気兼ねなく何でも相談できる第三者として、司法過疎地域で孤軍奮闘中! 気兼ねなく何でも相談できる第三者として、司法過疎地域で孤軍奮闘中!
これまでの簡単な経緯と現在の主な仕事内容を教えてください。

地元の政令指定都市で大学を卒業後、司法書士の資格を取って事務所に所属し数年、実務経験を積んだあと、日本司法書士会連合会の支援制度である「地域司法拡充基金」を利用して、東北地方で開業しました。昔から自然が好きで田舎暮らしに憧れていた部分もありますが、そもそも私が司法書士の資格を取ったのは、何か人助けや社会貢献につながる仕事に携わりたいという強い思いがあったからで、司法過疎地域での開業は私にとってはとても自然な流れでした。主な仕事内容は、とにかく地域に司法書士が私一人しかいないので“何でも屋さん”に近いですね。不動産取引から相続、贈与、身近な近隣トラブルまで、法律で定められた業務の範囲内にあたるものは、すべて相談に乗るようにしています。


やりがいを感じる瞬間や
逆に難しさを感じることなどはありますか?

今まで司法書士が一人もおらず、相談先がなかった場所に行ったことですごく感謝され、地域を挙げて歓迎されましたね。開業前に下見を兼ねて挨拶に回った時も、まだ事務所が決まっていないことを告げると、以前、銀行の支店が入っていた空き物件を紹介していただき、都会では考えられない広いスペースを格安価格で貸してもらえました。逆に難しいというか、気を遣う部分としては、利害関係など問題が人間関係に及ぶケースで、地域社会に溶け込みながらも、中立の立場が取れる一定の距離感は常に保つよう心掛けています。


仕事に取り組む上で大切にしていることは何ですか?

都市に空き家問題があるように、地方の身近な問題として、例えば山林や原野など、代々所有してはいるものの資産価値が低いため、長年放置したままの土地がたくさんあり、いざ名義変更をすることになると相続人がすごく多い上に、引き受ける人が誰もいないケースが目立ちます。司法書士はあくまでも中立の立場なので、相談を受け、法律の論点だけはご説明させてもらいますが、結局、親族同士の話し合いがつかず、未解決になる場合も多々あります。また、自分の空き地を勝手に耕されたと言う相隣関係のトラブルなども結構あり、双方と顔見知りだけにやりづらさもありますが、できる限り一人ひとりに親身になって寄り添う姿勢を大切にし、一緒に円満な解決策を探すよう、日々努力しています。

ある1日のスケジュール 
9:00始業。当日のスケジュール確認
10:00以前から依頼を受けていた方の家を訪問し面談
11:00役所へ行き、必要書類の収集
12:00昼食
13:00依頼者とともに公証役場へ行き、公正証書遺言作成の立会
15:00地元の商工会議所の会合に参加
16:00会合の参加者から事業継承の相談を受ける
17:00事務所に戻り、業務整理して退社
今後の夢や目標
司法書士の仕事は紛争の解決はもちろんですが、トラブルになる前に紛争の種を見つけて、大きくならないよう予防する仕事もまた、大きな柱のひとつです。医療の現場に例えると、病気を治すのが弁護士で、健康診断をするのが司法書士といったイメージ。不動産登記などにしても前もって権利関係を明確にしておくことで、今後起こりうる揉め事を回避できます。今後は今まで以上に地域の一員として溶け込みながら、あくまで中立の立場を保ち、紛争予防などに幅広く貢献し、都市部と変わらぬサービスの提供で、より住みやすい地域づくり、まちづくりに力を注いでいきたいと思います。
今後の夢や目標について1
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