており、また、クレジットについては、割賦販売法により規制されている。このように縦割りの規制がなされているために、 規制の内容が統一されておらず、規制の趣旨を達成することが困難な状態にある。さらには、個別の取引分野ごとにルールを定める現在の手法では新種の取引類 型における消費者トラブルに対して迅速な対応が困難な現状にある。
そこで、消費者信用取引については、分野横断的かつ包括的な、統一したルール を早急に創設すべきである。その中でも、特に、社会問題化している多重債務問題は、緊急性があり、早急に対応する必要がある。これについては過剰与信と高 金利がその原因として横たわっている。また、クレジットに関する契約から発生する諸問題は、売買契約と立替払契約が法的には別個の契約であることから消費 者被害の解決を困難にしている。この問題を立法的に解決するため、三者間契約の検討をすすめるべきである。

 

 

[5]ITを利用した取引における利用者保護ルールの検討

 

 

意見の趣旨
・迷惑メールを抑制・防止するための方策として、不招請メールを禁止するオプトイン方式を導入する方向で検討すべきである。
・インターネット取引の普及に対応するため、消費者契約全般におけるルール・規制の在り方等についてIT技術の進歩に伴う新たな電子商取引の形態へ迅速に対応しつつ、利用者に分かりやすい用語でルール整備を検討すべきである。
意見の理由
携帯電話等を中心とした、受信者の同意を得ず一方的に送信される広告宣伝目的の電子メール(いわゆる迷惑メール)への対応については、平成14年7月に 「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」が施行され、この法律による取り締まりや、電気通信事業者の自主的対応により、一定の成果を上げていると ころであるが、送信行為の巧妙化・悪質化等が進行しており、未だ迷惑メール問題は解決していないという状況が続いている。
総務省においては、 「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」を開催し、迷惑メールの流通を抑制・防止するために必要な方策について検討し、平成16年12月24日、同 研究会において、「中間とりまとめ」が公表され、「オプトイン方式では、広告宣伝メールの送信者への制約がオプトアウト方式に比して厳しいものとなるた め、迷惑メール対策としての有効性について継続的に注視するとともに、当面はオプトアウト方式のもとでの取り締まりの効果的な実施を図ることが適当」との 考えが示されている。
しかしながら、消費者側の観点からは、オプトイン方式を導入した場合には、広告宣伝メールの送信者は、受信者の承諾を得ず に広告宣伝メールの送信をした場合は違法であるため、受信者は、正当な広告宣伝メールか違法なメールかの判断が容易になるのは明白であり、迷惑メール対策 には有効性が高いと考えられるので、オプトイン方式を導入する方向で検討すべきである。
また、インターネット取引が普及してきたことに伴い、電 子商取引をはじめとした新たな経済行為を産み出しているが、民法を始めとする現行法の大半はこうした新たな技術を前提とせずに制定されているため、電子商 取引について、現行法がどのように適用されるのかその解釈が明確であるとは言い難く、当事者が安心して電子商取引に参加できる法的な環境にあるとは言えな い。例えば、意思の伝達が電子的方法によることから生じる問題(電子承諾通知の到達時点とはいつなのか、なりすましについての本人への効果帰属など)、サ イバーモールやネットオークション等の新しい取引形態から生じる問題(運営者の責任、売買契約の成立時期など)、ライセンス契約という情報財の取引等につ いての問題(ライセンス契約の成立要件や成立時期、解除の可否、契約終了時のユーザーの情報材の取扱いについてなど、民法85条は、物とは有体物をいうと の規定となっており、情報という無体物を民法においてどのように扱うか不明瞭である)等、インターネット取引特有の問題が存在する。
一般的な民 事ルールである民法は、明治時代に制定されたこともあって、法解釈が不明確となる点は否めない。こうした問題に対応するために、経済産業省では、現行法の 法解釈についての考えを「電子商取引等に関する準則」として公表している。消費者トラブルを未然に防ぐためにも、この準則を叩き台にし、早急にインター ネット取引に対応できるルールの整備を図る必要がある。また、インターネット等のIT技術は変化が激しい分野でもあるので、立法的に新しい法的問題点にも 迅速に対応できるよう、かつ、利用者にも分かりやすい用語を用いて、ルール整備の検討を併せてする必要がある。

 

 

(5)消費者団体訴訟制度の導入

 

 

意見の趣旨
・消費者団体訴訟に、損害賠償請求訴訟の導入を検討すべきである。
・独占禁止法及び景品表示法の他に、「特定商取引に関する法律」における団体訴権の導入についても検討されるべきである。
意見の理由
消費者団体訴訟として差止請求訴訟制度が導入されることで、消費者被害の未然防止・拡大防止に期待が寄せられる。しかし、差止請求訴訟が提起される時点に おいては、すでに消費者被害が発生しており、事業者に不当な利得がもたらされていることが予測されるので、差止請求訴訟制度だけでは消費者団体訴訟制度と しては不十分である。
消費者が個別に被害回復を図ろうとする場合、被害回復を求める損害額に比べ、訴訟に要する費用や時間の負担が大きいため、泣き寝入りを強いられるケースが多い。この結果、不当な利得が悪質事業者の手元に残ってしまうことになる。
よって、事業者に対し、不当な利得を吐き出させる損害賠償請求訴訟が、消費者団体訴訟制度の一つとして導入されるべきであり、両者が機能することにより、はじめて悪質事業者の監視・取締りの強化と不当な利得の吐き出しが図られるのである。
また、消費者トラブルの相談は、「特定商取引に関する法律」の規制対象とする取引が多い現状に鑑み(独立行政法人国民生活センター編「消費生活年報2004」40頁、42頁)、同法にも団体訴権を導入すべきである。

 

 

(7)消費者からの苦情相談の活用

 

 

意見の趣旨
国民生活センターの機能を十分に発揮できる方策と共に、消費者トラブルに関する注意情報の消費者への迅速な提供及びこれの有効活用との観点からも検討すべきである。
また、消費者団体とのネットワークの構築についても積極的に検討すべきである。
意見の理由
全国各地に配置されている消費生活センターは、消費者にとって身近な相談窓口であり、その消費生活センターの中核的機関として国民生活センターが積極的に活動することは、消費者にとって大変望ましいことである。
実際に、消費者から消費生活センターに寄せられる相談件数は、平成15年度には137万件に達しており、近年増加の一途をたどっている。相談情報は PIO-NET等に集約され整理、分析が行われているが、全体として消費者被害の減少には必ずしも繋がっていない。膨大な相談処理を効率的に行い、消費者 からの期待にこれまで以上に応えるため、国民生活センターがその機能を十分に果たすことができる方策を検討すべきである。
また、関係機関等の協力のもと、集約された情報が広く消費者全体に迅速に提供され、被害防止のために有効活用されることも重要であるから、関係機関等とのネットワークを積極的に構築するべきである。

 

 

(8)緊要な消費者トラブルへの対応
[1] 架空請求・不当請求の排除
ア.預金口座の不正売買の防止

 

 

意見の趣旨
素案に賛成する。
意見の理由
平成16年12月22日付「「架空請求・不当請求に関する消費者トラブルへの対応策」に係るフォローアップについて」(架空請求・不当請求に関する関係省 庁等担当課長会議)2(2)において、金融庁による預金口座の不正利用防止の取り組みが示されており、不正口座の強制解約等が一定の成果を挙げている。
当会もこれに賛成し、取り組みへの一層の徹底を求めるものである。
また、「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」第16条の2違反行為については、素案に指摘のとおり、同条の趣旨を踏まえた取り締まりの強化徹底を求める。

 

 

イ.携帯電話の犯罪利用の防止

 

 

意見の趣旨
プリペイド式携帯電話について、契約者の本人確認を徹底させることはもとより、すべての携帯電話について、犯罪に利用された電話番号等の情報提供をし、携 帯電話事業者が、提供された携帯電話の利用停止、強制解約等の措置を講じることができるための法整備を検討すべきである。
意見の理由
プリペイド式携帯電話については、平成16年12月22日付「「架空請求・不当請求に関する消費者トラブルへの対応策」に係るフォローアップについて」 (架空請求・不当請求に関する関係省庁等担当課長会議)2(1)において、既に総務省が具体的対策を提示しているが、当会もこれに賛成し、届出義務並びに 届出がない等の場合の利用停止につき、早期の制度化とその徹底を求めるものである。
一方、犯罪に利用されるのはプリペイド式携帯電話に限られないことから、すべての携帯電話について、犯罪に利用されていることが判明した場合には、被害の未然防止という観点から必要な措置が講じられるべきである。
預金口座の不正利用に関し、金融機関等への情報提供による口座の強制解約等が一定の効果をあげているように、携帯電話に関しても、犯罪に利用された電話番 号等の情報提供をすることで、携帯電話の利用停止、強制解約等の措置を講じることが可能であり、そのための法整備を検討すべきである。

 

 

ウ.架空請求等に関する対策のフォローアップ

 

 

意見の趣旨
架空請求等に関する対策の具体策として、次のような事項を内容とした法整備を検討すべきである。
・不招請メールを禁止し(オプトイン規制の導入)、その実効性を確保するために、消費者に取消権を認める。
・「特定商取引に関する法律」の表示義務違反に民事的効力を設ける。
意見の理由
不招請メールの禁止
架空請求等は、携帯電話などに無作為に送信される電子メールが起因となる事が多い。電子メールに関する法規制については、平成14年4月11日に「特定電 子メールの送信の適正化等に関する法律(迷惑メール防止法)」が成立し、送信拒否の通知をした者に対する特定電子メールの送信が禁止された(同法4条)。 また、同年4月12日に「特定商取引に関する法律」が一部改正され、電磁的方法による情報の提供を希望しない者に対する提供が禁止された(同法12条の 2)。
これらはいずれも、送信拒否の通知をした者に対する送信を禁止するいわゆる「オプトアウト」規制であるが、オプトアウト規制の導入後も、架空請求等による被害は増加の一途をたどっており、オプトアウト規制が、被害防止には不十分であることが明白である。
よって、架空請求等の抜本的解決のために、あらかじめ受信を承諾した以外の者に対する送信を禁止するいわゆる「オプトイン」規制を内容とする法整備を検討 すべきであり、さらにその実効性を確保するため、不招請メールに起因する消費者契約には、消費者に対し、その契約を取り消すことができる権利を付与すべき ことを含めて検討すべきである。

 

 

表示義務違反への民事効

 

 

架空請求等の被害は、出会い系サイトやアダルトサイトの有料情 報料の請求に関する相談が圧倒的多数を占める。これらはいずれも、特定商取引法の指定役務に該当し(出会い系サイトにつき特定商取引法施行令3条3項別表 第三「11 結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」、アダルトサイトにつき同「13 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工 芸品を鑑賞させ又は観覧させること」にそれぞれ該当)、通信販売に関する規定が準用される。したがって、同法11条及び同法施行令8条規定の各項目につい て、事業者に表示義務が課せられる。
一方、事業者が表示義務に違反した場合も、主務大臣から、必要な措置を取るべきことの指示がなされるに留まり(同法14条)実効性が乏しい。
平成16年9月8日付「いわゆる「オレオレ詐欺」事案の認知・検挙状況」(警察庁・報道資料)が明らかにするとおり、架空請求等の被害は最大の社会問題と 言っても過言ではなく、その抜本的解決が急務であることは言うまでもない。そうであるならば、事業者に既存の法的義務(特定商取引法上の表示義務)の遵守 を徹底させると共に、その実効性を確保するため、事業者が義務を果たさない場合には、契約の取消や解除といった民事的効力が生ずる旨の法整備を検討するこ とは、事業者に過大な負担を強いるものではなく、また被害の減少にも寄与するものである。

 

 

[2] 外国為替証拠金取引の適正化

 

 

意見の趣旨
新たな問題のある取引が生じた場合には、迅速に立法面での対応を図る旨、消費者基本計画に明記されたい。
意見の理由
消費者被害は、悪質事業者により生み出される新たな取引により、次々と発生していくものである。現時点で予測のできない新たな消費者被害が発生した場合には、立法面において常に迅速な対応が求められることは言うまでもない。
よって、あらゆる消費者被害への迅速な対応を、消費者基本計画に明記されたい。

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消費者基本計画の素案について(消費者教育に関する部分に対する意見)

日本司法書士会連合会

初等中等教育推進委員会

 

 

日本司法書士会連合会は、全国各地で消費者教育活動を実践してきた実績から、消費者教育の重要性を認識し、かつ、法務省において研究され てきた法教育研究会の報告書を受けて、今後、これまでの消費者教育を中心とした活動に法教育の視点からの内容を加えて充実発展させる活動を推進したいと考 えている。
法務省で推進しようとしている法教育の中には消費者教育を含んだ私法の分野での教育内容も中心的なものとして位置付けられており、願 わくば、消費者が主体的に思考する能力を育成するものを内閣府、文部科学省、そして法務省等関係する政府機関が連携をしたうえで、方向性を一にした形での 教育推進を具体的に展開されることを望む。そして、それらにかかわる法律実務家等が教育現場との連携をしながら、より効果的な実践活動をすることも活動の 中核とすることも合わせて望む。
これらをふまえ、以下に具体的意見を申し上げる。

 

 

消費者基本計画素案では、消費者の自立のため の基盤整備の一環として「消費者が生涯を通じて消費者教育を受けられる機会の充実を図ることにより、消費者全体がトラブルを防止するために必要な知識を得 ることができるように」するための課題として、「消費者教育の推進体制の強化、消費者教育の担い手の育成・支援、教材の開発・提供等」による消費者教育の 充実が計画されている。
一方、法務省法教育研究会においては、平成15年7月より平成16年10月まで「法教育」についての研究が行われ、平成 16年11月4日、その成果として「我が国における法教育の普及・発展を目指して─新たな時代の自由かつ公正な社会の担い手をはぐくむために─」と題する 報告書(以下「報告書」という)が発表された。報告書では、「国民一人ひとりが法や司法の役割を十分に認識した上で、紛争に巻き込まれないように必要な備 えを行い、仮に紛争に巻き込まれた場合には、法やルールにのっとった適正な解決を図るよう心がけ、さらには自ら司法に能動的に参加していく心構えを身に付 ける」(報告書1頁)ため、学校教育において子どもの成長に応じて行われるべき「法教育」のあり方、法律実務家、法学研究者、教育研究者の協力のあり方、 学校教育における法教育と家庭、地域社会、職場との連携などについての提言がなされた。
「法教育」の目標は、「憲法及び法の基本原理を十分に理 解させ、自律的かつ責任ある主体として、自由で公正な社会の運営に参加するために必要な資質や能力を養い、また、法が日常生活においても十分な法意識を 持って行動し、法を主体的に利用できる力を養うこと」(報告書13頁)である。「法教育」が主権者たる国民が身に付けるべきであるとするこれらの資質・能 力は、消費者基本法にいう「消費者の権利の尊重およびその自立」が達成されたときにあるべき消費者に必要な資質・能力とも重なるものである。つまり、消費 生活は法によって規律され、消費者は消費者基本法をはじめとする多くの法律によってその権利を尊重されるとともに、消費者と事業者との権利の調整、消費者 被害への対処、損害の回復のための司法制度の利用などが必要となる。消費者が「自立した消費者」としてその権利を実現するためには、関連する法や司法制度 を学びこれを利用する力が必要で、その力こそ、まさに「法教育」が目指す資質・能力と重なるものである。
「法教育」と消費者教育の密接な関連性については、報告書においてもいくつかの指摘がされている。
まず、報告書は、学校教育における「法教育」の具体例として、中学校における教材とその実践プランを検討し、特に重要とされる4つの領域を明示している。 その一つが、契約を通じて私的自治の考え方を学ぶ「私法と消費者保護」の教材(報告書18頁以下、72頁~90頁)である。この教材例で示されているもの は、まさに消費者教育として実践されるべき教育内容の基本である。
第2に、報告書は、「消費者問題は、関連する法のみに着目すると、やや狭い分 野ととらえられがちであるが、消費者問題は生活全般に関係するため、消費者教育に契約の基本的な考え方、社会のルール、司法制度といった、法教育で必要と される要素を取り入れることは可能」(報告書27頁~28頁)と指摘し、消費者教育が「法教育」の教材となることを確認している。
第3に、「法 教育」は、学校教育のみならず家庭、地域社会、職場でも行われるべきだとされている。ここでは、家庭での日常生活や地域社会に身近な法的問題として消費者 問題が例示され、「地域の消費者センターや消費者団体等との連携が重要」(報告書31頁)との指摘もされている。また、職場における「法教育」のあり方と しては、企業の社会的責任にふれ、法令遵守、倫理意識の徹底の動きとの連携を求めている。これは、消費者基本法のうたう「消費者の権利」を尊重した企業活 動とも関わる問題である。
以上のとおり、「法教育」と消費者教育とは密接な関連性がある。したがって、その内容、教育効果、関係する法律実務 家、法学研究者、教育研究者による「法教育」実施への協力のあり方やネットワーク化など、既に多くの先行研究がなされた法教育研究会の研究成果を取り入れ ることが、消費者基本計画素案が計画する消費者教育の充実のために不可欠であると考える。
よって、消費者基本計画には、消費者教育の充実に内閣府・文部科学省間の連携の強化のみにとどまらず、法教育研究会の成果を広め法教育の推進しようとしている法務省との連携は欠かせないものになると考える。
さまざまな機関、関係者が消費者教育の担い手として期待され、手を挙げているところであるが、教育の主役は国民であることを忘れずに、国民不在とならないよう、国民の視線を大事にした施策を進めることを望む。
最後に、司法書士は法律実務家として、消費者教育の担い手として、国民のためにさらなる活動を進める所存であることを付言するものである。

以 上

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