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意見書等
2021年(令和03年)10月29日
法務省民事局総務課 御中
「公証人手数料令の一部を改正する政令案」に対する意見
日本司法書士会連合会
会長 小澤 吉徳
当連合会は,標記について,次のとおり意見(確認事項を含む。)を申し述べる。
1.第35条第1号
【確認事項】
会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の最低額を記載している場合,定款の認証についての手数料(以下「手数料」という。)の額は,公証人手数料令の一部を改正する政令案(以下「改正案」という。)第35条第3号が適用されると考えられるがその理解でよいか。【理由】
成立後の株式会社の資本金の額は,定款の絶対的記載事項ではないため(会社法第27条・第32条第1項第3号),実務上は,会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の最低額を記載している例も多い。この場合,手数料の額は,改正案第35条第1号は適用されないことから改正案第35条第3号が適用され,仮に資本金の額が100万円未満となったときでも,一律に5万円と判断されると考えられる。2.第35条第1号
【確認事項】
設立に際して出資される財産が金銭以外の財産のみである場合であっても,改正案第35条第1号に定める会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の価額は,会社法第28条第1号に基づいて定款に記載又は記録がある金銭以外の財産の価額が適用されると考えられるがその理解でよいか。【理由】
設立に際して出資される財産が金銭以外の財産のみである場合,定款に会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の価額を明確に記載又は記録せず,会社法第28条第1号に基づく金銭以外の財産の価額のみを定めているような場合であっても,当該財産の価額の記載又は記録は,定款の絶対的記載事項である会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の価額を兼ねているのであり,当該金銭以外の財産の価額を会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の価額として,手数料を判断すべきであると考えられる。改正案第35条第1号の「資本金の額」は,会社法第27条第4号に規定する設立に際して出資される財産の価額を基準としており,会社法第28条第1号の財産の価額を明記していないため,確認する次第である。3.第35条各号
【意見】
認証を受けた定款の変更がある場合の取扱いについて明らかにすべきである。【理由】
公証人の認証を受けた定款は,株式会社の成立前は法令に定めがある場合を除き,これを変更することができない(会社法第30条第2項)。もっとも,一旦認証を受けた定款であっても,どの部分を変更したかを明らかにしたうえで,発起人が署名又は記名押印した書面に公証人の認証を再度受ければ,その部分について新たな定款を作成したこととなるので,設立登記の申請は受理される(平成18年3月31日付民事局長通達第2部第1・1(8))。この場合の手数料の考え方を明らかにすべきである。