日本司法書士会連合会について 情報公開

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意見書等

2003年(平成15年)12月24日

法務省民事局参事官室 御中

「会社法制の現代化に関する要綱試案」に対する意見書

日本司法書士会連合会

 

 

 

はじめに

 

 

今般、会社法制について全般の見直しを図り、会社に関して規定する商法第2 編、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律等の各規定について現代社会に相当する実質改正を行い、ひとつの法典(会社法(仮称)) としてまとめ、現代語化を行うのは大変望ましいことである。
特に、現代社会は、いずれの時代にも増して、消費主体たる自然人と事業活動主体たる 法人との組合せにより社会が構成されることに特色がある。この時代の潮流として、わが国においては、2000年前後に相次いで諸活動団体(法人格なき社 団)を法人化する法制度が整備されてきた。今般の会社法制の見直しは、その最後の締めくくりとして、今後の現代社会の自然人と法人組織のあり方の根幹を決 定づける重要な改正となるものと考える。
したがって、会社法制の見直しについては、平成2年商法改正時の衆議院・参議院両院の法務委員会で附帯 決議のされた事項中、重要課題として積み残されている、[1]有限会社の取締役及び監査役の任期制の導入その他有限会社法制の全体的見直し、[2]会計専 門家による中小会社の計算の適正担保の制度、[3]計算書類の公開について、中小規模の物的有限責任会社として相当の規定に改正し、譲渡制限株式会社との 一体化を図り、適正なガバナンスとディスクロージャーの手当がされた現代社会に相応しい中小会社法制を創設することを要望する。
ただし、上記[1]~[3]は、いずれも諸事情により平成2年商法改正時に実現し得なかった項目であるので、強行規定として一律に強制するのではなく、会社が信用形成のため、任意に採用できる規定として整備すべきである。

 

 

第1部 基本方針

 

 

1 会社法制の現代語化

 

 

【意見】(1)、(2)、(3)いずれも賛成する。
ただし、単なる現代語化を目指すのではなく、基本方針「2 実質改正」にある社会経済情勢の変化に対応するための「会社法制の現代化」を図ったうえでの現代語化であることが前提となる。

 

 

【理 由】(1)については、国民に理解しやすい文体であることが当該法律が国民に受け入れられる要素でもある。多くの法律が現代語化されてきている中で、片仮 名文語体で表記されている商法第2編、有限会社法等の各規定について、平仮名口語体化を図ることは、多くの国民が、会社法制を利用して経済活動を行ってい る現代社会においては、むしろ、遅きに失したともいえる。
(2)については、時代環境の変遷に伴い、解釈等の違いなど、時代に対応した整備を行うことは法律が現実の社会とともに存在する限り必要なことであり、当該解釈の明確化あるいは整備は、法律の社会対応性を増すうえでも、当然に必要なことであると考える。
(3)については、多くの国民が会社法制を利用する上で、準拠すべき法律が多岐に輻輳していることは、煩雑で利用しにくい法体系を強いることとなる。し たがって、商法第2編、有限会社法、商法特例法等の各規定を一つの法典としてまとめ、分かりやすく再編成することは、利用者の立場からより利用しやすい環 境が醸成され望ましいことである。

 

 

2 実質改正

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理 由】平成2年商法改正の際に、今後の検討課題とされた有限会社法制の全体的な見直し(平成2年3月14日法務省民事局参事官室「商法等一部改正に関する法 制審議会の決定事項について」、平成2年6月8日衆議院法務委員会「商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」、平成2年6月21日参議院法務委員 会「商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」)が行われていないので、商法第2編と有限会社法のとりまとめにおいては、上記見直しを含めた上での 改正を図り、有限責任物的会社として必要な手当てをした現代社会に相応しい中小会社法制とすべきである。
有限会社の取締役及び監査役に相当な法定任期を設けるべきである。また、有限会社にも計算書類の公開の道を開き、その他、有限会社法制の全体的な見直しを図り、実質改正を行いつつ、譲渡制限会社として相応しい規定として商法第2編ととりまとめることを要望する。
また、計算書類の公開については、株式会社の決算公告制度も見直して、すべての会社類型が任意に公開できる制度の創設及び任意に採用できる会計専門家による中小会社の計算の適正担保の制度を創設することを要望する。
有限会社法制の全体的な見直しを行わず、単に譲渡制限株式会社規定との規律の不均衡の是正に止める改正には反対である。

 

 

第2部 総則関係

 

 

1 会社の商号

 

 

(1)商号の登記

 

 

【意見】(注1)~(注3)も含めて賛成する。

 

 

【理 由】会社に係る商19条及び(注1)の商登法27条による規制(以下、「類似商号規制」という。)については、とくにグループ会社間で類似の商号を用いた いとするニーズの妨げとなっている。このようなグループ会社のニーズは理解できるものであり、グループ会社間の商号が類似商号規制により使用できないこと は不合理である。
また、補足説明で指摘されるように、現在の企業活動の広がりを考慮すれば、現行の同一市町村内での類似商号規制の合理性は乏しいものと考える。
さらに、昨今の市町村合併の推進により、同一市町村の区域が広範となり、このような市町村では、商19条の商号の登記の効力を同一市町村内とするのは、 区域が広範すぎるという問題や既存会社同士が類似商号に該当し、そのために事業目的に追加変更登記ができなくなる等の問題が生じている。
(注1)の商業登記における類似商号規制は、類似商号の判断や基準が明確でなく、事前規制から事後的救済の流れの中で緩和されてきている傾向にある。
このような状況に鑑み、商19条及び(注1)の商登法27条を削除し、類似商号規制を廃止すべきである。
(注2)については、会社の事業目的は、登記実務において適格性を判断する基準として、「営利性」「適法性」「明確性・具体性」の要件が示されており、 「明確性・具体性」については、定款に目的を記載するには社会通念上会社の目的とする事業が何であるかを具体的に知り得る程度に明確かつ具体的に記載すべ きであると一般に解されているが、登記実務においては、設備工事業、非鉄金属製造等日本標準産業分類(以下、「産業分類」という。)中分類項目に該当する ものでも具体性なしとされ、登記が認められずに厳格な取扱いがなされている。しかし、産業分類大分類項目でも、建設業や不動産業等、一般人をしてその事業 を容易に判断できるものもあるので、産業分類中分類項目とされる事業は、原則として登記を認め、大分類項目でも、建設業や不動産業等一般人をしてその事業 を容易に判断できるものは登記を認めるべきである。
類似商号規制は廃止されたとしても、他人が登記した商号の使用が許容されたわけではないの で、現行どおり登記所に商号調査簿を備え置き、無料にて申請人に閲覧させるべきである。併せて、登記所への商号調査端末の備え置きとインターネット登記情 報提供サービスにおいても商号調査簿閲覧制度同様の情報提供(前方一致検索のみならず、部分一致検索)を行うことを要望する。
(注3)については、補足説明に指摘されるように、不動産登記における法人の特定の問題から、現行登記実務の取扱いを明確化する措置であり、当然である。

 

 

(2)不正競争目的の商号使用

 

 

【意見】c案に賛成する。(注)についても賛成する。

 

 

【理由】商20条2項は、同一市町村内における類似商号について規定するもので、第2部・1・(1)理由中に述べたように、市町村合併による区域の広範の問題もあるので、削除すべきである。
同条1項については、補足説明に指摘されるように、不競法が整備されており、その存在意義は乏しく、不競法との交錯による解釈上不明確な点も除去すべきであるところから、削除すべきである。
(注)については、補足説明に指摘されるように、著名性を要求しておらず、不競法より保護範囲が広い面があるので維持すべきである。

 

 

2 支店の所在地における登記事項

 

【意見】強く反対する。

 

 

【理 由】支店所在地において商業登記情報の提供を受けられなくするという試案の提案は、利用者の利便性を現行制度より低下させるものであり、受け入れることは できない。商業登記のコンピュータ化に伴い、現行商登法には、支店所在地における登記は、法務大臣が指定する登記所間においては本店所在地の登記所を経由 して申請できる旨の規定が設けられている(商登法113条の7、「本店登記情報通信システム」という。参考図書「登記情報システムの解説、藤原勇喜、テイ ハン、平成7年、307頁」)のにも関わらず、現時点では法務大臣の指定登記所が存在しないが、平成16年6月に一部実施される商業・法人登記のオンライ ン申請の法務大臣の指定登記所に指定された場合、同時にこの本店登記情報通信システムの法務大臣の指定登記所に指定される見込みとなっている。
このシステムを利用すれば、本店に登記した事項を一括して支店所在地においても登記することは技術的に可能であり、会社の負担も軽減される。
法務省は、速やかに法務大臣の指定を行い、運用を開始すべきである。また、商業登記のコンピュータ化の促進を図り、すべての登記所において早期にこのシ ステムを利用できるようにすることを要望する。支店への登記申請は、本店所在地で同時に行うことを可能(経由する)とする法改正がすでに行われている(商 登法113条の7)ので、コンピュータ化の促進を図り、本店所在地の登記所を経由して支店登記を申請するシステムを早急に実施すべきである。
仮に、支店所在地における登記情報を簡素化するとした場合、試案の3項目に加えて「本店所在地での会社法人等番号」及び「代表者に関する事項」が必要である。
試案第2部・1・(1)により、類似商号規制が廃止されれば、当然ながら類似商号の増加が予想され、特にグループ会社では、同一本店所在地での類似商号 会社の増加が考えられる。登記情報請求及び交付の際に申請人または登記所の過誤によるトラブルが生じないように当該会社の特定情報として「本店所在地での 会社法人等番号」を付加すべきである。
不登法細則44条ノ8の規定により、法人の代表者が不動産に関する登記を申請する場合に、不動産所在地 を管轄する登記所が法人の登記を受けた登記所と同一の場合には、登記の申請書に代理人の権限を証する書面の添付を省略できることとされているので、登記す べき事項から代表者事項を省略するとこの規定の適用がなくなり利便性が低下する。
また、試案提案のように、支店所在地の情報から取得される登記情報が本店の登記簿における登記情報にアクセスするための情報に限られるとするならば、現行の商号調査簿の閲覧手数料と同様に、この情報提供料は無料とすべきことを要望する。
併せて、支店所在地の情報から本店所在地を検索できる「本店調査簿」及び「本店検索端末」を各登記所に設置することを要望する。この「本店調査簿」及び 「本店検索端末」からは、「本店」のみならず、前述の理由から「本店所在地での会社法人等番号」も検索できるようにすべきである。

 

 

3 使用人

 

 

【意見】(前注)について賛成する。

 

 

【理由】商法総則中の商業使用人に関する規定には、現在ではほとんど使用されていない用語もあり(商38条2項の「番頭、手代」)、そのまま適用するのは相当でないので、これに相当する規定について必要な見直しを行った上で、会社法(仮称)中に規定すべきである。
商38条2項の「番頭、手代」の用語は、削除すべきである。

 

 

(1)支配人の登記

 

 

【意見】(注)も含めて強く反対する。

 

 

【理由】支配人の登記は、現行商40条の規定どおり、支配人を置いた本店または支店の所在地の営業所で登記をすればよく、本店の登記簿において一括して登記する必要はないと考える。
支配人の権限は、その支店の営業についてのみ代理するものであり、本店の登記簿に集約して情報をのせる意義に乏しい。
全国に支配人を置く会社の場合、登記事項証明書に全部の情報が記載されるのは、かえって煩雑である。
(注)については、第2部・2で述べたように、支店の所在地における登記の位置付けを変更する必要はないので、支店における登記の効力に関する商13条は、維持すべきである。

 

 

(2)会社の支配人の競業避止義務等

 

 

【意見】会社の支配人については、原則として、営業禁止義務を課し、定款の定めにより、営業禁止義務を課さないことができるようにすべきである。
(注)については、賛成する。

 

 

【理由】支配人に営業禁止義務が課せられているのは、補足説明指摘のとおり、営業主との関係が雇用契約だからと説明されている。これに対し、取締役と会社の関係は、委任契約である。
支配人と取締役は、会社との契約関係が異なるのであるから、権限が類似しているからといって、ことさらその義務を同様とする理由はないと考える。
会社が、支配人について取締役と同様の競業避止義務のみを負うものとしたいのであれば、定款の定めにより、営業禁止義務を課さないこととできるようにすればよい。
(注)については、現行商法及び有限会社法と整合的であり、妥当である。

 

 

第3部 合名会社・合資会社関係

 

 

1 合名会社・合資会社の会社類型の取扱い

 

 

【意見】(注1)、(注2)も含めて賛成する。

 

 

【理由】補足説明指摘のとおり、合名会社と合資会社とは、社員中に有限責任社員がいるかどうかの差異でしかないので、1つの会社類型として規律することには合理性がある。
(注1)については、解散せず、合名会社に商号変更すればよい。
両会社の商号の取扱いについては、(注2)に掲げられたとおりとすべきである。

 

 

2 一人合名会社

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】一人株式会社の設立は、現行法で認められている(商404条)ところであり、一人合名会社を認めないとする合理性はない。
(注)については、補足説明指摘のとおり、現行法(商94条4号)は、他の社員の死亡等により社員が一人となった場合に、ただちに解散するという不都合があるので、試案のとおり解散しないものとすべきである。

 

 

3 法人無限責任社員

 

 

【意見】会社が他の会社の無限責任社員となることができないとする規定は、廃止すべきである。
(注)については、法人が合名会社・合資会社の業務を執行する社員となる場合には、自然人である職務執行者を定め、登記事項とすべきである。

 

 

【理由】会社が他の会社の無限責任社員となることを禁止している商55条は、補足説明指摘のとおり、合弁企業を合名会社形式で行うことの妨げとなっているので、廃止すべきである。
(注)については、実際には、無限責任社員である法人の従業員等の自然人が業務執行を行うので、その者を登記事項として公示すべきである。

 

 

4 株式会社への組織変更

 

【意見】賛成する。(注1)についても賛成する。
(注2)については、合名会社・合資会社と株式会社との合併及び合名会社・合資会社同士による株式会社を新設会社とする合併を認めるとする現行制度を維持すべきである。

 

 

【理 由】補足説明に指摘されるとおり、現行法では、合資会社の無限責任社員が死亡等により存在しなくなると他の合名会社または合資会社と合併して株式会社とな るという迂遠な手続を負担しなければならないが、このような手続を行う合理性はないので、合名会社・合資会社から株式会社への組織変更を認めるべきであ る。
(注1)については、妥当である。
(注2)については、株式会社同士の合併という方向で整理をすると、合名会社・合資会社は、いったん組織変更を行わなければならず、迂遠であるので、現行制度を維持すべきである。

 

 

第4部 株式会社・有限会社関係

 

 

第1 総論

 

 

1 株式会社と有限会社の規律の一体化

 

 

【意見】(注)も含め賛成する。ただし、両会社の規律の一体化は、現行の譲渡制限株式会社に関する規律に合わせる方向で調整すべきである。

 

 

【理由】現行法の株式会社の最低資本金や取締役及び監査役の人数の規制が、会社設立者にとって障害となり、いたしかたなく有限会社を選択しているのであり、取引の実状や信用面から、会社設立者は、本来は、譲渡制限株式会社を望んでいるのが圧倒的である。
これらの規制が緩和されることにより、今後は、譲渡制限株式会社の設立が増加し、設立時における有限会社形態の選択は、減少すると予測される。
また、既存の有限会社においても、手続やコストの負担さえなければ、取引の実状や信用面から、株式会社の商号を使用したいという希望が存在する。
このように、有限会社の選択は、現行法の規制が障害となって、譲渡制限株式会社を選択できないために過ぎず、上述した現行法の規制を緩和して、有限会社と譲渡制限株式会社の規律の一体化を図るべきである。
両会社の規律の一体化は、譲渡制限株式会社を選択したいというニーズに応えるものであるから、株式会社の最低資本金規制、取締役・監査役の人数規制及び 取締役会の設置等これに関係する規制を緩和したうえで、その他の規律については、現行の譲渡制限株式会社に関する規律に合わせる方向で調整すべきである。
(注)については、上述したように、有限会社形態の選択は、現行法の規制により譲渡制限株式会社が選択できないという消極的ニーズに過ぎないので、株式会社と有限会社の両会社類型については、一つの会社類型として規律し、有限会社法は廃止すべきである。
また、試案第6部・1の新たな会社類型により、いわゆる日本版LLCの設立が可能となれば、有限会社を残す意義はない。

 

 

2 譲渡制限株式会社における有限会社型機関設計の選択的採用

 

 

【意見】賛成する。ただし、有限会社型機関設計においても取締役及び監査役に相当の法定任期を設けるべきである。

 

 

【理 由】試案第4部・第1・1のように株式会社と有限会社の規律の一体化を図るとする場合には、譲渡制限株式会社において有限会社型機関設計の選択的採用を認 めるとすることは相当であると考えるが、有限会社型機関設計においても取締役及び監査役に相当の法定任期を設けるべきである。
現行有限会社の 取締役及び監査役に法定任期が設けられておらず、定期的に役員変更登記の申請を行う機会がないために、死亡、辞任等による取締役等の退任登記がなされずに 相当の年数を経過している例がしばしば見受けられる。これは実質1名の取締役の有限会社にも関わらず、代表取締役の名称取得を目的として家族等を取締役と して複数名の取締役を登記する例が多いからである。代表者が死亡等により退任した場合には、取引上の都合等により速やかにその変更登記がなされるケースが 多いようであるが、その余の取締役等の役員については、債権者等外部の者から指摘を受けるまで退任の登記が放置されている現状である。このように、法定任 期に伴い一定期間に役員変更登記手続がなされる株式会社とは異なり、有限会社の役員に関する商業登記情報の信頼性は劣ると言える。
株式会社より多く140万とも言われる有限会社の役員に関する商業登記情報の信頼性に問題が残ることは好ましくないので、変更の疑念が抱かれない相当の期間の法定任期を設けるべきである。なお、相当の期間は3~4年程度と考える。
なお、平成2年商法改正時に有限会社の取締役及び監査役に法定任期を設ける理由として休眠会社の整理があげられていたが、休眠会社の整理は、有限会社の 取締役及び監査役の法定任期にかからしめることなく実施すべきである。類似商号規制がなくなるとしても、実務上類似商号の調査が行われ、類似商号該当既登 記会社があれば、当該商号の使用を回避したり、既登記会社の実態を調査することとなり、商号選択の制約やあらぬ負担を被ることとなるので、5年に一度程度 の休眠会社整理を行うことを要望する。
もしこの要望が容れられずに取締役会非設置株式会社と有限会社が一体化された場合は、同じ株式会社の名 の下に、根本的にガバナンスの異なる会社が併存することとなり、債権者等の利害関係人にとって不安を生じることとなる。よって、そのような場合は、代表者 事項証明書を見ただけでも両者の区別がつくような措置を講じるべきである。

 

 

第2 設立等関係

 

 

1 最低資本金制度

 

 

【意見】(前注)に賛成する。

 

 

【理由】最低資本金制度は、補足説明指摘のとおり、債権者保護の観点から導入されたものと言われるが、わが国の最低資本金制度は、その額に相当する財産が会社に存在することを保障するものではないので、債権者保護の機能を有しているとは言えず、見直しが必要である。

 

 

(1)設立時における払込価額規制

 

 

【意見】c案に賛成する。(注)については反対する。

 

 

【理由】(前注)で述べたとおり、わが国の最低資本金制度は、その額に相当する財産が会社に存在することを保障するものではないので、債権者保護の機能を有しているとは言えない。
第4部・第1・1で述べたように、わが国の最低資本金制度は、会社設立者の会社選択の重大な障害となっており、債権者保護として機能を有しない設立時における払込価額規制は、撤廃すべきである。
(注)については、現行法においても、1000万円あれば、設立と同時にその全額を次の設
立の払込価額に充当することを繰り返すことにより、株式会社を何社も設立することができ
るので、法人格濫用防止の措置を講じる必要があり、b案、c案においてのみ法人格濫用防
止措置を講じることとすべきでない。

 

 

(2)剰余金分配規制

 

 

【意見】賛成する。一定の金額は、300万円とすべきである。

 

 

【理由】剰余金分配規制は、債権者保護に資するものであり、かかる措置を講ずるべきである。
債権者保護の機能を果たすためには、その一定の金額は、試案例示の300万円とすべきで ある。

 

 

(3)表示規制

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】補足説明指摘のとおり、その保有する純資産額が資本の額に満たない会社の存続が認められている以上、現行法の会社が最低資本金額に相当する財産を保有していない場合であっても、最低資本金額より低額に資本の額を減少してはならないとする規制は、合理性がない。
会社成立後資本として表示される金額は、現に保有する会社財産の価額が表示されるのが望ましいので、試案は妥当である。
かかる場合の会社債権者の保護は、資本減少の手続においてなされればよい。
(注)については、現行法制を維持するものであり、妥当である。

 

 

2 払込取扱機関

 

 

【意見】賛成する。(注1)についても賛成する。
(注2)については、日本郵政公社等法務省令で認めたものも追加すべきである。

 

 

【理由】現行の払込金保管証明の制度は、設立登記完了までその金銭を使用できず、不便である。
また、保管証明書発行まで相当の日数がかかり、金融機関との取引がない場合等においては、取扱いすらしてもらえない場合もあり、設立手続に時間を要する一因となっている。
払込取扱機関が設立登記完了まで払込金を保管している意味はなく、払込が行われたことを証明すればよい。
その証明手段は、現在新事業創出促進法による確認会社の取扱いと同様とし、発起人・社員の当該払込取扱機関における口座の預金通帳の写しも認めるべきである。
(注1)についても、同様にすべきである。
(注2)については、利用者の利便を図るため、日本郵政公社等法務省令で認めたものを追加すべきである。

 

 

3 募集設立

 

 

【意見】賛成する。
(注)については、募集設立を廃止することに伴い、再度の定款認証を不要とすべきである。

 

 

【理由】両設立手続の調整を図り、発起設立に一本化すべきである。
(注)については、補足説明に指摘されるように、発起設立の問題点として設立手続中に定款変更した場合に再度の定款認証を要する(商167条)ことが挙げられる。
募集設立を廃止する場合には、発起設立においても、上述のとおり、再度の定款認証を不要とすべきである。
その他、募集設立手続廃止により、利便性が失われないようにすべきである。

 

 

4 設立時の定款記載事項

 

 

(1)株式会社の設立時の定款記載事項

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】設立時の出資額を原始定款の絶対的記載事項とすることにより、設立時の財産の額が明確にされ、適当である。
設立に際して発行する株式の総数は、株式の大きさを定めるに過ぎないため、任意的記載事項とし、登記事項(商188条2項5号)を明らかにするために、定款に記載がない場合は、発起人全員の同意で定める必要がある。

 

 

(2)発起人の引き受ける株式に関する事項

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】妥当な改正であり、(注)については、株式の割当等について、定款作成後発起人の合意により定めることを認めることとする関係から当然である。

 

 

(3)有限会社の定款記載事項

 

 

【意見】[1]については、(注1)、(注2)も含めて賛成する。
[2]についても賛成する。

 

 

【理由】[1]については、補足説明指摘のとおり、有限会社の基本と出資口との関係についても、株式会社の資本と株式との関係と同様の制度とする方向で整理を行うべきであり、(注1)、(注2)についても、株式会社の資本制度と整合的で、相当である。
[2]については、設立手続について、株式会社と同様の措置であり、相当である。

 

 

5 事後設立

 

 

(1)検査役の調査

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】補足説明指摘のとおり、事後設立にかかる検査役の調査制度は、設立後2年内の事業運営に対して著しい障害となっており、その手続にかかる時間等煩雑さを考慮すると、この制度を存続させる合理性に乏しい。

 

 

(2)事後設立規制の適用範囲

 

 

【意見】[1]、[2]いずれも賛成する。

 

 

【理由】[1]については、会社成立後の財産の買受け一般の規制と整合的であり、妥当である。
[2]については、当然のことであり、明確化を図るのは妥当である。

 

 

6 現物出資・財産引受け

 

 

(1)検査役の調査を要しない場合

 

 

【意見】[1]については賛成し、金額は500万円が妥当である。[2]については、賛成する。[3]については、(注2)の手当てが講じられることを条件に賛成する。(注1)については、賛成する。

 

 

【理由】[1]については、試案第4部・第2・1(1)により、設立時における払込価額が300万円以下になるとすれば、資本金の割合による規制は窮屈に過ぎる。設立後の増資と差異を設けるべき合理的な理由が失われたものと考える。
[2]については、現物出資・財産引受けに際して検査役の調査を要しない有価証券の範囲を「取引所の相場のある有価証券」から「市場価格のある有価証券」に拡大することは、妥当である。
[3]については、会社に対する金銭債権の現物出資は、実務上多く利用されており、合理的な改正ではあるが、(注2)の債権の存在を証するための手当てが不可欠である。
具体的には、金銭消費貸借契約書及び当該会社の代表取締役からの債務の存在を証する書面等が考えられる。
(注1)については、当然のことである。

 

 

(2)現物出資等に関する関係者の責任

 

 

【意見】賛成する。(注1)については、取消権を認めるべきである。
(注2)についても賛成する。

 

 

【理由】現物出資者を除く発起人・取締役の現物出資等に関するてん補責任は、過失責任が相当である。また、その任務を怠らなかったことについて、発起人・取締役に立証責任を負わせることも相当である。
(注1)については、会社設立後の新株発行において、会社との間に利害関係のない者が過失なく現物出資をし、事後的に責任を問われる場合については、当該者に出資の取消権を与えることにより、過酷な事態からの回避の機会を保障すべきである。
(注2)については、有限会社についても同様の措置を講ずるべきである。

 

 

第3 株式・持分関係

 

 

1 株式等の譲渡制限制度

 

 

(1)株主・社員間の譲渡に係る取扱い

 

 

【意見】[1]、[2]ともに賛成する。
[1]が採用される場合は、譲渡制限株式会社においては、現行どおり登記にその表示をなし、有限会社においてもその定款の定めを登記事項とすべきである。

 

 

【理 由】株式会社と有限会社の規律の一体化を図るには、株式・持分の譲渡制限制度の調整が必要であるが、有限会社においても譲渡制限株式会社と同様に、社員間 の持分割合の変動は重要な社員の関心事項であるので、有限会社の社員間の持分譲渡についても社員総会の会社の承認を要することを原則とすべきである。
また、補足説明指摘のとおり、有限会社においても現行制度を実質的に維持する必要があるので、定款をもって、株主又は社員間の譲渡につき承認を要しない旨を定めることができるものとすべきである。
[1]が採用される場合は、譲渡制限株式会社においては、現行登記実務のとおり、譲渡制限の定めの登記事項中にその表示をなすべきである。
有限会社の場合は、本来、社員は定款の定めを知っており、社員間の問題は定款の記載をもって足りるはずであるが、小規模有限会社においては、経営者以外の社員は定款の定めを知らないのが実態であるので、無用なトラブルが生じないように登記事項とすべきである。

 

 

(2)譲渡制限に係る定款記載事項

 

 

【意見】[1]~[4]いずれも賛成する。

 

 

【理 由】[1]については、補足説明指摘のとおり、譲渡制限制度は、会社にとって好ましくない者が株主または社員となることを防ぐため、株主または社員となる 者を取締役会または社員総会において決定するという制度であるから、その趣旨に反しない一定の属性を有する者を譲受人とする譲渡については、常にこれを承 認し、またはその承認権限を代表取締役等に委任するという取扱いをすることを定款に定めることは合理性がある。
[2]については、補足説明指 摘のとおり、相続や合併による株式・持分の移転であっても、会社にとって好ましくない者が株主・社員になるおそれがあることは譲渡による移転の場合と同様 であり、譲渡制限制度の趣旨から、これらの場合についても定款の定めによって、会社の承認を要するものとする取扱いを認めるべきである。
[3]については、先買権者を定款であらかじめ定めておくことは、合理的である。
[4]については、補足説明指摘のとおり、株主を誰にするかについては株主自身が決定することに合理性がある。

 

 

(3)一部の種類の株式についての譲渡制限の定め
[1] 譲渡制限種類株式

 

 

【意見】賛成する。
(注)は、一部の種類の株式について譲渡制限の定めがある会社の新株発行の手続については、原則として取締役会決議によることとし、各種類の株主の保護は拒否権の設定(商222条9項)によることに賛成する。
発行される種類株式が譲渡制限種類株式である場合には、定款をもって、当該種類株式の株主に新株引受権を与えない旨定められるようにすべきである。

 

 

【理 由】定款をもって一部の種類の株式の譲渡についてのみ承認を要することを定められるとすることは、使用人へのインセンティブ付与の選択肢として、また、敵 対的買収の予防措置として、普通株式への転換権を付与した譲渡制限株式を発行したいとするニーズや一定の優先株式を譲渡制限株式としたいとするニーズの実 現がされ、種類株式の多様化に資するものである。
一部の種類の株式について譲渡制限の定めがある会社の新株発行の手続は、原則として取締役会の決議により、各種類の株主の保護は拒否権の設定(商222条9項)によることとするのは、現行法と整合性が取れ、妥当である。
これに対し、発行される種類株式が譲渡制限種類株式である場合には、現行の譲渡制限株式の新株発行と同様の手続とする必然性はないと考える。
上述したように、一部の種類の株式について譲渡制限の定めをしたいというニーズは、会社を譲渡制限株式会社とすることを目的とするのとは異なり、種類株 式の多様化を望むものであり、譲渡制限普通株式のみならず、普通株式への転換権を付与したものや優先株式も含まれ、株主は、必ずしも譲渡制限のデメリット だけを受けるものとは限られない。
現行法は、譲渡制限株式会社の株主に原則として新株引受権を与えるのは、株主は、所有する株式の譲渡が制限 されるのみならず、株式を市場において自由に取得して持株数を増やすことも制限されるので、会社が株主以外の第三者に対して自由に株式を発行することがで きるものとすると、会社が新株を発行するごとに株主の持株比率は低下し、ひいては経営参加の利益を確保することができなくなるからであるとされるが、当該 譲渡制限種類株式を市場において自由に取得できない点については、譲渡制限株式会社と異なることはないが、その他の株式を市場において自由に取得すること により、その他の株式の持株比率を向上することができる点は、譲渡制限株式会社と異なる。
また、平成13年第128号改正商法により、種類株 主の拒否権の設定(商222条9項)が認められ、株主の経営参加の利益は、持株比率によらずに確保することが可能となっている。この点は、数種の種類株式 を発行した譲渡制限株式会社も同様であり、このような譲渡制限株式会社においても、株主に新株引受権を与えない旨定めることができないのは疑問である。
このように、一部の種類の株式について譲渡制限の定めがある会社の譲渡制限種類株主の経営参加の利益は、当該譲渡制限種類株式の持株比率の低下とは必ず しも連動するものではなく、また、当該譲渡制限種類株式の内容により、経営参加の利益と見合う利益の享受も考え得るところであるので、当該譲渡制限種類株 式の株主には、譲渡制限株式会社同様に、原則として新株引受権を与え、定款をもって、当該種類株式の株主に新株引受権を与えない旨定められるようにすべき である。

 

 

[2] 種類株式発行後の譲渡制限の定め方

 

 

【意見】イについては、基本的に賛成する。ただし、[1]及び[2]の決議要件は特殊決議を原則とし、定款の定めにより、特別決議まで緩和できるようにすべきである。
ロについては、賛成する。
(注1)については、譲渡制限の定めをするための種類株主総会の決議要件は、特殊決議を原則とし、定款の定めにより、特別決議まで緩和できるようにすべきである。
(注2)については、賛成する。

 

 

【理由】現行法の譲渡制限の定めの設定の手続(商348条、349条)と整合的である。
ただし、[1]及び[2]の決議要件については、補足説明に指摘されるとおり、上場廃止会社がこの制度を利用できるように、特殊決議を原則としつつ、定款の定めにより、特別決議まで緩和できるようにすべきである。
当該株式を目的とする新株予約権者に買取請求権を与えるのは当然である。
(注1)については、上述のとおりである。
(注2)については、新株予約権発行会社もこの制度を利用できるように、商348条3項は削除すべきである。当該株式を目的とする新株予約権者の保護は、買取請求権を与えればよい。

 

 

(4)取得者からの承認手続と名義書換手続

 

 

【意見】[1]、[2]いずれも賛成する。

 

 

【理由】株式・持分の取得者からの譲渡承認請求手続と名義書換請求を融合させることは、合理的である。

 

 

2 市場取引等以外の方法による自己株式等の買受手続

 

 

(1)買受手続

 

 

【意見】[1]については、賛成する。(注)については、株主総会において条件を付することができるものとすべきである。
[2]については、賛成する。なお、株主の買い受け考慮機会を保障するため、通知又は公告をすべき期間を法定すべきである。
[3]については、(注1)、(注2)も含めて賛成する。(注3)については、[3]の請求ができる株主を限定すべきではない。

 

 

【理由】[1]については、賛成する。(注)については、株主総会において条件を付す必要があると思われるので、その手当が必要である。
[2]については、株主が買い受けをするにつき必要な情報であるので、試案の内容を通知又は公告する必要がある。また、株主の買受け考慮機会を保障するため、買受期間満了日の少なくとも1週間前までに通知又は公告をすべき旨法定すべきである。
[3]については、当然である。(注1)については、買い受け希望株主に対して、公平な取扱いであり、妥当である。
(注2)については、合理的であり、妥当である。
(注3)については、[3]の請求ができる株主を、[1]の決議を行う際に、会社が定めた者と売主に追加すべき旨を請求した者に限定する現行制度には合理性がなく、[3]の請求ができる株主を限定すべきではない。

 

 

(2)特定の場合における手続の特例
[1] 合併等の場合

 

 

【意見】賛成する。(注)については、一定基準の営業の一部譲受けに限定して、試案の取扱いを認めるべきである。

 

 

【理 由】合理的であり、妥当である。(注)については、営業の「一部」の範囲が恣意的に画されることのないように、一定基準の営業の一部譲受けに限定して、試 案の取扱いを認めるべきである。一定基準として、会社純資産の価値に対する譲渡対象資産の価額の比重が20%を超える営業譲渡に限るものとすることが考え られる。

 

 

[2] 譲渡制限株式会社における先買権者の指定

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】現行制度には、合理性があり、維持すべきである。(注)については、買取価格について株主総会での歯止めが必要である。

 

 

[3] 譲渡制限株式会社における相続又は合併

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】[2]と同様である。

 

 

[4] 市場価格のある株式を市場価格で買い受ける場合

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】(注)の株主総会の特別決議によることで、不公正ではなく、妥当である。

 

 

[5] その他の場合における特例

 

 

【意見】従業員持株会からの買い受けについて認めるべきである。

 

 

【理由】買取価額の上限を株主総会の決議で定めるべきである。

 

 

3 自己株式に係る株主の権利の内容

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】自己株式について、自益権を求めないとすることは、妥当である。

 

 

4 子会社による親会社株式の取得

 

 

【意見】賛成する。(注)については、親会社又は子会社につき財源規制・手続規制を講じて子会社による親会社株式の取得等に係る禁止規定自体を削除すべきである。

 

 

【理由】組織再編行為における子会社による親会社株式の取得を認めることは、合理的で妥当である。
(注)については、親会社又は子会社につき財源規制・手続規制を講じたうえで、組織再編等によらない一般的な子会社による親会社株式の取得を認めるべきである。

 

 

5 自己株式の市場取引による売却

 

 

【意見】市場価格のある株式に係る自己株式については、新株発行類似の手続を経ずに、自己株式を市場取引により売却することを認めるべきである。

 

 

【理由】市場価格のある株式に係る自己株式については、市場取引により売却を認めても、会社財産及び株主を害するおそれはない。インサイダー取引に利用される懸念については、証券取引法等により、規制されるべき問題である。

 

 

6 株式の消却

 

(1)消却に関する定款規定の設定手続等

 

 

【意見】(注1)、(注2)を含めて、賛成する。(注3)については、自己株式の買受け手続及びその及びその特例(2参照)として整理すべきである。

 

 

【理由】当該定款の定めは、消却時に当該株主の意思に反しても当該株主にかかる株式を消却することができる定めであるから、その定めを置くには、株主全員の同意が必要である。
(注1)についても、同様である。
(注2)についても、妥当である。
(注3)については、補足説明指摘のとおり、両者を区別する合理性は乏しいので、自己株式の買受け手続及びその特例(2参照)として整理すべきである。

 

 

(2)定款に基づかない強制消却
[1] 株主の持株数に応じた株式の一部の強制消却

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株式併合と同様の効果であるので、合理的である。

 

 

[2] 定款に基づかない株主の多数決による強制消却

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】私的整理の場合に、迅速な出資が期待でき、合理的である。
(注)については、仮に,これを認めない場合には,法的倒産手続においてのみ定款に基づかない株主の多数決による強制消却を認める必要がある。

 

 

(3)授権株式数の変更の取扱い

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】一部の種類株式の一部のみが消却された場合の取扱いの複雑さ、自己株式の買い受け及び処分の取扱いに鑑み、合理的であり妥当である。
(注)についても、同様にすべきである。

 

 

7 種類株式

 

 

(1)有限会社における種類株式に相当する制度

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】有限会社法制と株式会社法制の一体化のため、有限会社への種類株式の導入が必要である、有限会社における持分の多様化、明確化の観点からも導入が望ましい。

 

 

(2)剰余金分配・議決権等に関する別段の定め

 

 

【意見】賛成する。(注1)については、試案指摘の措置を講ずるべきである。
(注2)については、(注1)の措置が講じられるのであれば、譲渡制限株式会社全般について、認めることに賛成する。

 

 

【理由】取締役会が設置されない譲渡制限株式会社については、有限会社と同様に、剰余金分配・議決権等に関し、定款をもって別段の定めを置くことができるものとして差し支えないと考える。この場合は、(注1)の株主・社員の保護の措置を講ずるべきである。
また、(注1)の株主・社員の保護の措置が講じられるのであれば、取締役会の有無に関わらず、譲渡制限株式会社全般について、認めることとして差し支えないと考える。

 

 

(3)議決権制限株式等の発行限度

 

 

【意見】賛成する。(注)については、譲渡制限株式会社全般について撤廃することに賛成する。

 

 

【理由】現行有限会社法と整合的であり、取締役会が設置されない譲渡制限株式会社においても相当であると考える。また、譲渡制限株式会社全般についても、撤廃しても差し支えないと考える。

 

 

(4)強制転換条項付株式

 

 

【意見】[1]、[2]いずれも賛成する。

 

 

【理由】[1]については、一定の事由の発生について、定款に明確に規定されるのであるから、公告・通知等の手続は不要であり、妥当である。
[2]については、転換予約権付株式と整合的であり、株主となろうとする者がどのような条件で転換されるのかを知ることができるので、妥当である。

 

 

(5)種類株式の内容に係る定款変更

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株主への開示の観点から、種類株式の内容のうち、その決定を取締役会等の決議に委ねた事項については、当該取締役会等の決議が行われた際に定款が変更されたものとみなす取扱いは、妥当である。

 

 

8 法定種類株主総会

 

(1)商法345条1項の要件

 

 

【意見】賛成する。規定の明確化となり妥当である。

 

 

【理 由】商345条1項は、補足説明指摘のとおり、適用範囲が明確でないため、多種多様な定款変更について、ある種類の株主に損害を及ぼしうるかどうかの判断 がつかないため、実務上、種類株主総会の決議を行っているので、適用範囲の明確化が必要であり、試案の提案内容も妥当である。

 

 

(2)商法346条の規定による種類株主総会

 

 

【意見】(注1)、(注2)も含めて賛成する。
(注3)については、商346条後半部分は、廃止すべきである。

 

 

【理 由】商346条は、補足説明指摘のとおり、合併等の組織再編行為に際し、消滅会社の種類株式に市場価格を有しないものがあるときには、合併条件等が当該種 類株主に損害を及ぼすかどうかの判断がつかないため、当該種類株主総会の開催が必要となり、円滑な組織再編行為の実施の障害となっている。このため、試案 提案の定めを置くことができるものとすべきである。
(注1)については、当該種類株主の保護が図られ、妥当である。
(注2)については、当該種類株主に買取請求権を与えるべきである。
(注3)については、商346条は、「ある種類の株主に損害を及ぼす」かどうかが種類株主総会を要するかどうか決するものと解するのが相当であり、解釈を明確にするために、後半部分は廃止すべきである。

 

 

(3)議決権制限株主の買取請求権

 

 

【意見】[1]、[2]を含めて賛成する。

 

 

【理由】組織再編行為の際のすべての株主に原則として買取請求権を与えることは、株主が投資した会社の基礎の変更が生ずる場合に、その変更に反対する株主に投下資本を回収して経済的救済を得る道を与えるもので、妥当である。

 

 

9 端株・単元株

 

 

【意見】賛成する。(注1)については、端株制度を廃止し、a案に賛成する。
(注2)に賛成する。

 

 

【理 由】平成13年79号改正により、株式の最低発行単位の規制が廃止されたのに伴い、昭和56年商法改正により、株式の単位の引上げのための暫定的・過渡的 措置として設けられた単位株制度が廃止され、これに代わる株主管理コスト削減のニーズに対応するために、単元株制度が設けられ、株式の単位の引上げに伴う 1株未満の端数の救済措置として設けられた端株制度をも強制適用を廃止し、会社の裁量に委ねられているところである。
公開会社においては、単元株制度が多く利用されている。
このような状況に鑑み、単元株制度と端株制度をいつまでも併存させるのではなく、両制度を整理して一本化し、株式の単位の引上げを前提とする端株制度の廃止をすべきである。
(注1)については、端株主・単元未満株主が有する権利内容を同一にすべきである。
同一にする場合の権利の内容については、現行の端株主の権利と同様の[1]自益権については定款の定めによる制限を認め、共益権については与えないこととすべきである。
(注2)については、特に公開会社においては、莫大なコストを要することとなるので特段の手当が必要である。

 

 

10 議決権制限株主その他の株主の少数・単独株主権等

 

 

(1)議決権基準・株式数基準

 

 

【意見】(注)を含め賛成する。

 

 

【理由】共益権的性質を有する少数株主権であり、議決権基準ではなく株式数基準であることが望ましく妥当である。
(注)については、いずれも少数株主権を行使する者ではないので、これらの者の有する株式数を計算の基礎に含めると他の株主の少数株主権行使が不当に制限されるおそれがあるので、妥当である。

 

 

(2)株主総会に関連する少数・単独株主権等

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】議決権制限株主の株主総会に関連する少数・単独株主権等が明確化され、妥当である。

 

 

(3)特定の決議事項に関連する少数株主権等

 

 

【意見】[1]については、a案とすべきである。(注)についても、a案とすべきである。
[2] については、基本的に賛成する。ただし、取締役会による免責決議が行われたことが、取締役等の責任の一部免除に係る株主総会の決議において議決権を行使す ることができる種類の株式を有する株主に通知がなされた後に株主となった者は、当該申出の権利及び当該取締役等の責任の一部免除に係る株主総会の議決権を 有しない旨を明定すべきである。

 

 

【理由】解任請求については、議決権のない株主に認めることは適当ではないと考える。
[2] については、上記意見のように明定しないと、取締役会による免責決議の通知が、取締役等の責任の一部免除に係る株主総会の決議において議決権を行使するこ とができる種類の株式を有する株主になされた後に株主となった者の当該申出の権利及び当該取締役等の責任の一部免除に係る株主総会の議決権の取扱いについ て、混乱が生じる可能性がある。

 

 

(4)少数株主権と少数社員権の行使要件

 

 

【意見】すべて賛成する。

 

 

【理由】有限会社法制と株式会社法制の一体化を考慮すれば、定款自治として要件の緩和を認めることは妥当である。
(注1)については、譲渡制限株式会社の閉鎖性から、定款の定めによる行使要件の引上げを認めてよいと考える。
(注2)については、現行の株式会社の単独株主権・少数株主権における6ヵ月の保有期間制限は、その濫用防止の目的であるため、譲渡制限株式会社では、株式取得に会社の承認を要するので、試案のとおりとすべきである。
(注3)については、株主にとって有利であり、解釈の明確化が図られ、妥当である。

 

 

(5)株主名簿等の閲覧・謄写請求権

 

 

【意見】すべて賛成する。

 

 

【理由】ダイレクトメールの送付等商業使用目的の弊害及びプライバシー保護の観点から、拒否事由の明確化が必要であり、妥当である。

 

 

11 基準日

 

 

(1)基準日後の株主の議決権

 

 

【意見】基本的に賛成する。ただし、会社の判断により議決権を行使することができる株主を定める場合には、基準日後のある一定の期日までに新株発行(自己株式の処分含む)により株主となった者すべてについて議決権を与えるものとすべきである。

 

 

【理 由】取締役会の判断により、基準日後に生じた株主について議決権を行使できるようにするべきであるが、会社が恣意的に株主を選別することは好ましくないの で、会社は、基準日後のある一定期日までに新株発行(自己株式の処分含む)により株主となった者について議決権を与えられることとし、取得態様等による選 別はできないこととすべきである。

 

 

(2)新株主の配当起算日

 

 

【意見】(注1)も含め賛成する。(注2)については、(1)の措置の配当等の基準日への適用については、反対する。

 

 

【理由】会社の事務負担も軽減され、合理的である。
(注1)についても、合理的であり、妥当である。
(注2)については、(1)については、補足説明指摘のとおり、将来の経営について議決権を行使させる必要があるので認めるべきであるが、配当及び株式の割当については、当期株主であった者に行うべきなので、基準日現在の株主にすべきである。

 

 

12 新株発行及び増資の手続

 

 

(1)譲渡制限株式会社の新株発行手続

 

 

【意見】すべて賛成する。

 

 

【理由】株式の発行価額の下限をも決議することは、望ましく合理的である。
また、失権株につき再募集は、低額になることも想定され、株主に影響を与える可能性もあり、試案は妥当である。

 

 

(2)有限会社の増資手続

 

 

【意見】[1]、[2]ともに賛成する。

 

 

【理由】有限会社法制と株式会社法制の一体化が望ましいことから、賛成である。

 

 

(3)株式申込証の用紙

 

 

【意見】すべて賛成する。

 

 

【理由】株式申込証の用紙への記載によるという形式を強制しないことは、合理的であり、情報提供として適切で、妥当である。

 

 

(4)新株発行の際の公告・通知

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】証券取引法に基づく届出がなされている場合には、さらに公告を要求するまでもなく、過剰な規定は見直すべきであり妥当である。

 

 

13 新株発行無効の訴え等

 

(1)提訴期間

 

 

【意見】賛成する。(注)については、現行法を維持すべきである。

 

 

【理由】試案第4部・第3・12(1)[1]の取扱いとした場合には、第三者割当の具体的事項を知る機会が株主総会時となると想定されるので、1年に延長すべきである。
(注)については、第三者に対する影響が大きいため、現行の提訴期間を維持すべきである。

 

 

(2)提訴可能期間中の口頭弁論の開始

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】提訴期間の満了を待つまでもなく、口頭弁論を開始し、より迅速な解決を図るべきである。

 

 

14 株主に対する通知又は公告の在り方

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】譲渡制限会社の株主に対する通知は、公告ではなく、各別の通知によるべきである。

 

 

第4 機関関係

 

 

【意見】(前注)については「第1総論 2譲渡制限株式会社における有限会社型機関設計の選択的採用」に対する意見で述べたとおりである。

 

 

1 株主総会・社員総会

 

 

(1)株主提案権の行使期限

 

 

【意見】賛成する。少数株主による株主総会招集請求権の行使期限についても、定款によって短縮しうるものとすべきである。

 

 

【理 由】平成14年改正によりこれらの期間が総会前6週間から8週間に制限されたが、90%以上の株式会社の株主が30名未満であり、立法理由となっていた 「総会の6週間前という行使期限では,株主提案に係る議題等の印刷を行うには困難が伴うとの指摘」が妥当するのは極めて限られた会社に過ぎない。株主の権 利行使の機会を保障するためには、定款でこれらの権利の行使期間を拡大することが望ましい。

 

 

(2)招集地

 

 

【意見】賛成する。定款に総会招集地の定めを置くこととし、電子株主総会も定款で定めた場合に開催できることとすべきである。

 

 

【理 由】会社法のIT化が進み、取締役会もテレビ会議システムなどを利用して開催することができるようになった。株主総会についても、開催場所の制約が無くな れば、遠隔地の株主がリアルタイムで意見交換のできる電子株主総会を開催することも不可能ではない。株主の利便性向上のために商233条の削除に賛成す る。ただし、現実に株主総会が招集される場合に、株主にとって意外な場所や方法であってはいけないので、定款による開催場所の定めが必要であり、その選択 肢の一つに電子株主総会を位置付けるべきである。

 

 

(3)総会検査役
[1] 会社からの選任請求

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】コンプライアンスを重視する経営が求められる中、積極的な紛争予防の方策を会社自らが取りうることは望ましい。

 

 

[2] 有限会社における総会検査役制度

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】有限会社の中にも例外的に資本金数億円規模の会社が存在する。そうした大規模有限会社での総会検査役の選任の必要性は、ごく小規模の株式会社よりも高いものと考える。

 

 

[3] 裁判所による総会招集命令

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】多数の株主を収容できる会場の手配等、負担の軽減となる。
(注)業務財産調査検査役に関しても,同様の取扱いをする方向で検討する。

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】コンプライアンスを重視する経営が求められる中、積極的な紛争予防の方策が取りやすくなることは望ましい。

 

 

(4)書面投票・電子投票
[1] 書面投票制度と電子投票制度

 

 

【意見】賛成する。なお、両制度の調整は、株主の権利に配慮しつつ、各会社の実情に即した選択を許容すべきである。

 

 

【理 由】会社制度のIT化はより効率的な経営を目指すものであり、電磁的方法による招集通知を承諾した株主に対しても重ねて議決権行使書面の送付を要求するの は、制度趣旨に反する。しかし、電磁的方法によるシステムは未だ完成したものとは言えず、往々にして故障や不具合を生じることも少なくない。株主の権利を 確保するためには、一定期間内に株主の請求があった場合は、重ねて議決権行使書面の送付を要するものとすべきである。
また、議決権の重複行使が あった場合は、後から発せられた表示を有効とすべきであるが、発信の先後関係が不明の場合は、到達の後の方を有効な議決とみなす等のルールを会社毎に明示 すべきである。また、電子投票による議決権行使の受付期間も、会社の集計作業等実務上の負担を考慮して合理的な範囲で定められることとすべきである。

 

 

[2] 書面投票制度の義務付けの範囲

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株主の分散の度合いなど書面投票を要する事情は、資本金の多寡に関わらない。

 

 

(5)議決権の不統一行使・代理人の数

 

 

【意見】賛成する。3日前までの議決権の不統一行使の通知義務に関する規定は、廃止してよい。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならないほどの事情は存在しない。
不統一行使の事前通知の期限は、各会社の事情に応じて定めればよい事項である。

 

 

(6)書面決議

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならないほどの事情は存在しない。

 

 

(7)特別決議の決議要件

 

 

【意見】b案に賛成する。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならないほどの事情は存在しない。有限会社に特別決議要件緩和の必要性は少ないため、取締役会が設置される株式会社については、現行の決議要件まで定款の定めによる引き下げを認めるべきである。

 

 

2 取締役の資格

 

 

(1)資格制限

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならない程の事情は存在しない。その上で、公開会社であればこうした資格制限の排除も意味があるが、閉鎖会社においては不要である。

 

 

(2)欠格事由
[1] 破産者

 

 

【意見】賛成する。ただし、選任時の株主に対する情報提供が必要である。

 

 

【理 由】会社も一種の財産管理制度とみることができる。復権を得ない破産者に管理者たる取締役の地位を付与することは望ましくないが、現在の経済情勢と破産者 の早期更生の要請に鑑みると、株主の同意があれば認めることも首肯できる。取締役選任時に復権していない破産者である場合は、その事実の開示と選任の必要 性を株主に説明することを必要とすべきである。

 

 

[2] 犯罪歴

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】証券取引法や各種倒産法制に定める犯罪も、企業(財産)の管理に関する罪であり、これらの罪を犯した者も一定期間、取締役に就任できないこととするのが望ましい。

 

 

3 取締役の任期

 

 

【意見】賛成する。
(注1)賛成する。ただし、3~4年程度の法定任期を設けるべきである。
(注2)変更の疑念が生じない合理的期間として3~4年程度に止める事を強く要望する。
(注3)任期伸長には反対し、現行どおりとすることを強く要望する。
(注4)法定任期を廃止することには、強く反対する。

 

 

【理由】譲渡制限株式会社の多くが、閉鎖的であり、株主の流動も少なく、取締役の構成員が変わらず重任されるケースが多い。このような実態から、取締役の法定任期を伸長したいとする要望は理解し得ることである。
ただし、中小会社においても取締役の構成員に変動があるケースが多々あることを指摘しておきたい。
(注1)については、第4部・第1・2で述べたとおり、商業登記の信頼性担保の問題から、有限会社型機関設計においても、3~4年程度の取締役および監査役の法定任期を設けるべきである。
(注2)については、商業登記簿に記載された取締役について、変更の疑念が生じない合理的期間内であることを要することから、3~4年程度に止める事を強く要望する。
なお、この合理的期間としての観点から、現行の2年が適当であり、商業登記の信頼性が低下するので伸長には反対であるとの意見もあった。
(注3)については、平成13年149号改正により、すでに伸長されており、これ以上伸長すると商業登記簿に記載された監査役について変更の疑念が生じ、商業登記の信頼性が低下するので認められない。監査役の任期伸長には反対し、現行どおりとすることを強く要望する。
(注4)については、わが国の商業登記制度は、株式会社の役員の法定任期とこれによる変更登記により、常に正確な役員事項が公示され、信頼性を確保して きたと言っても過言ではない。実際、「企業取引等においては,取引相手方の「本人性」,「法人の存在」,「代表権限の存在」を確認するための信頼性の高い 手段として,登記所が発行する印鑑証明書・資格証明書が広く利用されてきた」(法務省ホームページ「商業登記に基づく電子認証制度ご利用の手引き 第3  商業登記に基づく電子認証」http://www.moj.go.jp/)ところである。
また、株式会社の商業登記役員事項の信頼性が高いゆえに、わが国の法人代表者の電子認証制度は、商業登記に基づくものとされた。
株式会社の取締役は登記事項とされ、取引上、商業登記事項証明書によりその確認がなされている。これは、株式会社の取締役に法定任期があり、再任の場合 を含めて、取締役変更登記が義務づけられていることで、登記簿に対する信頼があるからである。しかし、譲渡制限株式会社の取締役任期を一律に廃止してしま うと、任期を定款で任意に定めることができ、その改廃も自由となり、商業登記簿に記載された代表者等取締役に関する事項の正確性に対する疑念が生じかね ず、取締役等の登記事項の信頼性が低下するおそれがある。
このように100万もの譲渡制限株式会社の役員に関する商業登記事項の信頼性が損なわれることは、わが国の商業登記制度の信頼性が揺らぐものであり、強く反対する。
株式会社の代表取締役は法定の選任機関である取締役会で選任されるのであり、その構成員である取締役が誰であるか正確に商業登記簿に公示されなければな らない。第4部・第1・2で述べたとおり、現行の有限会社のように取締役の登記情報の信頼性が低ければ、取締役の登記情報のみならず、取締役会の存在およ びこれにより選任された代表取締役の登記情報にも疑念を抱かざるを得ない。代表取締役の登記情報に信頼性が保てなければ、これに基づく法人代表者の電子認 証制度も信頼を得ることができない。
100万もの譲渡制限株式会社の商業登記に基づく法人代表者の電子認証が信頼できないものとなれば、ひいては、わが国のIT政策等にも重大な影響を及ぼす懸念すらある。
その他、下記のとおり、いずれも法定任期の廃止に反対する意見があった。
1. 譲渡制限株式会社も、公開会社と同様に株主総会の権限が法令または定款に定められた事項を決議することに限られ(商230条ノ10)、その業務執行が原則 として取締役会に委ねられているので、定期的に取締役としての適否について株主の信任を問う必要があり、譲渡制限株式会社の多くが実態として所有と経営と が一致しているとしても、法定の取締役会を置くことを選択する以上は、取締役任期を廃止することは相当でない(補足説明44頁)。
2.公開会社以外の株式会社は、そのほとんどが株式譲渡制限規定を設けており、その中には、政策的に株式を公開しない大企業、中堅中規模企業も含まれているので、これを一律に所有と経営が一致する小規模閉鎖会社に合わせることは妥当でない。
3.譲渡制限株式会社が法定の取締役会を置く機関設計を選択するということは、自ら所有と経営が分離する機関設計を選択しているので、所有と経営の一致をもって、取締役任期の廃止を主張するのは矛盾する。
4. 中小企業、ベンチャー企業においては、資金調達等のために企業としての信用を確保することが重要であるが、そのためには、所有と経営が一致していたとして も適正なガバナンス(会社統治)の構築が必要であり、現行法の中会社モデルに準じた法定の取締役会及び取締役の法定任期のある機関設計を存置することは、 中小企業の信用確保に意義があり、そのニーズに対応するものである。
5.企業経営の健全性は、当然中小企業にも求められる。企業経営の健全性を担保するには、ガバナンスの確立と的確なディスクロージャーが不可欠であるが、法定の取締役会を有しながら取締役任期を廃止する機関設計は、企業経営の健全性担保の観点から相当でない。
6. 公開会社の定款は、その変更議案について株主に各別に通知され、ホームページに掲載されることで会社債権者や取引相手等も容易に確認ができるので、周知性 が高く、信頼性も高い。しかし、所有と経営が一致している小規模譲渡制限株式会社では、株主総会自体形骸化し、その開催に疑念が持たれており、そのような 会社の定款に対しては、会社債権者や取引相手において高い信頼性を獲得できるか疑問である。取締役任期を一律に廃止し、任期を定款規定に委ねると、債権者 等は、信頼性に疑問のある定款で取締役の任期を確認せざるを得なくなる。
7.中間法人、中小企業等協同組合等わが国の法人法制の多くは、役員の法定任期を設けており、ことさら、譲渡制限株式会社の取締役について法定任期を廃止する合理的理由はない。
よって、委員会等設置会社及び取締役会が設置されないものを除く譲渡制限会社の取締役任期の一律廃止は妥当ではないので、強く反対する。

 

 

4 取締役の選解任

 

 

(1)累積投票制度

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならないほどの事情は存在しない。

 

 

(2)解任決議の決議要件

 

 

【意見】賛成する。ただし、(注1)の累積投票によって選任された取締役については、解任には特別決議を要するとすべきである。

 

 

【理由】取締役会への剰余金分配権限の委譲に伴い、取締役に対する監督機能を強化することが望ましい。ただし、累積投票によって選任された取締役については、これを認めると少数株主の意見を反映させた意味がなくなるので、従前どおりとすべきである。
(注2)監査役の解任決議

 

 

【意見】解任には特別決議を要するとすべきである。

 

 

【理由】監査役については、その地位を見直すべき理由はない。

 

 

5 取締役会の書面決議

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】大会社から小規模閉鎖会社まで株式会社の機関運営は様々であり、取締役会決議についても株主による一定の了解の下に、書面決議を認めても差し支えないものと考える。

 

 

6 取締役に係る登記

 

 

(1)共同代表取締役

 

 

【意見】反対する。

 

 

【理 由】外国法人とのジョイントベンチャーなど多くの事例ではないが、需要がある。仮に無断で代表行為を行われても、表見法理により第三者が保護されるから意 味が無いのではなく、当事者間の取り決めとして善意の第三者が保護される範囲において、そのような取り決めの選択肢を残しておくべきである。

 

 

(2)社外取締役

 

 

【意見】反対する。

 

 

【理 由】社外取締役としての公示には、登記の利用が最も明確かつ簡便であり、適していると確信する。社外取締役の登記を巡る問題は、社外取締役の要件に該当す る取締役が、その意識の無いケースにおいても一律に登記義務が生じるところにある。「当該取締役を社外取締役として選任すること」を「社外取締役」の要件 の一つとし、登記義務を課することとすべきである。責任軽減についての規定も「社外取締役」として選任され、登記された者を対象とすればよい。

 

 

(3)代表取締役等の住所

 

 

【意見】会社の登記に係る代表取締役等の住所の取扱いについては、現行どおり登記事項とし、その登記事項の開示は、当該会社及び官公署に限定すべきである。
なお、有限会社の監査役については、有限会社法第13条第2項第7号を改正し、住所を登記事項から除外すべきである。

 

 

【理由】法人代表者の住所は、誰がその法人を代表するかということの特定のための非常に重要な情報であると考えられてきた。法人は抽象的な存在であるから、現実の社会と法人をつなげるための絆が代表者事項の証明である。
他 方、昨今の社会情勢は、テロリズムや誘拐・殺人等個人を狙う凶悪犯罪が後を絶たず、個人がその身を守るため、個人情報保護の必要性が高まってきている。会 社は今日の経済社会において大きな役割を果たす存在であるがゆえに、代表取締役等役員はこれら凶悪犯罪の標的となる可能性も高く、役員本人のみならず家族 に対しても悪質な嫌がらせ等が行われているやに聞く。このような状況下において、代表取締役等役員の住所を公示したくないというのは大変切実な要求である と言わざるを得ない。
純粋に会社役員としての立場に関しての連絡は、会社の本店、商号、資格及び氏名が公示されていれば最低限特定できる。更に住所があった方が、同姓同名の者との混同の可能性に対して有効であるが、それぞれの契機を比較考量して方針を決定すべきである。
代表取締役等会社の代表者の住所は、裁判実務上、普通裁判籍の決定及び送達の場面において重要な役割を果たしている(民訴第4条第4項、第103条等)。
また、会社の本店は、定款、社員総会や取締役会などによって決められ、申請に当たって現実に事務所等が設置されているかどうかは審査されていないため、ペーパーカンパニーの設立などにより会社制度が悪用・濫用されるケースもある。
そ れぞれの必要性を考慮すると、会社の登記に係る代表取締役等の住所の取扱いについては、現行どおり登記事項とするが、その登記事項の開示は、登記官の過誤 による職権更正登記の取扱い(平成14.11.18法務省民商第2702号)に準じて、原則として非表示扱いとして、当該会社及び官公署に対してのみ、そ の登記情報を提供する制度とすべきである。なお、コンピュータ庁以外の法務局においても同様に、適宜の方式により、その登記事項の開示は、当該会社及び官 公署に限定すべきである。
当該会社の請求による場合の本人確認については、当該会社の印鑑カードの提示によるものとするのが妥当であり、当該会社が代理人により請求する場合も当該会社の印鑑カードを提示すればよいものとする。
裁判実務で使用する資格証明書(民訴規第15条、第18条等)は、代表者住所非表示のものを添付する取扱いとし、普通裁判籍の決定及び送達の場面においては、裁判所が職権で代表者住所の登記情報を取得して対応すればよい。
なお、有限会社の監査役については、その住所を登記する実益に乏しいと考えられるので、有第13条第2項第7号を改正し、その住所を登記事項から除外すべきである。

 

 

7 取締役の責任

 

 

【意見】(前注)については以下で述べるとおり賛成する。

 

 

(1)任務懈怠責任
[1] 商法266条2項・3項に相当する規定の取扱い

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理 由】委員会等設置会社との整合性を図るべきである。また、高度化・複雑化した経済社会において、積極的に制止しなかった取締役について、基本的にすべて連 帯責任を問われるというのは酷であるという主張にも首肯できる。取締役には取締役会に出席し、代表取締役等の業務執行を監督する役割があり、商266条2 項・3項に相当する規定がなくとも、代表取締役の任務懈怠を知りながら、あるいは知りうべきであったのにこれを放置した場合は、個別に商266条1項5号 の責任を問えばよい。

 

 

[2] 有限会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除

 

 

【意見】賛成する。有限会社及び取締役会を設置しない譲渡制限株式会社についても同様に取り扱うべきである。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならないほどの事情は存在しない。

 

 

[3] 株式会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除

 

 

【意見】見直しは慎重に行うべきである。

 

 

【理由】平成13年の立法時に原案が修正された経緯があり、見直すとすれば、それなりの合理性が必要であると考える。立法から日も浅く、責任一部免除規定の機能の仕方を見ながら判断すべきである。

 

 

(2)違法な剰余金の分配に係る責任

 

 

【意見】(前注1)については、取締役は会社から広範な権限を信認され、忠実義務を負って、その執行に当たらなければならないところ、以下の責任についても一般の債務不履行責任とは異なる特別の責任であるものと位置付けた上で、その要件を検討していくことに賛成である。
(前注2)については、剰余金の分配に関する規制について、統一的に取り扱う以上、当然のこととして、賛成する。

 

 

[1] 過失責任化

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】委員会等設置会社との整合性を図るべきである。

 

 

[2] 分配額に係る弁済責任を負うべき者の範囲

 

 

【意見】a案に賛成する。

 

 

【理 由】有限責任を享受する以上、会社財産は債権者にとっての引当であり、その分配については一定、慎重さが求められて然るべきである。他方、(1)でも述べ たように過失責任とする以上、取締役会の決議に参加した取締役については、提案説明がどの程度詳しいものであったか、前提となる事情を知りうるものであっ たかなど個別事情を考慮できる余地があってよい。この場合に任務懈怠があったと判断されるようであれば、(1)の規定による責任追及によることができる。

 

 

[3] 責任の免除の在り方

 

 

【意見】現行法制を維持して差し支えない。

 

 

【理由】会社債権者に対して損害を及ぼす免除については、詐害行為取消権の対象になると考えられるからである。

 

 

(3)期末のてん補責任

 

 

【意見】(前注)については、「(2) 違法な剰余金の分配に係る責任」で述べたところと同様である。

 

 

[1] 期末のてん補責任を負うべき場合

 

 

【意見】原則として現行法制を維持すべきであるが、定款の定めにより一定の範囲で責任を負う場合を限定させてもよい。

 

 

【理 由】中間配当及び自己株式の買受については、会社の経営判断の一環として、ある程度危険を含んだ判断をせざるを得ない局面があることは理解できる。他方、 会社財産は、債権者に対する引当であるから、簡単に欠損を容認することはできない。だとすれば、一定程度のリスクを公示しておいて、経営者にある程度思い 切った判断ができる裁量を与えることが望ましい。

 

 

[2] 期末のてん補責任を負うべき者の範囲

 

 

【意見】a案に賛成する。

 

 

【理由】(2)で述べたところと同じである。

 

 

(4)利益相反取引に係る責任

[1] 過失責任化

 

 

【意見】賛成する。会社と直接又は間接に利益相反取引をした取締役等のうち当該行為による利益が帰属することとなる者についても過失責任としてよいと考える。

 

 

【理由】委員会等設置会社との整合性を図るべきである。また、どのような場合に利益相反取引となるか、必ずしも明白ではないケースもありうるので、会社との取引により利益が帰属した者についても一律に無過失責任とすべきではない。

 

 

[2] 一般の任務懈怠責任との関係

 

 

【意見】b案のうち、ⅰ案に賛成する。

 

 

【理由】委員会等設置会社との整合性を図るべきである。責任を負うべき者の範囲についても(2)で述べたところと同じである。

 

 

[3] 責任の免除の在り方
イ  現行の免責要件の緩和規定の取扱い

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】過失責任化する以上、無過失責任を前提とする商法266条6項に相当する規定は不要である。

 

 

ロ  責任の一部免除の取扱い

 

 

【意見】a案に賛成する。

 

 

【理由】取締役の責任のうち、この場合のみ例外とするほどの積極的な理由はない。

 

 

[4] 取締役会が設置されない会社における利益相反取引の取扱い

 

 

【意見】(注1)~(注3)の取扱いとともに賛成する。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者の統一的な取扱いは合理的である。

 

 

(5)株主の権利行使に関する利益供与に係る責任

 

 

【意見】(前注)については、「(2) 違法な剰余金の分配に係る責任」で述べたところと同様である。

 

 

[1] 過失責任化

 

 

【意見】株主の権利行使に関する利益供与については無過失責任を維持すべきである。

 

 

【理由】取締役の責任のうち、この場合については反社会性が強く、例外的に無過失責任を貫くべきである。

 

 

[2] 供与額の弁済責任を負うべき者の範囲

 

 

【意見】委員会等設置会社の場合も含め、利益供与をした取締役以外の取締役については、供与額の弁済責任を負うべき者の範囲に含めないこととすることでよい。

 

 

【理由】利益供与者以外の取締役が、必ずしも違法な利益供与であると認識すべき場合ばかりとは限らないからである。

 

 

8 代表訴訟

 

 

【意見】株主代表訴訟制度には、試案指摘等の問題点があるので、見直すべきである。
(注)イについては、会社(株主全体)の利益をも考慮して訴えを終了させることができる方策を講ずるべきである。
(注)ロは、ⅰ、ⅱいずれも賛成する。
(注)ハは、賛成する。

 

 

【理由】(注)イについては、株主代表訴訟は、会社(株主全体)の利益となるものでなければ、かえって会社(株主全体)の利益が損なわれる可能性があり、不合理である。
会社(株主全体)の利益となるかは、一義的には、会社(株主全体)が判断すべきであるから、株主総会の決議により株主代表訴訟を取り下げることができるものとすべきである。
決議要件は、取締役解任決議の要件と同様にするのが妥当と考える。しかし、株主代表訴訟が提訴されるごとに株主総会を開かねばならないのは、非常に不経済であるから、株主代表訴訟の取り下げを株主総会の権限とする他に、他の手当も講ずる必要がある。
会社(株主全体)の利益となるかどうかは、会社(株主全体)が判断すべき事項であるので、会社(株主全体)が設置する訴訟委員会において判断をさせ、裁判所は、その結論を事実として採用すべきである
(注)ロⅰについては、株主代表訴訟の原告適格を訴訟の原因となった行為の時点での株主に限定することにより、悪意で訴訟を提起する株主の排除が可能となり、妥当である。
(注)ロⅱについては、株式交換・株式移転により完全子会社となる会社の株主たる地位を喪失する場合、原告適格を喪失するとする現行の取扱いは不当であり、試案のとおりとすべきである。
(注)ハについては、「悪意」の意義については、下級審の裁判所でその見解が分かれているので、その要件を明文化し、「悪意」の疎明の一助とすべきである。

 

 

9 監査役

 

 

(1)監査役の権限

 

 

【意見】賛成する。(注)については、不要である。

 

 

【理由】譲渡制限株式会社においても有限会社型機関設計を選択すれば、有限会社同様に監査役設置の義務はないので、監査役を設置する以上は、一律に業務監査権限を付与すべきである。
(注)については、譲渡制限株式会社に有限会社型機関設計を認め、監査役の設置が任意となる以上、不要であり、存置することは、機関がかえって複雑となり弊害がある。

 

 

(2)補欠監査役

 

 

【意見】賛成する。

(注1)については、定款の定めを要し、予選の効力は、被補欠監査役の任期の満了の時までとすべきである。
(注2)については、予選された補欠監査役の開示方法は、営業報告書において開示すべきである。
(注3)については、社外取締役についてのみ、同様の取扱いとすべきである。

 

 

【理由】補欠監査役の予選は、会社にとって、定款や法定数を越える監査役を事前に選任しておく必要もなく、その報酬等の支払いも軽減でき、合理的である。
(注1)については、商273条3項において補欠監査役の任期につき定款の定めを要するとされていることとの平仄を合わせた現行実務は合理的であり、定款の定めを要するものとすべきである。
(注2)については、営業報告書において株主に開示するのが合理的である。
(注3)については、社外取締役については、その要件との関係で必要性があると思われるが、一般の取締役については、欠員が生じた場合に、すぐに違法となり会社運営に支障をきたすことは少ないものと考える。

 

 

10 使用人兼務取締役等

 

 

(1)委員会等設置会社における取締役の使用人兼務

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】執行役の職務執行を監督する立場にある委員会等設置会社の取締役が、執行役に管理監督を受ける使用人を兼務することは、監督と執行との分離を図り、取締役会の役割を重視した委員会等設置会社の制度の趣旨から、認めるべきではない。

 

 

(2)委員会等設置会社における使用人兼務執行役の報酬

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】委員会等設置会社の制度の趣旨から妥当である。

 

 

11 会計監査人

 

 

(1)会計監査人の設置強制の範囲
[1] 株式会社に係る設置強制の範囲

 

 

【意見】株式会社については、現行の資本金の基準を廃止し、有価証券報告書提出会社及び現行の負債基準の会社に会計監査人の設置を義務付けるものとすべきである。

 

 

【理由】現行の資本金の基準は、株主が1名で債権者も多くない会社にも適用されることになり、合理性に乏しいので、株主又は債権者が多いと想定される有価証券報告書提出会社及び現行の負債基準の会社に会計監査人の設置を義務付けるものとすることが合理的である。

 

 

[2] 大規模有限会社についての会計監査人の設置強制

 

 

【意見】(注1)、(注2)を含めて賛成する

 

 

【理由】有限会社のうちの大規模なものは、利害関係人である債権者等も多数にのぼるので、大規模有限会社にも会計監査人を設置させ、債権者等に対する財務内容の正確・透明性を担保すべきである。
(注1)については、会計監査人の選任及びそのコストの面から、必要な措置である。
(注2)については、現行の委員会等設置会社又は監査役会設置会社という機関設計のみでは、有限会社の負担が大きいため、一定の措置が必要である。

 

 

[3] 完全子会社の特例

 

 

【意見】連結計算書類作成会社の完全子会社については、大規模な会社であっても会計監査人の設置を強制しないものとすることに賛成する。(注)についても賛成する。

 

 

【理由】連結計算書類制度により、会計監査人に連結子会社の調査権が付与されているので、敢えて、別個独立した会計監査人の設置を強制する必要はない。
(注)については、完全子会社の計算書類の適正さの確保について、現行法上の措置に加え、イ、ロの措置が必要と考える。

 

 

(2)会計監査人の任意設置の範囲

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】懸案とされる中小会社の計算書類の適正担保に資するものであり、実現を図るべきである。

 

 

(3)会計監査人が設置される場合の機関設計等

 

 

【意 見】会計監査人が設置される場合の機関設計に関し、[1]会計監査人の設置が強制される範囲の会社のうち譲渡制限株式会社、[2]会計監査人を任意で設置 することができる範囲の会社について、現行の委員会等設置会社又は監査役会設置会社以外の機関設計の在り方を認めるものとすべきであり、[1]、[2]と もにb案とすべきである。
(注)については、仮にa案を採る場合は、(注1)に賛成する。
(注2)については、現行の会計監査人制度と同様とする。
(注3)に賛成する。
(参考)中、
[1] 会計監査人の選解任等における監査役会の関与(商特3条2項及び3項、6条3項、6条の2等)については、(注3)と同様である。
[2] 会計監査人の資格・任期(商特4条、5条の2)については、資格については、本文[1]の範囲の会社については、現行どおりとし、本文[2]の範囲の会社については、一定の研修及び考査に合格した税理士も加えるべきである。
任期については、現行どおりとすべきである。
[3] 会計監査人の権限・義務(商特7条、8条)については、現行どおりとすべきである。
[4] 会計監査人の責任(商法9条~11条)については、現行どおりとすべきである。
[5] 監査手続(商特12条~15条)については、現行を基準にすべきである。
[6] 貸借対照表及び損益計算書の確定(商特16条)については、現行どおりとすべきである。
b案を採る場合には、
(注1)については、会計監査人制度を認めるべきである。
(注2)については、株主総会の決議でよい。
c案は、監査を行う者がいないので、反対する。

 

 

【理 由】会計監査人が設置される場合の機関設計に関し、[1]会計監査人の設置が強制される範囲の会社のうち譲渡制限株式会社、[2]会計監査人を任意で設置 することができる範囲の会社については、とくに[2]の範囲の会社については、より多くの会社が会計監査人を任意で設置することができるのが望ましいが、 最低限、監査役の設置は必要であるので、[1]、[2]の会社ともb案が妥当である。
(注)については、仮にa案を採る場合は、(注1)は、合理的であり、妥当である。
(注2)については、現行の会計監査人制度と同様のものとすべきである。
(注3)については、妥当である。
(参 考)については、[2] 会計監査人の資格については、[1]の範囲の会社については、現行どおりとすべきであるが、[2]の範囲の会社には、より多くの 会社が会計監査人の設置を行うことが望ましく、資格者確保の面から、現行の資格者に加え、会計監査人業務を行うに足りる一定の研修を受け、考査等によりそ の能力を有することが証明された税理士にも資格を与えるべきである。
b案を採る場合は、(注1)については、会計監査人制度を認めるのが相当である。
(注2)については、会計監査人の監査結果に対する監査役の不相当意見がない場合であっても、貸借対照表及び損益計算書の承認を行う取締役会が存しないので、計算書類の確定には株主総会の決議を要するものとすべきである。
監査役が存在しない会社には、会計監査人の設置を認めるべきではない。

 

 

(4)会計監査人が不適法意見を述べている場合の措置

 

 

【意見】賛成する

 

 

【理由】株主・債権者等に対する開示として妥当である。

 

 

(5)会計監査人の会社に対する責任

 

 

【意見】[1]につき賛成する。[2]につき会計監査人の会社に対する責任について,いわゆる一部免除制度を導入すべきである。

 

 

【理 由】外部監査である会計監査人の判断により、会社の利益に影響を受けることとなった場合に、その責任追求として株主代表訴訟の対象とせざるを得ない。しか し、あくまで外部監査機関であるので、(注1)(注2)で述べられている取締役等と同様な方法による免責を認めるべきである。

 

 

(6)会計監査人の報酬

 

 

【意見】監査役会に会計監査人の報酬の決定に関する同意権限を、監査委員会に決定権限を付与するべきである。(注1)についても賛成する。

 

 

【理由】会計監査人の独立性を保つために監査役ないし監査委員会の関与が必要である。

 

 

(7)会計監査人の欠格事由

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】監査法人の社員一人による欠格事由で、一律に監査業務遂行全体に影響を及ぼしかねない事態となることは酷であり、公認会計士法上の監督官庁による監督を尊重し、その措置に委ねることが適当であると考える。

 

 

(8)会計監査人の登記

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理 由】会計監査人を設置した場合に、会計監査人の設置を対外的に開示することは、債権者等の利害関係人にとって、会社の財務管理がどのようになされているの を知るうえでも非常に有益である。また、会計監査人の登記事項は、氏名・名称の他、事務所及びその設置年月日も登記事項とすべきである。

 

 

12 その他

 

 

(1)重要財産委員会制度

 

 

【意見】規定の見直しは見送るべきである。

 

 

【理由】重要財産委員会制度は、創設されたばかりであるので、導入企業の数が増えた段階で、その運用実績と問題点を検討するべきである。

 

 

(2)大会社・みなし大会社に係る機関設計

 

 

【意見】見直しは慎重に行うべきである。

 

 

【理由】監査委員会も創設されたばかりであるので、導入企業の数が増えた段階で、両制度の運用実績と問題点を検討するべきである。

 

 

第5 計算関係

 

 

はじめに

 

 

試案提案以外の下記事項について意見を述べる。

 

 

(1)会計専門家による中小会社の計算の適正担保制度

 

 

【意見】会計専門家による中小会社の計算の適正担保制度を導入すべきである。

 

 

【理由】規制緩和に伴い、債権者等利害関係人の自己責任が強調されるところ、これらの利害関係人に対する情報開示およびその真正さの担保措置が重要となる。
とくに中小会社の計算の適正担保は、長年の検討課題とされ現在に至っている。
中小会社の計算の適正担保措置は、債権者等利害関係人のみならず、中小会社自らの健全な経営に資するものであり、中小企業庁及び中小企業団体においても 積極的な取り組みがなされているところである(「中小企業の会計の質の向上に向けた具体的な取り組みに関する報告書」経済産業省中小企業庁中小企業政策審 議会企業制度部会)。
これら中小企業行政及び中小企業団体の取り組みを受け、会計の専門家団体である日本公認会計士協会及び日本税理士会連合 会から、具体的・実務的な指針が明らかにされ、日本税理士会連合会作成の「中小企業会計基準適用に関するチェック・リスト」は、金融機関の融資の優遇措置 等実用化が図られている(上記報告書)。
試案では、任意の会計監査人設置について提案(第4部・第4・11・(2))されているが、会計監査人を 設置できる中小会社は限られたものとなるであろうから、一般的に中小会社の計算の適正担保を図るうえで、上記のように、現実に一定の評価を得て実務に利用 されている具体的取り組みについて、中小会社の計算の適正担保措置としての法的位置付けをなすべきである。

 

 

(2)決算期の登記事項化

 

 

【意見】決算期を登記事項とすべきである。

 

 

【理由】定款が一般に公開されているわけではないので、登記された役員の改選期の確認に資するため、決算期を登記事項とすべきである。

 

 

1 剰余金の分配に係る規制

 

 

(1)会社財産の払戻しに対する横断的規制

 

 

【意見】基本的に賛成する。(注1)については、譲渡制限の定めを行う場合における買取請求につき財源規制を課すべきではない。
(注2)について、財源規制を課さない自己株式の取得の範囲に、担保権の実行による自己株式の取得など正当な権利の行使の結果として取得する場合も加えるべきであり、これに関連して相続人からの自己株式の買取請求を規定し、これも加えるべきである。

 

 

【理由】会社財源の払戻し方法の多様化に伴い、統一的に財源規制を定めることが望ましい。

 

 

(2)現物配当

 

 

【意見】現物による分配を認める場合には、現物の価格評価を明示した上、普通決議で足りるとすべきである。ただし、現物の価格評価につき、取締役の責任を明確化すべきである。(注)については賛成する。

 

 

【理由】株主の権利が保障されていれば、多様で機動的な選択肢があることが望ましい。

 

 

(3)剰余金分配限度額の計算方法

 

 

【意見】(注1)、(注2)を含め、賛成する。

 

 

【理由】資本の部の記載の複雑化に伴い、簡明な規定振りにすることが望ましい。

 

 

(4)分配可能限度額の算定の基準時等

 

 

【意見】[1]、[2]、各注ともに賛成する。

 

 

【理由】[1]につき期中の払戻しの増加に対応する算定基準の明確化は望ましい。また、[2]につき分配決定時と責任の範囲との整合性を図ることも望ましい。

 

 

(5)利益処分等に対する会計監査人の関与

 

 

【意見】会計監査人に関与させる必要性はないと考える。

 

 

【理由】利益処分等は単純な作業であり、会計監査人の関与まで要しない。

 

 

2 資本・準備金

 

 

(1)資本の組入れ基準

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】新株発行等に際して、発行価額と引受価額とが異なる場合に対応するもので望ましい規定の整理である。

 

 

(2)欠損てん補のための資本減少の決議要件

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】期中における欠損填補については、欠損額を明確に把握できない事もあるが、実務上のニーズもあるため、現行法どおり特別決議により可能とすればよい。

 

 

(3)利益準備金

 

 

【意見】反対する。

 

 

【理由】会計上は明確に区分すべきである。

 

 

(4)準備金の積立て

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】会計基準の変更に対応するため、計算に関する規律が商法施行規則に委ねられたことと同様に、一部を省令に委任することも合理的である。

 

 

(5)法定準備金の減少額の上限規制

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】準備金の減少をするために資本を減少しなければならないのは、本末転倒であり、合理的な改正である。

 

 

(6)自己株式の処分差益の計算上の取扱い

 

 

【意見】現在の制度を改める必要はない。

 

 

【理由】自己株式取得の財源は、剰余金であるのが原則であるから、売却差益も他の資産を売却等した場合と同様,利益として計上して差し支えない。

 

 

3 組織再編行為の際の資本の部に係る計算関係

 

 

(1)株式交換・株式移転の場合

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】合理的な改正であり望ましい。

 

 

(2)資本増加限度額の算定の際の控除額

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】合併等の対価の柔軟化の方向に沿った望ましい改正である。

 

 

(3)組織再編行為の際の剰余金の計上

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】国際会計基準の動向に沿った合理的な改正であり望ましい。

 

 

(4)いわゆる「合併差損」等が生ずる場合の取扱い

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】債務超過会社を消滅会社とする合併は社会的なニーズが高く、認めるべきであり、その際にはこの取扱いに沿って処理させることが望ましい。

 

 

4 分配機会及び決定機関の特例並びに役員賞与等

 

 

(1)分配機会及び決定機関の特例に関する定款の定め

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株主に対する一定の保護手続を設けて、選択肢を広げるのは、望ましい。

 

 

(2)(1)の定款の定めがある会社の定時総会

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】合理的な改正であり望ましい。

 

 

(3)株主からの配当議題提案権

 

 

【意見】a案に賛成する。

 

 

【理由】配当についてのみ、議題提案権を有することは整合性に欠ける。

 

 

(4)取締役等に対する財産上の利益の取扱い

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】合理的な改正であり望ましい。

 

 

5 開示・監査関係

 

 

(1)附属明細書

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株式会社と有限会社の一体化を図るのであれば、両者に差を設けなければならないほどの事情は存在しない。

 

 

(2)利益処分案・損失処理案

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】合理的な改正であり望ましい。

 

 

(3)決算公告

 

 

【意見】e案に賛成する。
(注1)については、仮にb案を採る場合には、法定の機関たる「取締役会」の設置の有無を決算公告の義務付けの有無の区別の基準とすべきである。
(注2)については、仮にc案・d案を採る場合には、虚偽公告、計算書類の虚偽記載等についての罰則の強化をすべきである。
(注3)については、法務省が作成したホームページで公開できる旨定めるべきである。
(注4)については、仮に決算公告義務を維持する場合には、有価証券報告書提出会社であって、EDINET等において当該報告書が公開されている会社については、商法上の決算公告義務を課す必要はない。

 

 

【理由】計算書類公開の問題は、平成2年商法改正以降、積み残された重要課題の一つであり、今般の会社法制の現代化において、解決が図られるべき問題である。
現行の決算公告の制度は、検索システムが整備されていない媒体を選択することができ、この場合には、検索が困難であり、極めて不備な制度である。
登記所における公開のように、誰しもが簡単に当該会社の計算書類を低コストで入手できる制度が必要である。
平 成13年128号改正において、決算公告に替えて、計算書類のインターネット公開をすることが認められ、これにより、従来の新聞・官報による公告と比較し て実施コストが大幅に減少し、とくに中小会社にとって、計算書類の公開を行う環境が整備され、中小企業庁や全国中小企業団体中央会等において、中小会社の 計算書類のインターネット公開の促進が図られている。
この制度を利用する中小企業は、法令遵守の観点というよりも信用形成等の自社のメリットを考慮して自主的に実施しており、計算書類のインターネット公開は、罰則を課し義務付けの制度としなくても中小企業に十分受け入れられる制度と考えられる。
こ のような中小企業行政や中小企業団体等の自主的な取り組みが尊重されることなく、試案a案のように譲渡制限株式会社や有限会社等の中小会社へ決算公告を義 務付けるものとする提案は、中小会社関係者の強い反対が予想され、立法化は不可能と言わざるを得ない。平成2年商法改正時の登記所における計算書類公開の 立法化の失敗が再び繰り返されることになるであろう。
上述したように中小会社関係者は、計算書類の公開を一切否定しているのではなく、自主的な取り組みがなされているのであるから、このような取り組みが活かされるように法整備することが現実的な解決策であろう。
b案・c案・d案は、いずれも一部の会社を対象とするものであり、強く反対する。
会社法制の現代化においては、新たな会社類型の創設も検討されているので、すべての会社類型の計算書類が公開されることが望ましい。
任意の計算書類公開とともに中小会社の計算書類の信頼性確保の措置が必要である。
現 在、自社ホームページを持たない中小会社に対し、中小企業団体のホームページへの掲載等の支援がなされているのは高く評価できるところであるが、登記され ている会社については、法務省が作成する専用ホームページに会社法人等番号を付して、商号・本店の変更登記がなされて、計算書類公開ホームページにそれら の変更が反映されていなくても検索できるシステムとすべきである。
当面、商号・本店の変更登記がなされた場合は、計算書類公開ホームページにその 変更の届出を行う必要があるが、早急に商業登記のコンピュータ化を図り、商号・本店の変更登記がなされた場合に届出をすることなく自動的に計算書類ホーム ページの変更がなされるシステムとすべきである。
法務省が作成する専用ホームページへの計算書類掲載コストは、低廉な価格とすべきである。

 

 

第6 社債・新株予約権関係

 

 

1 有限会社の社債・新株予約権・新株予約権付社債

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】有限会社の活用法、規模等が多様化してきており、資金調達の選択肢を一律に規制する必要性が乏しくなっているので、試案の提案は妥当である。
ただし、有限会社は計算書類の公開義務がなく、一般投資家が参加することは少ないと考えられるが、特に社債の発行を伴うものは、一般投資家保護のための措置(社債管理会社の活用など)を講ずるべきである。

 

 

2 社債総則に関する規定の整理

 

 

(1)社債の発行事項の決定

 

 

【意見】[1]、[2]、(注1)、(注2)のいずれも賛成する。

 

 

【理 由】社債の発行は、取締役会において決議する必要があるが、詳細な発行事項をすべて取締役会の決議に委ねることは、時の経済情勢に応じた機動的な資金調達 を阻害するものである。そのため、取締役会で基本事項を決定し、詳細は取締役会の授権に基づき代表取締役が決定するという選択肢が求められている。それに は、代表取締役への権限委譲のルールが必要となり、取締役会の決議事項を明確化する提案に賛成する。また、打切発行を原則化する方が実態に則して合理的と 考えられ、積極的な資金調達が期待できる。

 

 

(2)社債関連規定

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理 由】社債の分割払込みは、海外で発行する場合に利用されるといわれており、資金調達のグローバル化、商298条に反する社債発行の効果(無効とならないと されている)また同条に反する時期における資金調達の必要性等を考慮すると、同条は必ずしも合理的とはいえない。社債の乱発が懸念されるが、打切発行を原 則化する提案がなされており、その場合同条規制は機能しない。社債の乱発については別の規制(例えば、社債管理会社設置の適用範囲や責任)等で解決すべき 問題と考える。
商299条は、社債権者集会の議決権算定のためとされているが、この規定を廃止し、議決権基準を(注)の残存債権額基準に変更する方がより公平であり、かつ合理的である。
発行会社は、社債の償還時期、償還の事情等を考慮しながら、割増部分を異にすることによって、より公平で合理的な償還が可能となる。一律に規制する商300条は、その必要性に乏しい。

 

 

3 社債管理会社

 

 

(前注)社債管理会社の資格範囲の見直しの要否については、なお検討する。

 

 

【意見】見直しが必要と考える。

 

 

【理 由】(前注)について、計算書類の公開義務の課せられていない有限会社についても社債の発行を可能とする等、社債の発行規制についての緩和が提案されてい るが、社債の乱発等を防止し、社債権者を保護するため、社債管理会社の役割が増すことが予想される。資格範囲の見直しについては、その点に十分配慮すべき である。
また、社債権者と社債管理会社の利益が相反する場合に、社債管理会社の約定による辞任を認めるとの提案があるが、社債発行会社の財務状況が悪化したような場合、その後任の社債管理会社は、専門的な知識と迅速な対応を迫られるため、専門会社も視野に入れるべきである。

 

 

(1)「約定権限」の行使

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】社債管理会社の果たすべき役割に鑑み、社債権者保護のために必要である。

 

 

(2)社債管理会社の辞任

 

 

【意見】(注1)、(注2)を含めて賛成する。

 

 

【理 由】社債発行会社がデフォルトに陥った場合等には、社債管理会社と社債権者の間の利益相反が問題となるが、公平性、迅速性の観点から、一定の場合に約定に よる辞任も認めざるを得ない。ただし、社債管理会社がすべて利益相反するような場合が容易に想定され、その場合の社債権者保護の手当てが必要となる。(注 1)のように予備の社債管理会社を定めておき、迅速に事務の引継ぎを行う提案は、その実効性を高めるものと評価できる。
社債発行会社のデフォルトの時期を客観的に判断することは困難になるため、社債権者より情報収集能力のある社債管理会社には、(注2)のように形式的基準で一定の責任を負わせることが公平である。
社債管理会社は、担保付社債の受託会社と同様、発行会社及び社債権者集会の同意がある場合のほか、社債管理委託契約等の定める事由が生じた場合においても、辞任することができるものとする。

 

 

(3)社債管理会社の責任
[1] 支払の停止等の後の弁済の受領等

 

 

【意見】賛成する。(注)については、6ヵ月程度に延長すべきである。

 

 

【理由】情報収集能力、専門的能力や機動力の差からも、社債権者保護のために公平な提案である。
(注)についても、同様の観点から、6ヵ月程度に延長すべきである。

 

 

[2] 社債管理会社の子会社等の行為

 

 

【意見】(注)も含めて賛成する。

 

 

【理由】社債管理会社の債権回収と同視できる場合は、社債権者保護の観点から、同様に取扱う必要がある。また、(注)の相殺については破産法の改正との整合性をはかる必要がある。

 

 

(4)法的倒産手続における社債管理会社の権限

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】迅速性、専門性が必要な行為については、注意義務と賠償責任を課せられている社債管理会社が、社債管理委託契約の定めに従って行うことは、社債権者保護の観点からも問題なくかつ合理的である。

 

 

(5)債権者保護手続における社債管理会社の権限

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理 由】企業再編等の手続の簡素化、迅速化に資するものである。但し、社債権者は、債権者であるにもかかわらず、社債権者集会等の手続の煩雑さ、コスト等を回 避するために合理的な提案がなされているものと思われる。しかし、社債権者保護のため、社債管理会社はこれを権限と捉えるに留まらず、社債の管理の一つと して社債権者に対する情報提供を義務づけるなどの措置を検討する必要がある。

 

 

4 社債権者集会

 

 

(1)決議事項の許可

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】現行の手続の煩雑さ、時間、費用等勘案すると、裁判所の事前関与を省略し、事後的関与に一本化することは合理的な解決策である。

 

 

(2)特別決議の成立要件

 

 

【意見】a案に賛成する。

 

 

【理 由】補足説明指摘のとおり、社債発行会社について更生手続が開始された場合の関係人集会における社債管理会社の議決権行使の確保の重要性から、また、社債 権者集会一般に、社債権者が積極的に議決権行使をすることは期待できないので、社債権者集会の特別決議の成立要件の緩和が必要である。b案では、少数供託 社債権者により不公正な決議がなされ、裁判所により決議不認可となるのでは迂遠であり、c案は、時間と費用の負担が大きいので、a案が妥当である。

 

 

5 一株に満たない端数の処理

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】現行法の不都合を解消し、合理的な提案であり賛成する。

 

 

6 強制転換条項付新株予約権付社債

 

 

【意見】(1)、(2)、(3)、(注)も含め賛成する。

 

 

【理由】資金調達の円滑化、多様化に役立つものとして賛成する。

 

 

7 組織再編行為に際しての新株予約権等の承継

 

 

(1)承継の手続

 

 

【意見】[1]、[2]も含め賛成する。

 

 

【理由】現行法で問題が指摘されている企業再編の際の新株予約権者の地位を明確にし、その保護を図る規定であるからである。

 

 

(2)株式交換・株式移転の際の新株予約権付社債の承継

 

 

【意見】賛成する。(注)については、債権者保護手続が必要と考える。

 

 

【理由】当該新株予約権付社債権者の保護手続を設けた上で、株式交換・株式移転の際に、新株予約権付社債についても承継を認めるのは、妥当である。
(注)については、債務の承継であるから、債権者保護手続が必要である。

 

 

8 新株予約権付社債の譲渡等

 

 

【意見】(注1)~(注3)も含め賛成する。

 

 

【理由】私募による新株予約権付社債の発行ニーズに応える提案と評価できる。また、発行会社の社債管理事務の円滑化を図るものである。

 

 

9 社債の銘柄統合

 

 

【意見】いずれにも賛成する。

 

 

【理由】いずれも実務上の問題点を明確化しかつ合理的な提案である。

 

 

10 社債権者による書面投票制度

 

 

【意見】書面投票による決議(電磁的方法による投票を含む。以下同じ。)を認めることに賛成する。
(注1)については、a案に賛成する。
(注2)、(注3)、(注4)はいずれも賛成する。

 

 

【理 由】多数の出席者の見込めない社債権者集会においては、書面投票による決議を認めた方が合理的である。社債権者集会を開催しないことにより、社債権者に対 して提供される社債発行会社の財務状況等にかかる情報量が少なくならないように情報開示を行えば、書面投票により決議することができる事項について制限を 設ける必要はないので、(注1)については、a案が妥当である。
(注2)~(注4)は、いずれも相当である。

 

 

第7 組織再編関係

 

1 対価柔軟化

 

 

【意見】賛成する。(注1)についても賛成する。(注2)の株式以外の対価を用いて株式交換を行う際に債権者保護手続及び(注3)の対価の適正性調査のための制度は不要である。

 

 

【理 由】現在の会社を取り巻く環境を考えると、M&Aの国際化、事業の再構築等の進展から、合併等の組織再編行為の対価を存続会社の株式等に限定する必要性は 薄れている。つまり、合併等の対価を存続会社の株式等に限定しないことで、存続会社の議決権構成の変化を避けることができ、また、消滅会社等の株主にとっ ても利点の多い再編が可能になるからである。
しかし、合併対価等の柔軟化により、対価の相当性が問題となることから、存続会社及び消滅会社の株主に対して、その判断ができる資料等を提示すべきである。
株式以外の対価を用いて株式交換を行う際に債権者保護手続を要するものとすることには原則として反対する。会社の買収に比して、手続が煩雑になるからである。ただし、利害関係人が詐害的な株式交換に対し何らかの異議申立ができる制度を手当てすべきである。
また、一般的に対価の適正性調査のための制度を設けることにも反対である。活発な企業再編を阻害することとなり、存続会社及び消滅会社の株主自治に任せるべきである。

 

 

2 簡易組織再編行為

 

 

(1)簡易組織再編行為の要件

 

 

【意見】要件の緩和の程度を含めて賛成する。営業の重要な一部の譲渡についても同様に簡易な手続きを設けるべきである。
(注3)の合併交付金に関する基準の廃止については賛成する。
(注4)の反対株主による異議の要件は、定款の株主総会の特別決議の緩和規定に合わせて、定款をもって総株主の議決権の9分の1まで緩和できるものとする。
(注5)組織再編行為以外の新株発行等については、一定の割合を超える発行等をする場合であっても、反対株主による異議手続その他の手続きを設けることに対しては反対する。

 

 

【理由】企業の包括的な取引については、慎重を期する側面もあるが、営業の重要な一部の譲渡を含め、取締役に一般的に与えられた裁量権とのバランスおよびM&A市場の要請を考慮すると、要綱試案の程度の要件の緩和を認めるべきである。
また、合併対価等の柔軟化が認められるならば、現行のように合併交付金に関する基準を別立てとするよりも、統一的に考えることが望ましい。
(注 4)については定款に株主総会の特別決議の定足数を総株主の議決権の3分の1まで緩和できる規定がある場合には、反対株主による異議の要件は現行の総株主 の議決権の6分の1から総株主の議決権の9分の1まで、定足数の緩和規定に応じて、定款をもって緩和できるものとすべきである。
(注5)について は、現行規定において認められている授権枠内の新株の発行は、既存株主の信託の下になされている行為であり、また、現行法に規定されている新株発行の差止 め、新株発行無効の訴え等不公正または不法な新株発行に対する株主による異議手続で十分に株主保護は図られているためである。

 

 

(2)譲渡制限株式会社についての取扱い

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】譲渡制限会社においては、議決権構成が変わる可能性がある組織再編行為については、第三者への新株の発行と同様に、株主総会の決議を要するとする。

 

 

3 略式組織再編行為

 

 

【意見】支配関係のある会社間の要件も含めて賛成する。
(注2)については、対価によって手続きを区別する必要性はない。
(注3)の少数株主の保護については、株式買取請求権を付与するだけでなく、著しく不公正な組織再編行為については差止請求制度を設けるべきである。
(注4)支配株主に対する買取請求権及び支配株主への売渡請求権等の制度を設けることについては、消極的である。

 

 

【理 由】企業の包括的な取引については、慎重を期する側面もあるが、圧倒的な支配・被支配関係が存在し、子会社について株主総会において議論が尽くされても結 論において親会社の意思に支配されるようなケースについては、株主総会の開催省略を認めても結論において変わりがない。要綱試案の提案する、総株主の議決 権の9割以上を保有している状態であれば、文句なしにそうした状態であると認定できる。
また、合併対価等の柔軟化が認められるならば、対価の種類によって手続を区別する必要はない。
(注3)の少数株主の保護については、株主総会で自己の意見を表明するという手続きを踏めないことから、一定の場合にこれを手厚く保護するものである。
(注4)については、こうした権利を認めると、支配株主が少数株主に対して、その地位を利用して他の株主の権利を奪うことになったり、特殊株主が嫌がらせに権利を行使する可能性が生じたりするためである。

 

 

4 効力発生

 

 

【意 見】吸収合併、吸収分割についての効力発生は、登記時ではなく、当該組織再編行為を行う会社間で定めた一定の日においてその効力が生ずるものとすることに 賛成する。その場合、効力発生日については、公告等により、株主だけでなくその他の利害関係人に対しても、広く知らしめるべきである。さらに、効力の発生 後、登記までの利害関係人の保護等のために、消滅会社の代表者の行為の効果は、存続会社に帰属するものとすべきである。
これに対し、株式移転その他の新たに会社を設立する類型の組織再編行為の効力発生時については、会社設立の効力発生時である登記時とすべきである。

 

 

【理 由】合併等の登記は第三者対抗要件とするのみならず、効力要件として合併等の効果を画一的に決定することが望ましい。しかし、登記所は、土曜、日曜、祝日 に閉庁しており、企業の望む日に合併等の登記をできないことが少なくない。その結果、契約で定める合併期日等と法的な合併等の日に齟齬を生じ、混乱を生じ ている。よって、吸収合併又は吸収分割については,登記時ではなく,当該組織再編行為を行う会社間で定めた一定の日においてその効力が生ずるものとするこ とが適当であろう。しかし、その効力発生日については、公告等により、株主だけでなくその他の利害関係人に対しても、広く知らしめる措置を講じるべきであ る。さらに効力の発生後、登記までの利害関係人の保護等のために措置等を講ずることも必要となる。
他方、株式移転その他の新たに会社を設立する類型の組織再編行為の効力発生時については、会社設立の効力発生時である登記時とすべきである。

 

 

5 人的分割における財源規制

 

 

【意見】分割対価が柔軟化されれば、人的分割について、「物的分割+剰余金の分配」として利益配当等と同様の財源規制に服さしめるべきである。なお、(注)につき賛成する。

 

 

【理由】企業再編の対価の柔軟化に伴い、一定の債権者保護の措置も必要となる。人的分割につき、このような構成にした場合においても、交付される財産が新設会社又は承継会社の株式のみの場合等一定の場合については、現在と同じ考え方をとってよい。

 

 

第8 清算関係

 

 

1 清算手続への裁判所の関与

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】裁判所への諸届け出はほとんど履行ないし活用されていないのが現状であり、廃止すべきである。

 

 

2 清算中の会社の機関

 

 

(1)清算中の株式会社の清算人会

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株式会社の中でも多数を占める小規模閉鎖会社における清算手続では、清算事務も簡単な事案が多く、実務上、清算人を1人しか選任しないことも少なくない。株式会社と有限会社の一体化を図ることと相俟って、清算人会の設置を任意とすることは合理的である。

 

 

(2)清算中の株式会社の監査役

 

[1] 解散時に大会社であった清算中の株式会社

 

 

【意見】注を含め、b案に賛成する。

 

 

【理 由】監査制度の強化の原因は、会社の粉飾決算や取締役の不祥事が社会問題へと発展する事件が後を絶たなかったことにある。ところが、解散後の会社は清算の 目的の範囲内においてのみ存続するものであるから、解散前の会社と同質の監査制度を維持する必要はない。員数等は定款自治に委ねることをもって足りる。

 

 

[2] [1]以外の清算中の株式会社

 

 

【意見】b案に賛成する。

 

 

【理 由】大会社以外の株式会社においても利害関係人が相当数にのぼるケースがあり、一律に監査役選任不要とすることには賛成できないが、譲渡制限株式会社につ いては、解散前に取締役会の非設置を選択していたか否かにかかわらず、株主数もさほど多くないので、有限会社と同様に監査役の選任を義務づけないのが合理 的である。
(注)について、

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】解散しても株主数には当然には変動がなく、株主総会における議決権行使の機会の保障と会社側の事務とのバランスのとり方について、解散前と差を設ける理由はないと考える。

 

 

3 清算中の会社がすべき公告

 

 

(1)債権申出の公告

 

 

【意見】公告の回数については、1回とすることに賛成するが、債権申出期間については短縮すべきではない。

 

 

【理 由】官報における公告は実効性が低く、かつ、最近は検索システムも整備されてきたので、回数の多寡によりその影響は大きくないと考える。しかし、店頭の掲 示などで営業の廃止を知った時には債権申出期間が1月近く経過しているというようなケースは多いと考えられるので、債権申出期間は少なくとも現行どおり 2ヵ月必要である。

(2)清算中の会社の決算公告

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株主に対しては定時総会の招集通知の際に開示されるので、一般的な開示の廃止は合理的である。

 

 

4 清算中の会社の配当等

 

 

(1)残余財産分配の現物交付

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】株主の承諾があれば、残余財産分配の現物交付という選択肢が明確に認められることが望ましい。

 

 

(2)会社財産の株主に対する払戻し

 

 

【意 見】(注1)を含め、賛成する。(注2)のうち、清算中の株式会社が分割会社となる人的分割については、「物的分割+剰余金の分配」として構成した剰余金 の分配部分につき、利害関係人の権利保護に留意しつつ認めるべきであるが、清算中の株式会社が完全子会社となる株式交換については、認めるべきではない。

 

 

【理 由】合併による反対株主の株式買取請求権の場合は止むを得ないとして、これを除き、債権者保護のためには、残余財産分配以外の株主に対する金銭等の支払い に関しては禁じられることを明確化することが望ましい。清算中の株式会社が分割会社となる人的分割については、一種の営業譲渡として、清算事務の中で必要 となることがありうるところ、「物的分割+剰余金の分配」として構成すべきであるから、債権者等の利害関係の権利保護に留意しつつ、これを認めるべきであ る。他方、清算中の株式会社が完全子会社となる株式交換については、その必要性について疑問があり、原則に立ち返り認めるべきではないと考える。

 

 

5 清算結了登記後の資料の保存者

 

 

【意見】(注)を含め、賛成する。

 

 

【理由】通常の場合、資料の保存者の選任を裁判所に対して請求するのも迂遠であり、清算人を原則とすることが合理的である。なお、清算結了登記と同時に会社登記簿で保存者を公示しておくことが望ましい。

 

 

第9 その他

 

 

1 子会社に関する規定

 

 

【意見】(注)を含め、賛成する。

 

 

【理由】企業を巡る国際化に伴い、規定の明確化が必要である。

 

 

2 会社整理・特別清算

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理由】破産法をはじめとして倒産法制に関する見直しが進められているところ、統一的な検討が必要である。

 

 

第5部 外国会社関係

 

 

1 類似外国会社

 

 

【意見】b案に賛成する。

 

 

【理由】a案では、法人格まで否定されてしまい、法的安定性が害される。

 

 

2 外国会社の日本における代表者

 

 

【意見】賛成する。

 

 

【理 由】平成14年商法改正前は、通達により代表者のうち少なくとも1名が日本に住所を有していれば足りるとされていたが、平成14年商法改正により、営業所 を廃止した場合には、日本における代表者全員が日本に住所を有していなければならなくなったが、その合理性は見つけることができない。少なくとも1名が、 日本に住所を有していれば、十分である。

 

 

第6部 その他

 

 

1 新たな会社類型

 

 

【意見】日本版LLC制度の創設には賛成する。

 

 

【理 由】物的資産を企業活動の基盤とした時代から人的資産をも企業活動として活用するに至る多様性に富む時代となった現代社会では、当該環境の変化に対応した 組織形態が新たに求められてくる。多様性に富んだ活動形態の選択肢が存することが、社会の自発的活力を引き出す契機となる。現状では適切な会社形態が存在 しない結果、既成の組織形態をとることによって、会社法の不遵守が常態化するという病理現象が蔓延している。
現行の人的会社である合名・合資会社は、有限責任性というメリットを享受できないため、敬遠されているというのであれば、有限責任である人的会社という企業形態を創設することは望ましい。

 

 

(注)1 会社の内部の関係

 

 

【意見】(1)会社の内部関係は,原則として合名会社の規律に準じるものとすることに賛成する。ただし、合名会社においては,定款変更等総社員の一致を要するものとされている場合であっても、定款をもって多数決の原理を導入できるものとされたい。
(2)社員の退社については、注も含め賛成する。
(3)賛成する。法人が社員となった場合、業務執行を行うことも認めるべきであり、業務執行担当者を登記事項とすべきである。また、定款または総社員の同意により、業務執行者として第三者を活用することも検討すべきである。

 

 

【理 由】(1)新たな会社類型として創設しようとしている日本版LLCは、人的会社であるが、有限責任とされていることから,合名会社等の人的会社と同様に定 款変更等社員の利害に重大な影響を及ぼす事項についても、全て総社員の一致を要求するのではなく、定款自治を取り入れるべきであると考える。
(2) 新たな会社類型においては,既存の人的会社と異なり、社員全員の責任が有限であることから、退社制度を強制的に設置する必要性は薄いと考えるが、人的会社 であることを考慮し、退社制度の設置については問題ないと考える。また、投下資本の回収については、有限責任制度をとるため、制度として保障する必要はな い。
(3)内部関係につき、合名会社に準じた規律をとる以上、社員全員が会社の業務を執行する権限を有するものとすること、定款または総社員の同 意により社員の一部を業務執行者として定めることができるとすることが適当である。なお、法人が業務執行社員となった場合は、当該会社の登記簿のみで具体 的に業務執行にあたる者の氏名などが確認できるよう、これを登記事項とすべきである。
また、ジョイントベンチャー等大規模な会社が設立される場合も予想され、そのような場合、業務執行者として第三者を活用する道を開くべきである。

 

 

(注)2 会社の外部との関係

 

 

【意見】(1)(注)を含めて、賛成する。
(2)賛成する。
(3)賛成する。
(4)原則として賛成する。ただし、業務執行者以外の社員の第三者に対する責任については、業務執行者と同様の規制に服すべきではない。
(5)a案に賛成する。

 

 

【理 由】(1)合名・合資会社と異なり、社員の有限責任性から,その出資の目的は定量的なものに限られるから、労務・信用等の出資は認められず、物的会社同 様、金銭ないし貸借対照表に記載可能な現物出資に限るべきである。人的法人が有限責任を享受できるためには、資産の確定、充実、維持および公示という仕組 みが必要である。
(2)新たな会社類型が有限責任制度を採用する以上、責任財産の開示が必要であると考える。
(3)新たな会社類型が有限責任制度を採用する以上、資本制度を採用することが必要であると考える。
(4)会社・社員の負う責任が限定されるため、業務執行者の第三者に対する責任については、物的会社と同じように設けるべきである。ただし、取締役会類似の制度が新たな会社類型には設置されないことから,その詳細については検討すべきである。
業務執行権限のない社員については、業務執行社員が第三者に対して損害を与えたとしても、回避可能性があるとは限らないから、一般的に業務執行社員と同様の規制に服させるべきではない。
(5) 社員の退社時における持分の払戻しについては、債権者に影響のない限度においては自由に進めて差し支えない。債権者の利益と手続の明確性に鑑みると、剰余 金の分配と同様の財源規制を適用し、払い戻すべき価額が会社に現に存する剰余金の額を超える場合には、債権者保護手続(資本減少の手続に相当するもの)を 行うものとすべきである。ただし、会社がこの手続を怠った場合は、退社員の利益より債権者の利益を保護すべきであるから、すでに払い戻した持分がある場合 は返還を請求できるものとすべきである。
(6)その他 組織変更
新たに創設される会社類型から、他の物的会社、人的会社への組織変更ができるようにすべきである。

 

 

【理由】人的会社と物的会社との間の組織変更は認められていないが、新しい会社類型が活用されるためには、物的会社との間の組織変更も認められるべきである。

 

 

2 罰則

 

【意見】見直しを行うことについては賛成する。

 

 

【理由】様々な局面での規制緩和が行われるところ、利害関係人に対する開示や手続保障が重要となってきた。これら利害関係人の権利を守るためにも、違法な行為については厳しく臨むべきである。

 

 

3 関連規定の整備

 

 

【意見】賛成する。

 

以上

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