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総会決議集

法務省に登記情報システム(不動産登記業務)の改善を要望する決議

【決議の趣旨】

登記情報システム(不動産登記業務)において校合登記官の事務処理に過大な負担を生じており、これが原因で指定庁の登記事務処理の停滞を招いている現状を改善し、不動産取引の安全を確保し国民の利便性の向上、登記業務の簡素化効率化の所期の目的に沿うものとなるよう日本司法書士会連合会は、早急に登記情報システム(不動産登記業務)を改善をするよう法務省に要望する。
また、オンライン申請における登記の真正確保の手段である公的個人認証の有効性確認について、資格者代理人が登記申請に先だってその有効性を検証し不動産取引の安全と登記の信頼の確保がされるよう必要な措置をすることを法務省に要望する。

 

以上のとおり決議する。

2005年(平成17年)6月24日
日本司法書士会連合会 第66回定時総会

【提案理由】

第一 (登記情報システムの改善)

  1. 不動産登記事件の滞留
    新不動産登記法が施行され、さいたま地方法務局上尾出張所が3月22日オンライン庁に指定された。不動産登記のオンライン申請件数は現在までに10件以内であるにもかかわらず、指定前2から3日であった登記処理日数は、3週間を超えるのが常態となった。
    登記事務処理の遅延は、オンライン申請事件の処理に時間を要するのではなく、オンライン指定による登記事務処理への移行による手続きの複雑化にあり、書面申請にも大きな影響が出ている。
  2. 校合登記官の負担が過大
    オンライン指定によって、登記識別情報の通知、不通知(交付、不交付)、失効申出の有無等の校合事務処理が増加したことが主な原因と考えられる。このため従来の校合処理では、5段階程度の確認で済んでいたものが、指定によって80段階の確認手続きを踏まなければならなくなり、校合登記官に身体的精神的にも過大な負担を強いる結果となっている。法務省は登記所適正配置計画によって登記所統廃合を進めてきており、さらに登記所の人員配置も登記情報システムの導入や最適化等により減少させてきている。
    登記情報処理システムの目的は、利用者の負担軽減、登記業務の簡素化・効率化、利用者の利便性向上、登記の迅速性・正確性の確保などであった。しかしながら、現行のシステムは、特に校合登記官の人的能力に大きく依存し、これが支障となって全体の登記事務処理が遅延する問題点を生じている。
  3. 二次稼働への懸念
    本年7月にはさらに1庁、8月に14庁が新たにオンライン庁の指定を受け、本年度中に119庁が指定され、指定庁が急激に増加する。現行システムが改善されないまま全国に不動産登記の遅滞が拡がったら、登記業務の迅速・正確性の確保や利用者の利便性の向上に逆行する結果となるおそれがある。
  4. 登記識別情報の有効証明請求の迅速性
    上尾出張所においては、登記識別情報を提供しての登記申請はまだ多くはないが、登記識別情報の有効証明請求に約半日を要する状況になっている。今後、オンライン指定庁では登記識別情報通知不動産の数が増加し、これに連れ不動産取引の立会に際して登記識別情報の有効証明請求が増加すると思われるが、同一登記義務者の数個の登記識別情報の一括証明請求手続についてもいまだ改善されておらず、証明書の交付に相当日数がかかることになったら立会取引(ローンの実行も同じ)を支障なく行うことが困難となる。従って、迅速な証明ができるようまた同一登記義務者の登記識別情報の有効証明の一括請求ができるよう登記情報システム及び運用の改善を要望する。

第二 (公的個人認証システムとの連繋)

  1. 法務省オンライン申請システムと公的個人認証システム(裁判所システム)の間のソフト上の問題点
    登記情報システムが提供する不動産(商業)登記申請書作成支援システムは、サン・マイクロシステムズ社が提供するJAVAというソフトウエアに依存しており、現在、JRE(Java Runtime Environment Standard Edition)のバージョンは1.3.1_15である。総務省が運営する公的個人認証システムが申請人に提供しているシステムも同じくサン社のJAVAを使用しているようであるが、バージョンが相違し、法務省オンラインシステムを利用して申請するパソコンでは、公的個人認証システムに接続して公的個人認証の有効性を検証することができないと聞く。
    さらに、裁判所の支払督促手続のオンライン申立の申請者支援ソフトもJAVA言語によるようであるが、バージョンの相違のため申請者側で、接続先である法務省、総務省、裁判所毎に別のパソコンシステムを利用しないとオンライン手続きの利用ができないおそれがある。
  2. ネットワークの基幹部分の共通化
    政府は電子政府構想を実現すると音頭をとってネットワーク化・オンラインシステム化を強力に推進してきたが、省庁間の開発の基盤がバラバラでは、国民の負担軽減というよりもそれらを利用するために2重3重の投資(負担)が要求される結果となっている。
    これら各省庁間のオンライン申請システムの基本部分の言語体系、操作手順の共通化により申請人の利便性をさらに向上するよう要望する。

第三 (公的個人認証の有効性検証システム)

  1. オンライン申請制度の目的
    登記識別情報と不動産登記のオンライン申請時の添付情報とともに提供を要する電子証明書について、資格者代理人が申請前に有効性を確認できなければ、現在行っている不動産取引についてする登記の立会が不可能になる。新不動産登記法は、登記簿のコンピュータ処理及びオンライン申請を前提として現行の不動産取引をより安全にするため登記の真正性を確保するための制度改革であった。
  2. 公的個人認証の有効性確認(検証)の必要
    オンライン申請における登記義務者の本人確認は、法人を除いて公的個人認証システムにより行うことを前提とする。現行の印鑑証明書及び実印に替わるものとして電子証明書及び電子署名を利用して行うことを内容とする。登記申請は行政手続としての意義のみではなく、不動産を目的とした売買、担保設定又は抹消などと実体上の取引と一体となって行われ、当事者は資格者代理人の登記申請手続条件の具備したことを条件として売買代金支払、融資金実行、債務の弁済を同時履行的に行う不動産取引慣行となっている。そして、従来、司法書士が果たしていた不動産取引の安全及び登記の真実性の確保の役割を新法のオンライン申請手続においても引き続き果たすためには、資格者代理人が資格者団体を経由して公的個人認証の有効性検証が必要であるとして法改正の方向であると承知している。
  3. 有効性検証のコスト負担
    資格者代理人の公的個人認証の有効性検証が可能になるということは不動産登記制度上、必要不可欠なものであって、これが有効に機能しはじめてオンライン申請の信頼性、真実性が確保される関係にあるものである。従って、資格者団体を通じて資格者代理人が公的個人認証の有効性を検証する機能(システム)の提供が可能となるよう公的個人認証システムの見直しを行い、日司連がその有効性を検証するために新たな設備又はそれらを維持するために過大な費用を要することがないように法務省及び総務省に必要な措置を求めるよう要望する。

第四 まとめ

 

現状の登記情報システムの改善がなされないまま不動産登記のオンライン申請の指定が全国の登記所に拡大すると、オンライン申請のみならず書面申請の登記事務処理の停滞など不動産取引の迅速、安全に重大な支障を及ぼすおそれがあるので、早急に改善するよう合わせて公的個人認証及び法務省オンライン申請システムとの相互の利用について十分な措置がなされるよう日本司法書士会連合会は法務省及び関係機関に要望することを決議する。

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