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意見書等

2007年(平成19年)09月03日

新貸金業協会設立協議会 御中

貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則(案)に関する意見書

日本司法書士会連合会
会長 佐 藤 純 通

 

日本司法書士会連合会(以下,「当連合会」という。)は貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則(案)について,以下の通り意見を述べる。

 

 

第1 営業店登録の申請等に関する規則について

 

 

1 商業施設等における営業所の設置等(7条)関係
(1) 遊戯施設等に隣接した建物において営業所等の設置を禁止することは妥当である。
しかしながら,隣接した建物という場合の「隣接」の範囲について具体的な距離を明示すべきである。
遊戯施設等の例示(7条1項2号)として風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律2条1項8号が規定されていないことは,不適当である。むしろ,風営法2条1項各号を全て対象とすべきである。
また,既存の営業店舗において,規則の定める基準に違反する状態となっているものについても店舗閉鎖を促すべきである。
(2) 7条2項は,「協会員等」及び「協会員」と2つの主語を用いているため規定の内容が不明瞭である。

 

 

2 学校等に隣接する営業所等の設置(9条)関係
大学(学校教育法第5章に定める「大学」)に係る施設と同一又は隣接した建物においては,新たに営業所を設置しないことは評価できるが,貸金業者の営業所等の設置を規制する際に,短期大学校等を学校教育法第5章に定める「大学」と区別する合理的な理由はない。
大学だけでなく,20才以上の学生が在籍する可能性のある高等専門学校(学校教育法第5章の2),専修学校(同法第7章の2)も新たに付け加えるべきである。

 

 

第2 法第12条の6に係る禁止行為に関する規則について

 

 

1 重要事項(14条)関係
貸付け契約における重要事項として (1)保証人の要否, (2)保証料について定めるべきである。
また,「利息制限法違反の利息の約定をしている場合にはその旨(利息制限法を超過する利息は返済する義務がないこと)」「保証契約においては主債務者の収入・負債総額・負債件数等主債務者の返済能力に関する事項」を加えるべきである。

 

 

2 資金需要者への重要な事項の説明方法(16条)関係
「契約内容を口頭で読みあげること。」を追加すべきである。

 

 

3 不正又は不当な行為について(17条)関係
資金需要者等が借入申込書を記入するにあたり,虚偽の年収額の記載を勧めること又は示唆すること(1号ホ)に付け加えて,「資金使途,家計状況」について虚偽の記載を勧めること又は示唆することを付け加えるべきである。
貸金業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)においても,事業者の運転資金及び消費者の療養費等について総量規制の例外を設ける旨が検討されていること,さらに債務の返済のための借入が多重債務に陥る大きな原因であると考えられることからも,資金需要者等の資金使途,家計状況は,貸金業者が与信判断を行う上で年収と同様に重要な事項と考えられる。
また,いわゆる適合性の原則(法16条3項参照)を実効化するために,17条の「不正又は著しく不当な行為」の例示として,「資金需要者等の知識・経験・財産の状況に照らして不適当な契約を締結すること」を付け加えるべきである。

 

 

第3 過剰貸付け防止等に関する規則について

 

 

1 協会員の一般的責務(23条)関係
今回の貸金業法の改正の大きな柱は過剰与信を禁止することにあることに鑑みれば,1項が適正な契約が締結されるよう努めなければならないと定めるのは,表現が弱いと思われる。本条は,遵守事項とすべきである。
また,2項5号において毎月の総返済額について顧客等の月間収入額の3分の1又は年収額の36分の1を超えないものとするとあるが,この規定には問題がある。
すなわち,上記「月収の1/3又は年収額の36分の1を超えないものとする」との基準は,貸金業法4条改正の完全施行の準備段階であることを考慮したとしても適正な貸付基準であるとは到底考えられない。「月収の1/5以下」ないし「月収の1/9以下」との基準に修正されるべきである。
そもそも,貸金業法13条の2(4条改正)に規定する年収等の「3分の1」という基準は,年収600万円未満の世帯の毎月の実収入から実支出を引いた額が毎月の実収入の15%程度であることを根拠の一つとして設定されたものである(大森泰人編「Q&A新貸金業法の解説」p87社団法人金融財政事情研究会)ところ,「月収の1/3」(33.3333…%)という基準は,上記15%の2倍を超える基準であり,資金需要者等が日常生活に支障なく返済が可能となる範囲内であるとはいえない。
また,「多重債務問題の現状と対応に関する調査研究」(国民生活センター)によれば,債務者の家計状況について「総務省統計局の2004年の家計調査では,年間収入五分位階級別一世帯あたり年平均勤労者世帯1か月間の収入と支出が明らかにされているが,サラ金等の利用者の多くは,年間収入452万円以下の第1階級のグループに属すると考えられる。そのグループの月平均の可処分所得は260,185円であるのに対し,消費支出は月額平均220,329円である。消費支出のうち,住居費が月額平均23,521円となっているが,家賃の支出がある場合には,その額は月額5~6万円程度,また住宅ローンの返済には月5から10万円程度は必要であると考えられるから,その場合の支出はもっと多くなる。」と分析されている。
ところで,総量規制の年収の3分1という要件は,年収の3分の1を総額とする債務を一定の期間で完済することを予定としている。現に日本貸金業協会の苦情処理及び相談対応に関する規則(案)27条3項においても返済期間をおおむね3年とすることを定めている。
したがって,債務者の家計状況の統計的分析並びに総量規制の趣旨から,年収の3分の1に相当する債務を3年間で返済する場合は,毎月の総返済金額の合計は月間収入の9分の1を目処とする必要があるものと考える。

 

 

2 返済能力の調査-申告に基づく調査(24条)関係
2項により借入の意思を確認するについては,本人確認について特に注意を払う必要があると思われる。本人確認についての規定を追加すべきである。

 

 

第4 広告及び勧誘に関する規制について

 

 

1 放送時間帯,総量及び放送番組に関する留意事項(48条)関係
2号の「青少年に見てもらいたい番組」への放送は行わないことは評価できるが,その他に,青少年がよく見ていると思われる番組,たとえば「スポーツ番組」等への放送も行わないことを明記すべきである。

 

 

2 啓発文言(54条)関係
近時,借金が主な原因と思われる自殺や犯罪が増加していることを鑑みれば,文言例のような表現では,不十分と思われる。自殺に追い込まれる危険性や罪を犯す恐れがあることを明記すべきである。

 

 

3 出稿先に係る留意事項(56条)関係
専門紙(誌)に限定する必要性は無く,情報を提供している新聞,雑誌も同等に扱うべきであると思われる。
56条各号の専門紙(誌)の他に,ギャンブルや風俗に関する情報を掲載しているスポーツ新聞,雑誌等も追加すべきである。

 

 

4 新聞又は雑誌に係る規定の準用(57条)関係
「十分留意しなければならない。」となっているが,表題のとおり,「準用する。」とすべきである。

 

 

5 その他媒体による個人向け個人貸付けの契約に係る広告に関する留意事項(59条)関係
出資法の上限金利が引き下げられた経緯,最高裁判決の動向を鑑みれば,
2010年までは,利息制限法所定の上限金利を越える利息を受領することが出来るかのような誤解を資金需要者等に与えることは許されない。
利息制限法所定の上限金利を越える利息の契約は無効であると共に,法律上支払う義務が無い旨を明記すべきである

 

 

6 再勧誘に関する留意事項(67条)関係
1号において,資金需要者等が,協会員からの勧誘を一切拒否する旨の強い意思表示があった場合についても,意思表示のあった日から最低1年間は勧誘を見合わせるとしているが,1年という期間の合理性は乏しいと思われ,そもそも資金需要者等が,勧誘を拒否しているのであるから再勧誘すべきではない。

 

 

第5 取り立て行為に関する規則について

1 社内体制整備(69条)関係
1項5号イにおいて,電話を4回以上行うこととなっているが,電話は1日1回で十分と思われる。
2 正当な理由を有さない居宅以外への取立て禁止(72条)関係
1号において,債務者等から自発的な承諾がある場合とあるが,支払い困難となった債務者等が自発的な承諾をする場面は乏しく,契約時に事前の承諾を取るということも考えられるので,削除すべきである。

 

 

第6 過払い金支払いに関する規則について
1 振込口座(76条)関係
1項において,過払い金の支払いは,多重債務者の家計再建を資することもその目的の1つと言っているが,過去に多重債務者であったが,完済済みの者,1社のみの取引で,すでに過払いとなっている者等,過払い金の支払いを受けようとする者は,多重債務者に限らない。
したがって,多重債務者という文言は,削除すべきである。

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