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総会決議集

東日本大震災による被災者の支援に継続的に取り組むこと及び生活弱者の権利実現に努める決議

【提案趣旨】

 日本司法書士会連合会は,東日本大震災により甚大な被害を受けた被災地・被災者への復興支援活動を長期的且つ継続的に取り組む事を決意し,復興計画において,経済的困窮者,高齢者,障がい者,未成年者等の生活弱者の権利が不当に害されることのないよう全力を挙げて権利保護に努める事を誓うとともに,国,地方自治体及びその他関係機関に対し,下記の事項に積極的に取り組むことを求める。

 

  1. 被災者が活用できる各種制度の活用を促進するため,積極的に説明会又は相談会を行うなどの被災者への周知を図ること。
  2. 全国各地の被災者の受け入れにつき,単に住居を提供するのみではなく,戸別訪問により被災者の状況を把握し,適切な支援及び必要な情報提供を行うこと。戸別訪問に当たっては各地の司法書士会等の職能団体と協働すること。
  3. 今回の震災が,歴史上類を見ない大災害であることに鑑み,被災した生活弱者に対する法制度の適用にあたっては,生活弱者の立場に立った柔軟な運用を行うこと。
  4. 義援金や災害救助法,被災者生活再建支援法及び災害弔慰金法等に基づいて受領した給付金や現物支給された食品等については,その性質上,生活保護受給世帯の収入として認定しないことを明らかにし,ケースワーカー等を通じて周知を図ること。
  5. 孤独死等を防止する観点からも,仮設住宅や公営住宅等の住居の提供に際しては,地域コミュニティを維持しつつ,その場所についても生活弱者の意見を十分尊重して計画を策定すること。
  6. 自死防止の観点から仮設住宅等への入居後の精神的ケアについて地域での支援体制を構築すること。
  7. 親を失った子どもたちの精神的なケアに努めるとともに,今後,経済的理由により進学を断念することのないよう十分な支援体制を構築すること。

 

以上のとおり決議する。

2011年(平成23年)6月24日
日本司法書士会連合会 第74回定時総会

【提案理由】

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災は東北地方の沿岸部に壊滅的な被害をもたらしました。3ヶ月以上経過した現在も復興は遅々として進まず,仮設住宅への一部入居がやっと始まった状態です。被災地は,海の近くに山が迫っている地形のところも多く,物理的に復興が難しいことに加え,内陸の都市部から遠隔地にある被災地の復興が果たす経済的な影響も大きくないことから,その復興には気の遠くなるような時間を要することが懸念されます。日本全体が一体となって復興支援活動を行うべき事態です。私たち司法書士も組織的,長期的に被災者や避難している方々に対し法律相談等の法的支援を継続的に行っていくべきであり,また,法的支援のみならず様々な視点からの復興支援活動に対し協力をする事が必要です。

 

 特に被害が甚大である東日本沿岸部には,高齢者が多く,生活困窮者や障がい者も少なくありません。こうした生活弱者は,地域のコミュニティの中で身を寄せ合い,助け合って,暮らしてきました。地理的な特性から十分な住宅供給が難しいなかで,避難所から仮設住宅や公営住宅等に入居する際に生活弱者が希望する仮設住宅や公営住宅に入居できず,地域コミュニティを分断され,孤独死などの二次被害の発生につながりかねません。このような問題は,阪神淡路大震災の時にもあり,また同じ問題を発生させてはなりません。孤独死や自殺防止の観点からも,孤独な生活に追いやられることのないよう,生活弱者の意見を尊重した復興計画が策定されることが望まれます。

 

 また、生活弱者は各種制度についての情報収集能力に乏しく,また正確な知識の提供を受けていないため,生活保護法や災害救助法,被災者生活再建支援法等各種の法制度の活用について,ペーパーの配布や相談会といった形に留まらず,一人一人と対話をしながら,誰にでもわかりやすく解説することを行う必要があります。また各種法制度の運用にあたっては,歴史上類を見ない災害であることに鑑み,生活弱者の立場に立った柔軟な運用がなされるべきです。

 

 復興の名の下では,生活弱者の声は届きにくく無視されてしまうおそれがあります。我々司法書士は,単年度にとどまらない継続的な支援活動に取り組むべきであり,声なき声を拾い上げ,生活弱者の権利が害される事がないように私たち司法書士がその声の代弁者になることも,国民の権利の保護に寄与する私たち司法書士の責務であると考え本決議案を提案するものです。

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