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司法書士会調停センターにおけるトラブル解決(ADR)

ADR(裁判外紛争解決)とは?

ADRとは、裁判とは異なる紛争解決の方法です。
“Alternative Dispute Resolution”の略で、一般的に「裁判外紛争解決手続」と訳されます。
その手法には様々なものがありますが、日本では主に「調停」と「仲裁」を指します。一般的に多く利用されているのは裁判所で実施される「調停」ですが、法改正により司法書士会のような民間機関でも「調停」が実施できるようになりました。

調停について

裁判官や仲裁人など当事者以外の判断により解決するのではなく、公正で中立的な第三者(調停人)が間に入り、当事者が十分に話し合った上で、合意により解決に至るのが調停です。
紛争やもめごとが起こった場合、次のような4つの代表的な対処方法が考えられます。これら4つの方法では、第三者の関与の有無や度合いの強さが異なっており、左から右へ関与の度合いは強くなっていきます。

出典: (社)日本商事仲裁協会、日本仲裁人協会「調停人養成教材作成委員会」作成
調停人養成教材・基礎編(2004年度版)P.4(著作:経済産業省)

調停は、第三者が紛争解決に関与しますが、裁判よりその度合いは弱いものになります。調停では、調停人はサポート役であり、当事者が紛争解決の主役です。

司法書士会調停センターにおけるトラブル解決(ADR)

司法書士会では、調停センターを設置して「調停」を通した話し合いによる法的トラブル解決のお手伝いをしています。(地域によっては調停センターが設置されていない司法書士会もあります。また、会によっては調停センターではなくADRセンターと呼ぶところもあります。)

ADRミッション
私たち司法書士は
  誰もが自らの思いを伝えることができる場を提供し
  それをサポートすることで
  笑顔あふれる幸せな世の中を実現するため
  ADRに取り組んでいます

○司法書士会調停センターと裁判の違い

司法書士会調停センター 裁 判
当事者双方が話し合いによる解決の意思を持ち、手続に関与することが必要。 訴えを起こした方(原告)の関与だけでも手続が進む。
当事者が合意により解決をする。
(当事者主役)
裁判官が判断し、一方的に問題の解決をする。
証拠調べの手続はないが、客観的な資料等の提出・交換により、事実や事情に対する当事者の相互理解を促す。 厳格な証拠調べの手続がある。裁判官が事実認定をする。
情報はなるべく双方で共有化するように協力しあい、公正な解決を目指す。 原則的に、自分の言い分は自らが主張立証する。相手方の協力は得られない。
合意内容に強制執行力※はない。 判決に従って強制執行※できる。

※強制執行とは裁判所が本人に代わって、強制的に差し押さえ等をすることです。

○司法書士会調停センターを利用できる紛争の具体例

老朽化が進み借り主さんに何かあったら困ると、古いアパートを取り壊したい大家さん。一方、借り主さんは、高齢で公的保護を受けて暮らしているため、古いだけに家賃が破格に安く、長年住み慣れたアパートから立ち退きたくありません。

大家さんの不安を解消し、かつ借り主さんの生活ぶりに配慮できるような解決方法を話し合ってみませんか?

親が亡くなった後、相続人である子どもたちの間に長年の感情的わだかまりがあり、親が遺した実家が放置されたままになっています。実家は田舎にあり、長い間誰も住んでいません。更に次の代には問題を残したくないという気持ちもあり、実家をどうしたらいいか困っています。

空き家となった実家をどうするのか?お金は全体としてどのくらいかかり、誰がどうやって負担するのかなども含めて、相続人全員が納得できる解決方法を話し合ってみませんか?

AさんとBさんはアパートの長年の隣人同士です。Aさんは壁越しに聞こえる断続的な物音が気になって眠れなくなりました。そのせいで体調を崩し、治療費として10万円近くかかったので、Bさんに支払ってほしいと考えましたが、このところ急に衰えてきたBさんは話を理解してくれません。困ったAさんは、今は独立してアパートを出たBさんの娘Cさんに相談しました。Cさんは子どもの頃からよく見知っているAさんに対して申し訳ない気持ちもあり、親であるBさんにも今後も安心して暮らしてほしいのでこの問題にはきちんと対応しておきたいと思っています。

騒音問題に関して当事者ではないCさんですが、離れている親の暮らしを安心なものにしたいと願っています。高齢のBさんの他に娘のCさんにも加わってもらい、3名で騒音問題について話し合ってみませんか?

※なお、各調停センターにより取り扱える紛争の種類・範囲が異なります。詳しくはお近くの司法書士会調停センターにお問い合わせ下さい。

○司法書士会調停センターの特色
・トレーニングを受けた司法書士が中立・公正な調停人として話し合いをサポートして、
 解決に向かうお手伝いをします。
・当事者の皆さんの話をよく聴き、納得のいく解決を目指します。
・当事者双方が同じテーブルについて調停人と共に話し合います。
 (なお、別々に調停人がお話を伺うことも可能です。)
・土日祝日も利用可能な調停センターがあります。

○法務大臣による認証を受けた司法書士会調停センターのご案内
※平成19年4月1日裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(通称:ADR法)の施行に従い、民間の調停機関で法務大臣の認証を受けたものは、一定の事項の法的効果につき特例が設けられています。

2017年2月27日現在

仲裁について

仲裁とは?

仲裁は、紛争解決のひとつで、解決の基準となる考え方は法律の他、「衡平と善」(仲裁法第36条)であることが特徴です。裁判よりも柔軟な解決が可能ですが、調停や和解よりも法律を基準とした解決がはかれます。
仲裁事件の多くは、国際商事仲裁などであり、国内の民事事件の解決にはあまり利用されていません。しかし、事件の内容によっては、仲裁による解決が適当なものもありますので、仲裁の利用を推進しているところです。

仲裁の特徴

・仲裁判断は、裁判所の確定判決と同一の効力を有する。

仲裁の結果、仲裁人は「仲裁判断」を書きます。この仲裁判断は、裁判で言えば、判決に当たるもので、仲裁判断は確定した判決と同一の効果があります。仲裁判断によって強制執行ができるということです。

・当事者は、仲裁判断に不服があっても、異議を申し立てることができない。

仲裁は、当事者が仲裁人の仲裁判断に従うことを約して始まりますので、仲裁判断に不満がある場合でも、裁判のように上訴(控訴、上告)をすることができません。1回限りで決着がつくということです。

仲裁手続の流れ

①仲裁合意

仲裁のスタートは、当事者の「仲裁合意」です。仲裁合意とは、ある紛争について仲裁を利用して解決することの合意で、書面であることが必要です。

②ルール、仲裁人の選任

仲裁に関する法律には、仲裁法(平成15年8月1日法律第138号)があります。仲裁は国際商事紛争に利用されることが多いので、国連でモデル法を作成しており、日本もそれに準拠した仲裁法を定めています。
また、仲裁の進め方も当事者の合意によることができますし、仲裁人は3人選任することが一般的ですが、当事者が各1名を選任し、当事者に選任された仲裁人2名がもう1名の仲裁人を選任することもできます。

仲裁と司法書士

司法書士法第3条には、紛争の価額が140万円以下の仲裁事件については、司法書士が代理することができるとの規定がありますが、仲裁人に関する規定は存在していません。
仲裁人に資格は不要で誰でも仲裁人となることができると解されています。特に、簡易裁判所事件の代理権(簡裁代理権)を持つ認定司法書士であれば、少なくとも紛争の価額が140万円以下の事件であれば、仲裁人となることは問題ないと考えています。
また、一部の司法書士会調停センター(ADRセンター)では、調停として取り扱った事件で合意に至らず当事者が望む場合、仲裁による解決をする試みを実施しています。まだ、試行的な段階ですが、徐々に広めて行く予定です。

仲裁が適当な事案

例えば、次のような事案は仲裁で解決できるのではないかと考えています。

① 話し合いにより両当事者の理解は深まったが、合意による紛争解決には至らず、当事者双方が、
  第三者により中立な判断を望んでいる場合
② 当事者の居住地が遠方であり、同席できないため調停が開始しないケースで、当事者双方が
  第三者による中立的な判断での解決を望んでいる場合
③ 当事者に紛争解決の意思があるが、調停センターでは解決しなかったケースの次の選択肢の
  ひとつとする場合
④ 不動産登記に協力しない当事者に対して、訴訟を提起したくはないが、単独で登記申請する
  ことを望む場合

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