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意見書等

2007年(平成19年)03月06日

法務省民事局民事第二課 御中

「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」に対する意見

日本司法書士会連合会
会長 中 村 邦 夫

 

 

当連合会は、本年2月5日付で公示された「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」(以下、「省令案」という。)に対する意見募集に関し、以下の通り意見を申し上げます。

 

 

当連合会は、今回の省令案は、昨年12月に公表された「登記識別情報についての研究会報告書」(以下、「報告書」という。)に示された改善点のうち、『登 記識別情報を提供せずに行う「不通知」又は「失効していること」あるいは「失効していないこと」の証明』(以下、「未失効証明」という)という新たな制度 の導入であり、賛意を表させていただきます。
しかしながら、以下に示すとおり、更なる改善をされることを強く要望します。

 

 

1.資格者が行う未失効証明請求には実印押印の委任状並びに印鑑証明書を不要とする改善を行うこと

 

 

今回の改正案は、不動産登記規則第68条第2項の「登記識別情報を提供しなければならない」点のみの改正であり、同条第11項の改正がないため、『実印押印の委任状(資格者代理人が請求する場合)並びに印鑑証明書』が必要となります。
「不通知もしくは失効していることを証明する」ためのものであることから、登記識別情報を提供しなくてよいという改善がなされたとしても、有効証明請求と同様に実印押印の委任状並びに印鑑証明書が必要となるならば、登記義務者特に金融機関等の協力を得ることは困難(1)であることが想定され、司法書士の代金決済等(2)には充分に機能しない可能性があります。
以上の点に鑑み、資格者代理人が同請求を行う場合は実印押印の委任状並びに印鑑証明書の添付を省略できるとすること(資格者代理人による職務上請求制度の導入)を強く求めます。

 

 

1   金融機関は、弁済がされる前に司法書士に登記識別情報が開示することに対する抵抗以上に、実印が押印された委任状並びに印鑑証明書の提供に抵抗を示し ている。金融機関からは、「事前に登記識別情報を司法書士に開示した場合、万が一代金決済が中止された場合の不安があるが、それよりもむしろ、以下の内部 手続き上の問題の方が大きい。つまり、委任状に押印される実印は本店で厳重に管理されており、各支店では実印が押印された委任状の管理については、委任状 の枚数、誰にどのような目的で交付したか等を記録している。印鑑証明書の交付については、さらに厳重な取扱いを求められている。そのため、事前の登記識別 情報の有効証明については協力しづらい。資格者に限って実印が押印された委任状並びに印鑑証明書が省略できるならば、協力しやすい。」との意見(都銀等の 大銀行においては特に強い意見)があり、仮に、未失効証明制度が導入されても、実印が押印された委任状並びに印鑑証明書が省略できないとすると、従前同様 金融機関から協力を得ることが困難となる可能性がある。
また、金融機関以外の登記義務者についても、取引決済前に実印を押印した委任状並びに印 鑑証明書を提供することにつき不安を抱き、ときに強い抵抗感を示すことがある。登記識別情報の提供についても、同様の不安を抱くであろうが、登記申請以外 には意味を持たない登記識別情報の提供と比べると、それが顕著に現れるというのが事実である。

 

 

2   司法書士が、売主A、売主に融資し抵当権を設定している金融機関甲、買主B、買主に融資し抵当権を設定しようとする金融機関乙の当事者全員が一同に会 した場において代金決済をなす場合、登記済証が存在しているときは、代金決済の場で視認により甲の抵当権設定登記済証の確認、Aの所有権移転登記済証の確 認をなし、即時にその適格性を判断することにより、ただちに融資を実行し決済を行っている。ところが、甲の抵当権設定登記やAへの所有権移転登記において 登記識別情報が通知されている場合は、代金決済の場で初めて当該登記識別情報を提示されたとしても、その登記識別情報が有効なことは勿論、失効しているか どうかもわからないため、ただちに決済をすることが出来ないこと、また、確実に代金決済を保証するためには、事前に登記識別情報並びに実印押印の委任状と 印鑑証明書を預かる必要があるが、当事者であるAあるいは甲には、代金受領あるいは弁済がなされていないにもかかわらず事前に登記識別情報を開示すること 並びに印鑑証明書等を交付することに抵抗があるため、困難を伴い充分に活用されていないという事実がある。
以上の点は、登記識別情報の問題の一つとして取り上げられ、報告書にもその改善方が掲げられている。

 

 

2.資格者が行う有効証明請求にも実印押印の委任状並びに印鑑証明書を不要とする改善(資格者代理人による職務上請求制度の導入)を行うこと

 

 

今時の不動産登記法改正については、改正前より負担が重くなる手続きにはしないという基本原則があったと思われます。オンライン申請に利用するという観点 から、登記官の本人確認手段として登記識別情報が導入されたことについては理解します。しかしながら、登記識別情報は登記済証と比較した場合、資格者が取 引決済に立ち会う場合等の本人確認手段としては決して充分なものでなく、有効証明請求が必要である等、負担が増しているものです。しかも、十全に代金決済 等を行う場合は、事前に実印押印の委任状並びに印鑑証明書の添付が必要とされていることにより、一般人から理解を得ることが難しい制度となっています。
よって、資格者代理人を利用することにより、従前と比較しても負担が増さない登記手続きにすべきです。
登記義務者は、登記識別情報が重要な個人情報であるとの認識を持っています。資格者代理人が有効証明請求を行う場合は当該登記識別情報が提供されるわけで すが、登記義務者が理由もなく登記識別情報を提供することは考えられず、また、登記識別情報は登記申請以外に利用することはあり得ませんので、そこには登 記義務者が資格者代理人に対して登記申請を委任していることが読み取れます。つまり、登記識別情報の提供があることをもって代理権授与があったことを証す ることができるといえます。仮に、第三者による不正入手等があったとしても、資格者代理人は、登記申請代理の受任に際して本人確認を充分に行いますので、 その悪用は防止できます。また、資格者代理人が有効証明請求を行う場合には、個人情報を害する恐れも極めて少ないものと考えます。
以上の点から、資格者代理人が行う有効証明請求手続きには、実印押印の委任状並びに印鑑証明書の添付を省略できるものとすべきと考えます。
なお、有効証明請求については今回の意見募集の対象外ですが、密接に関連し同一軸にあるものと考え、参考として意見を提出するものです。

 

 

3.オンラインを利用した請求について

 

 

現状においては、オンラインを利用した証明請求を行うためには、登記名義人の電子証明書が必要となり、公的個人認証の普及率の問題(普及率の低さから、オ ンラインが利用されないことはすでに周知のことです。)が残ります。本来、登記識別情報に関する証明請求は、決済時に行うこと(確認時と決済時とに時間的 間隔を置かないこと)が要求されます。書面による請求の場合は法務局に出頭しなければならず即時性への対応には限界があり、オンラインによる請求を利用す ることによって、その要請に応えることになります。上記職務上請求制度が導入された場合は、資格者の電子証明書のみによる請求が可能となることによりオン ライン利用率が増加することが予想され、その結果取引決済の円滑な遂行を助けることになります。
上記職務上請求が導入された場合は、オンラインを利用して行う未失効証明及び有効証明請求について、職務上請求を可能とするためのシステム(代理人請求システム)の構築も必要となると思われます。よって、早急に当該システムの構築に着手していただきたいと考えます。

 

 

以上のとおり、取引現場を預かる実務家として、意見を申し上げる次第です。
なお、未失効証明請求及び有効証明請求とも、前述したとおり登記申請以外を目的として為されるものではありません。弁護士及び司法書士その他特別な資格者 に対して、業務の遂行上必要なものとして戸籍謄本等交付申請の職務上請求が認められるのと同様に、登記申請の代理を業とする資格者に対して、未失効証明及 び有効証明請求の職務上請求制度を導入することは、不動産取引に関わる当事者の負担を軽減し、かつ取引の円滑な遂行を助けるものであると考えます。
なお、資格者は、法律及び倫理規定等により、その職責上制度の濫用あるいは情報漏洩等が厳しく抑制されており、制度導入に対する危険性はきわめて少ないものと考えます。
未失効証明請求手続き並びに有効証明請求手続きを資格者代理人が行う場合は、実印押印の委任状並びに印鑑証明書の添付を省略することができることとなった 場合には、当連合会はその取り扱いを厳重にするチェックシステムを構築することと会員の倫理の高揚に努めること、加えてオンラインを利用した証明請求を可 能とする環境作りを推進することに組織を上げて取り組む所存であります。

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