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総会決議集

日本司法支援センター構想につき、その基本理念に基づいたものにするべく強く関係機関に働きかけ要請する決議

【決議の趣旨】

日本司法書士会連合会は、国民の司法アクセスを高めるという司法制度改革の趣旨を踏まえて、日本司法支援センター構想につき、(1)中央集権的な手法に留まらず、各支部の実情にあった柔軟なやり方を積極的に取り入れること、(2)国民がアクセスしやすい分かりやすい広報をすること、そして、(3)よりもセンターに関する手厚い財政的措置を強く関係機関に働きかけ要請すること。

 

以上のとおり決議する。

2005年(平成17年)6月24日
日本司法書士会連合会 第66回定時総会

【決議の理由】

  1. 平成16年5月26日に国会において「総合法律支援法」が可決成立した。
    この法律は、いつでも(anytime)、どこでも(anywhere)、だれでも(anyone)良好な法的サービスの提供が受けられるようにすることを目指したもので、司法過疎が、地域的にも、経済的にも解消することを理想とするものであり、正義へのユビキタスアクセスの理念に基づくものである。
    同法第2条には、基本理念として、「総合法律支援の実施および体制の整備は、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指して行われるもの」と規定されている。
    そして、この目的実現のために、日本司法支援センターを設立し、全国にその支部を設けて、法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実、民事法律扶助業務、国選弁護人の選任に関する業務、司法過疎地域における法律事務に関する業務、犯罪被害者に対する援助等の業務、関係諸団体との連携の確保強化業務などを行うこととされている(同法30条)。
  2. ところで、日本司法支援センター推進本部においては、平成17年5月6日付「日本司法支援センターの制度設計に関する基本的方針」等において、その概要を明らかにしているところであるが、法務省において検討されている『コールセンター構想』についてはその有効性については慎重に検討される必要があると考えられる。
    すなわち、法務省の『コールセンター構想』によれば、全国で統一的な覚えやすい電話番号を設置することによって、全国どこでもいつでも容易に利用者がアクセスできるということであるが、仮にこれが実現されるとなると、現場では次のような弊害が生ずる恐れも考えられるからである。
    つまり、利用者は、まずその統一番号にアクセスすることとなるが、まずその際に相談内容の概要について説明しなければならない。そして、そのオペレーターが、その内容と利用者の所在地によって、各地道府県のアクセスポイントへ電話を転送することになろうが、利用者は、そこでもう一度相談内容の概要について説明をしなければならないということになる可能性がある。
    仮に、コールセンターにおいては、相談内容の概要の説明を要しないとするのであっても、利用者にしてみれば、わざわざそこに電話をすることなく、住所地のアクセスポイントへ電話をすることと比較して、メリットは少ないと思われる。
  3. また、日本司法支援センターにおいては、その本来業務として「民事裁判等手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する業務」があるが、このことは、相談受付時にいわゆる資力要件によって振り分ける作業が必要になることを意味する。端的に言えば、資力要件を満たす者については、日本司法支援センターによる無料法律相談を受けられるが、そうでない者については、通常どおり各弁護士事務所、司法書士事務所における有料法律相談を受けるか各弁護士会・司法書士会が主催する無料法律相談を受けるかということになるのである。その場合は、日本司法支援センターによる紹介がなされるということになると思われる。もちろん、当該支部にスタッフ弁護士が在籍していれば、当該スタッフ弁護士によるサービスを享受することが可能であり、利用者にとって、不便は無いことになろうが、地方においてはスタッフ弁護士がまかなえないという現状にあると言われている。
  4. 全国的な統一電話番号にアクセスしてみたものの、そこから転送され二度の概要説明を強いられることに留まらず、資力要件の有無により、無料法律相談を受けられるかどうかの振り分けがなされ、無料法律相談が受けられない場合には、たらい回しを余儀なくされる結果となってしまうのでは、総合法律支援法の基本理念からは大きく隔たったものになってしまう。
  5. さらに、日本司法支援センターにおいては、「弁護士、弁護士法人又は隣接法律専門職者がその地域にいないことその他の事情によりこれらの者に対して法律事務の取扱いを依頼することに困難がある地域において、その依頼に応じ、相当の対価を得て、適当な契約弁護士等に法律事務を取り扱わせること。」というもう一つの重要な本来業務がある。いわゆる「過疎対策」である。当然のことながら、各都道府県にいくつかのアクセスポイントを設置する必要があると考えられるが、多数設置されたアクセスポイントにどのくらいのペースで弁護士や司法書士を派遣できるのかという問題は依然として残るのである。
  6. このように考えていけば、まずは圧倒的な規模の財政的措置が必要であることは異論がないであろう。
    そして、次に、既存の相談窓口の有効活用と利用者である国民に対する分かりやすい広報の徹底が、日本司法支援センターの基本理念の実現にとって肝要であるといえる。
    そもそも総合法律支援法によれば「総合法律支援の実施及び体制の整備に当たっては、国、地方公共団体、弁護士会、日本弁護士連合会及び隣接法律専門職者団体、弁護士、弁護士法人及び隣接法律専門職者、裁判外における法による紛争の解決を行う者、被害者等の援助を行う団体その他の者並びに高齢者又は障害者の援助を行う団体その他の関係する者の間における連携の確保及び強化が図られなければならない(7条)。」として連携の確保強化が規定されており、国の責務として「国は、第二条に定める基本理念にのっとり、総合法律支援の実施及び体制の整備に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する(8条)。」とし、地方公共団体の責務として、「地方公共団体は、総合法律支援の実施及び体制の整備が住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、その地域における総合法律支援の実施及び体制の整備に関し、国との適切な役割分担を踏まえつつ、必要な措置を講ずる責務を有する(9条)。」規定しているのである。
  7. したがって、圧倒的な財政的措置は大前提として、各支部の事情に適合した、独自の創意工夫による手法を大幅に取り入れることが利用者である国民の利便に資することとなり、結果として、総合法律支援法の基本理念に合致するものと考えられるのである。
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