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意見書等

2003年(平成15年)04月30日

法務省民事局参事官室 御中

「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案」に対する意見書

日本司法書士会連合会
会社法制検討委員会

 

 

 

平成15年3月31日付で、法務省民事局参事官室からの「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案」に関する意見募集に ついて、日本司法書士会連合会会社法制検討委員会は、下記のとおり(ただし、第1編 株券不発行制度の第2 株式振替制度関係を除く)意見を取りまとめま したので、本書をもってこれを提出致します。
 

 

 

 

第1編 株券不発行制度

 

 

第1 商法の改正関係
1 株券の不発行の定め等
(1) 株券等の不発行の定め
【意見】乙案に賛成する。
【理由】非公開会社と公開会社の不発行の効力発生による、株の取扱いを明確に区別している。
公 開会社については、株式等の譲渡方法を画一的にする方が、取引の安全、投資家保護等の観点から優れている。また、非公開会社については、一般投資家が参加 することは少なく、画一的に規制することは、かえって不要の規制、負担となるため、選択性(定款自治)に委ねるべきである。

 

 

(注2)の考え方について
【意見】すべての会社について、株券不発行を原則とすることに賛成する。
【理 由】株式会社の圧倒的多数を占める中小会社においては、3/4程度の会社が、事実上、株券を発行していない(日本司法書士会連合会司法書士総合研究所商事 法研究部「京都市における中小会社企業の実態」(当連合会刊 会報THINK第100号 137頁))。よって、こうした現状を踏まえ、また今後も同様と 考えられるので、株券不発行を原則とする方が現実に合致すると考える。
事実上、株券を発行していない小規模会社が、こまめに株券不発行の定款変更 を行うことは必ずしも多くないと推測されるので、一律に株券不発行を原則とすることで、法と現実の乖離をなるべく埋めることが望ましい。他方、上の調査の 元データを分析すると、中小会社の1/4程度が、株券を発行し、その約79%の会社に、株主の異動が見られる。従って、現に株券を発行している会社につい ては、株券を発行する旨の定款変更があったものとみなす実益があるものと考えられる。
ただし、株券を「現実に」発行しているかどうかの判断が第三者からは困難な場合もあり、法的安定性を図るため、後記3(3)で述べるように、公示面で工夫が必要である。
公開会社については、適用強制とすることに賛成する。

 

 

(2) 株券の回収の要否等
【意見】Ⅰ案に賛成する。
ただし、小会社を公告不要とする提案について、すべての小会社に適用するのではなく、株券を発行していない会社に限定するべきである。
【理 由】株券を全く回収しないという方法は、すべての会社に株券不発行が強制されるような特別な場合を除き、取引の安全の観点から採用すべきではない。株券発 行会社と不発行会社が混在する場合、現状での法意識を勘案すると、不測の損害を与えるおそれがある。保管振替制度を利用していない中小会社が、定款変更に より株券不発行を選択する場合、株券を無効にするという重大な法的効果を与えるためには、株券の回収および名義書換をしていない株主に対する手続保障が必 要であると解する。
中小会社の中には、株券は発行したものの株主名簿もきちんと整備できていない会社も存在する(前掲調査では株券を発行している 会社の約9%)。そのような会社でも株主の異動があるのである。そのような会社において、名義書換のできていない株券を失効させてしまうためには、株券を 回収できなかった株式については、少なくとも216条に規定する公告手続を経ることが、後日の紛争予防のために必要である。
ただし、中小企業の中 には、株券を発行して、株主自体は把握しているものの、株主名簿に株券の記号番号を記載していない会社も見受けられる。また、株主の異動があることも少な く、設立時から株主名簿の書換えが行なわれていない会社もある。株主は、特に譲渡する予定もないため、株券が何処にあるか分からず、提出できない場合が予 想される。その場合、株券を特定できないため、無効にする手続が行なえないという問題が考えられる。こうした個別の失効手続ができない場合、発行済株式全 部を一斉無効にする手続を用意する必要がある。

 

 

(3) 既発行の新株予約権証券の取扱い
【意見】賛成する
【理由】既発行新株予約権の回収・無効手続事務が増大する。

 

 

2 株式等の譲渡方法及び名義書換
【意見】合理的であり、賛成する。
ただし、(3)オの「代金を支払った事実を証する書面」については、具体例を省令等で例示すべきである。
【理 由】株券不発行会社において、株券の交付による譲渡を廃止し、株主名簿への記載のみをもって第三者への対抗要件としている。株券の善意取得といった問題が なくなる代わりに、二重譲渡やなりすましによる不正な名義書換の危険も高くなる。名義書換要件を厳格かつ明確に規定し、少しでも事故の蓋然性を少なくすべ きである。

 

 

3 株券等の不発行の定めに伴う所要の手当等
(1) 株主名簿の閉鎖期間の廃止
【意見】賛成する
【理 由】株主名簿の名義書換が第三者に対する対抗要件となる以上、基準日に統一すべきである。また、基準日と株主名簿の閉鎖という2つの制度を並存させる合理 的理由もなく、近時、公開会社においては、株主名簿を閉鎖しない会社が主流でもあるため、すべての会社に適用することに賛成する。

 

 

(2) 各種公告制度の適用除外
ア 株券提供のための公告及び通知
【意見】賛成する
【理由】株券不発行会社は、株主名簿の記載をもって、株主を確定できるのであれば、株券提供公告を省略することが可能である。その他は補足説明のとおり。

 

 

イ 株式に関する株券提供公告以外の公告
【意見】賛成する。
【理由】補足説明のとおり賛成である。

 

 

(3) その他
【意見】
1 株券不発行制度採用会社については、株券不発行の旨を株式申込書の記載事項とすべきである(ただし、株券不発行が原則となる場合は、「株券を発行する会社であること」を株式申込書の記載事項とすることが考えられる)。

 

 

2 株券不発行制度採用の有無については、登記事項とすべきである。

 

 

(1) 株券発行を原則とし、公開会社および定款で不発行を決議した会社について、株券不発行とする場合
当事会社の申請により株券不発行の旨を登記させるべきである。一律に不発行とみなされる公開会社については、自発的に登記申請されることが期待できる。

 

 

(2) 株券不発行を原則とする場合
株 券発行会社の登記簿に「株券を発行する旨」を登記することが合理的である。当委員会は、株券不発行を原則(第1.1(1)(注2))とする改正案に賛成し ているが、その場合、株券を「現実に」発行している既存の会社についてのみ「株券を発行する旨の定款変更決議があったものとみなすもの」との提案がなされ ている (第1.1(1)(注2)(ⅲ))。
しかし、「現実に」株券を発行しているか否かは、登記所にはわからず、当事者の申請等を待たなければ登記簿に記載することができない。過去の事例(例えば、額面金額廃止に伴う額面金額の登記事項の削除)のように画一的に処理することは困難である。
それでも、これが制度化されれば、流通している株券が正式なものであるか否かを譲り受けようとする者が登記簿で確認するであろうし、株券を流通させる必要があると会社が考えれば、自発的に登記申請されるであろうことが期待できる。

 

 

第2編 電子公告制度

 

 

第1 株式会社についての電子公告制度の導入
1について
【意見】賛成する。
【理由】IT化推進の流れの中で、認める必要性が高い。

 

 

2について
【意見】賛成する。
【理由】具体的な公告行為の内容を明確に規定している。期間についても、適切である。

 

 

3について
【意見】賛成する。
【理由】インターネットを使用する以上、サーバーの故障等の可能性は否定できず、軽微なものまですべて公告のやり直しを求めることは現実的ではない。

 

 

4及び5について
【意見】賛成する。
【理由】補足説明のとおりである。

 

 

6ついて
【意見】賛成する。
【理由】内容の事後の改ざんの危険性がある以上、第三者機関によるチェックは必要である。証明機関は、官庁またはそれと同程度信頼性の高い機関であることが望ましい。

 

 

7および8について
【意見】賛成する。
【理由】電子公告の性質上、必要な規定である。

 

 

7の(注)について
公正さを確保できる頻度での調査が望まれる。

 

 

8の(注)について
利用者の利便性から、法務省等が公告リンク集ホームページを設けることには賛成である。

 

 

第2 貸借対照表等の公開の方法の見直し
1について
【意見】賛成する。
【理由】補足説明のとおりである。

 

 

2について
【意見】賛成する。
【理由】費用、スペースの問題がないので、全文を掲載することが望ましい。

 

 

3について
【意見】賛成する。
【理由】補足説明にあるような違い及びメリットがあるため、双方の制度を両立させる必要性がある。

 

 

(注)について
電子公告を公告の方法とする会社については、電磁的公示の方法を認める必要性は特にないと思われる。

 

 

第3 株式会社各種債権者保護手続における個別催告の省略等
【意見】(Ⅲ案)に賛成する。
【理由】個別催告を受ける側からみた、個別催告の最大の効用は、自分からアプローチしなくても情報を得ることができる点にある。電子メールの場合、送る側の手続、コストについては比較的簡易な割に、受ける側のメリットが大きいことから、(Ⅲ案)に賛成する。

 

 

第4 有限会社の各種債権者保護手続における個別催告の省略等
【意見】賛成する。
【理由】有限会社のみ別途に取り扱う理由がない。

 

 

第5 合名会社・合資会社の合併の際の債権者保護手続における個別催告の省略等
【意見】(B案)に賛成する。
【理由】補足説明の考えのとおりである。

 

以上

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