日本司法書士会連合会について 情報公開

ホーム > 日本司法書士会連合会について > 情報公開 > 会長声明集

会長声明集

2015年(平成27年)06月08日

地方税の適切な徴収を求める会長声明

日本司法書士会連合会
会長 齋 木 賢 二

 

 当連合会は、最低限度の生活を維持するための財産として差押えが禁止されている社会保障費等が、地方税の滞納者の銀行口座に振り込まれた直後に差し押さえる手法によって、滞納税の徴収が行われることを憂慮し、地方自治体が地方税を納付できない住民に対して、地方税の滞納者の銀行口座に振り込まれた給与や年金、児童手当等の公的給付については、差押えを行わないことの徹底を求める。

 

 市町村民税や固定資産税あるいは国民健康保険税のような地方税を納税者である住民が滞納した場合、地方自治体が国税徴収法及び地方税法に基づき住民の各種財産を差し押え、これを換価することが認められている。しかし、給与や年金のように、滞納者及びこれと生計を共にする者の生活に欠かすことのできない財産については、その全額についての差押えが禁止されており(国税徴収法第75条乃至第78条)、児童手当、児童扶養手当、生活保護費等の公的給付については、各法令によってその受給権に対する差押えが禁止されている(児童手当法、児童扶養手当法、生活保護法など)。これらの措置は、最低限度の生活を維持するうえで欠かすことのできない財産の差押えを禁じることにより、憲法第25条の生存権の保障を具体化したものである。

 

 しかし、最近、全額の差押えが禁止された年金や児童手当等の公的給付について、滞納者の銀行口座に振り込まれた直後に、それが銀行預金債権となったとして差し押さえられるなど、多くの地方自治体において、このような差押えの禁止の趣旨を失わせるような差押えが行われている。

 

 鳥取地方裁判所及び広島高等裁判所松江支部は、地方税の滞納者の銀行口座に振り込まれた児童手当をその直後に差し押さえた事例について、その差押えを違法と判断した(鳥取地裁平成25年3月29日判決、広島高裁松江支部平成25年11月27日判決)。この判決は、差押えが禁止された財産である児童手当について、それが銀行口座に振り込まれたことをもって即座に銀行預金としての差押えが許されるものではなく、なお差押え禁止財産としての特性を有することを認めたものである。今後、銀行口座にこのような差押え禁止財産が振り込まれた場合に、地方税の滞納を理由にこれを差し押えることは違法であると判断される可能性が大きいというべきである。

 

以上

 

音声で読み上げる